27話
はい、ギャグ回? かな。前回よりはギャグ少ない、というかギャグ回ですら怪しい。前回の補足回なのであまり面白くはない
気をつけてね!
「こほん。えー、今から第一回、依頼の内容とその確認をしたいの会を始めたいと思います」
『いえーい!』
「ドンドンパフパフー」
俺の言葉に合わせて向かい側に座っているマリルは拍手を、俺の隣に座っているソラは小さなラッパと太鼓を叩いてファンファーレを奏でる。
マリルの隣に座っている女性は困惑の色を顔に浮かべるが、ぎこちなく拍手する。
「なにやってんだあれ」
「楽しそう! 私も混ぜてもらおうかな」
「やめてちょうだい、ややこしくなるわ」
なにやら向こうの方からクラウスとセシル、それとクリスの声が聞こえるが、気にしてはならない。
「始めに依頼内容の確認をする前に、自己紹介から行きたいと思います。では私から失礼します。
あーこほん。今回の依頼に指名させていただきました、リプルです。最近Fランクに上がりました5歳児です。よろしくお願いします……じゃあ次、どうぞ」
隣のソラに自己紹介をするように振る。
「……ソラです」
……………………………………………………………………………。
「はい、次の人お願いします」
『はいはーい! ボクはマリルです! 依頼をおねがいしに来ました!』
高らかに手を上げ、ふんす! と少し興奮気味だ。
一体どこに興奮する要素があったのか。
「どうかなさいました?」
女性は自己紹介をしたマリルに声をかける。
少し嫌そうに顔を崩して手を下ろす。
「自己紹介してもらったんですよ。……あー、念思だから聞こえなかったのかな……」
「……念思、か。……コホン、それでは私も名乗ろう」
一瞬、顔が曇るも、咳払いで追い払って自己紹介を始めた。
「私はロト。ラストネームは無い。今日はこのお方の護衛として付き添っている」
「護衛……というと、ロトさんはもしかして騎士だったり?」
「ほう、よくわかったな。今は21ある内の第2騎士団の副団長を務めさせてもらっている」
驚きからなのか、それとも関心からなのか、声のトーンを少し高めて教えてくれた。
「に、21ですか……。その中で第2騎士団の副団長といいますとなかなかの実力者ですね?」
「そ、そうか? 確かに剣なら負ける気はそうそうないが……」
フード越しに頭を掻きながら照れた様子のロト。
剣の腕には人に言えるほどには自信があるみたいだ。
「ん? そんなすごい人が護衛に付いてるなら別に依頼を発行するまでもない気がするんですが……しかもこんなFランクに。
よし、それじゃこの話はなかった事で」
『やだ!』
ドンッ! とテーブル両手で叩き、その反動で立ち上がったマリルの念思が脳内で響く。
おう、頭がガンガンするぜ。
「ま、マリル? どうした?」
なにやら怒ってるみたいなので慎重に声をかける。
『リプルがついて来てくれないならボクは行かないから!』
頬をぷっくりと膨らませて体を乗り上げてきた。
「そ、そうか……とりあえず落ち着こう、な? ほら、目立ってますぜ姐御」
テーブルを思いっきり叩いたことにより発せられた音で、ギルド内の視線が一気に集まる。
とはいっても人はそこまで多くはないが。
『あっ……///』
注目されてることに気付いたマリルは静かに着席し、体を縮めてしまう。
「いやーすみませんね、お騒がせしました」
軽く顔を前に出して謝る。
「テーブル壊すんじゃねーぞリプルー!」
「ついでに怪我もすんじゃねーぞ!」
と、言った感じの心地良い野次が飛び、視線も散らばっていった。
最初は子供って事であまり良い顔はされなかったものの、依頼を受けてくうちに気にかけてくれるようになったのだ。
ギルド内の野次は大体が好感の現れである。とても嬉しい限りだ。
「まぁ、受けるかどうかは話を聞いてから判断しますので、内容を教えてください」
「あ、あぁ……」
ロトは隣のマリを気にかけながらも懐から1枚の四つ折りになった紙を取り出してソラの前に差し出した。
受け取ったソラは紙を開くと、俺の前に置いた。
「あ、字は読めるのか?」
「えぇ、一応」
「それは失礼なことをした」
どうやら字が読めないと思ったらしい。仕方ないね、ぼくごちゃいだもん。
ソラに差し出したのは彼女なりの心遣いなのだろう。
「いやいや、正しい判断だと思います。ほら、普通は字が読めるとは思いませんから」
紙を手に取り、軽く目を通す。
護衛依頼のCランク。
依頼主の護衛で期間は3ヶ月半。延期ありでその分の報酬上乗せ。
前金あり、達成条件は依頼主を無事、この国に帰す事……か。
えーと、目的地は……
「技の都“トリクトリー”……か」
技の都“トリクトリー”。
この都は三大都と呼ばれる3つの都のうちのひとつである。
トリクトリーは主に物を作ることに重点を置き、常に新しい物を研究し開発している。
代表的な物として、ドールロイドが挙げられる。
現在、ドールロイドは五世代目であり、あと数年もすれば第六世代目のドールロイドが完成すると言われている。
他にもスプーンやフォークと言った食器類や、服にズボンなどの衣類も多くはトリクトリーで生産されているものだ。
さらに、都全体を覆う堅固な外壁も設計はトリクトリーで行われたらしい。
あ、ちなみにソラは第三世代に分類されるらしい。
らしい、と曖昧な表現なのは実はこの前、依頼でドールロイドの職人の元を訪れたのだ。その時に職人に見てもらったところ造りが特殊だったみたいで、世代で言うと最も近いのが三世代だったという訳だ。
しかし、ソラは絵本で語られる程の昔に封印された【イヌガミサマ】である。そんな時代にドールロイドが存在していたのかすら怪しい。
……ま、なにか必要なことがあった場合、三世代とでも書いておけばいいか。
「内容は把握しました……でもなぜトリクトリーに?」
なにかお偉い人たちが集まるイベントでもあるのだろうか。
こうして副団長騎士が護衛として付いているということはやはりマリルはお偉い人の娘なのだろう。
「実は毎年この時期にトリクトリーにてドールロイド同士を闘わせて性能を競う大会があるのだ」
「ドールロイドの大会ですか?」
「あぁ。その大会は予選と本戦に別れており、予選ではバトルロワイヤル形式で本戦の一般枠を決める。そして予選で勝ち残った3名を交えて各都の代表者3名と前年優勝者を合わせた計13名によるトーナメント戦が行われるのだ」
ドールロイド同士を闘わせる大会か……なんか面白そうだな。
ソラは……危なそうだから自重かな。
「……ちょっと観てみたいかも。他の人のドールロイドも気になるし」
「どうせなら君のドールロイド……ソラと言ったか? 出場させてみるのはどうだろう」
「いやいやいや、危ないんで出場はちょっと……」
ロトが勧めてくるも、今も言ったが危ないので。いやまぁ、ドールロイドがみんなソラみたいな連中なんだろ? あー怖い怖い。
……聞いてみるか。
「ほら、ドールロイドってお強いんでしょ? ソラが壊されたら泣いちゃうので」
「んー、強いのは今のところ、6年連続で優勝している武の都代表クロム・パルフェン・ヴェッターのドールロイド、シャリムがSランク並の実力をもってるみたいだしね。他は良くてBが少しいて、残りがC以下ってところ。心配しなくとも、シャリムに当たらなければ壊されることはないから」
「Sランクですか……。あ、それじゃ、ランクSのジャックとどちらが強いんですかね?」
「ランクSのジャックって、流石にシャリムでも無理だな。そもそもジャックはSSにしても良いぐらいの危険度だ。ギルド表記のランクはあくまで対策をバッチリした場合の基準だからな、S以上のランクは宛にできない」
「あ、そうなんですか……」
俺は知っている……隣に座っているこいつは、そのジャックを赤子扱いしたのを。
流石は剣聖と同等と伝えられるイヌガミサマは違う。
うん、無理だ、出場は危なすぎる。
「とりあえず、出場はなしで。それより依頼の件ですが……まぁ、なんか俺が同行しないと行かないみたいな事言ってるんで一応依頼を受けるという事で」
「そうか、出場はしないか。無理強いしてもいけないし、仕方ないか。まぁなにより依頼を受けてくれたこと、感謝する」
「それで、いつ頃出発するんですかね?」
「明日には都を出る予定だ」
「了解です」
ロトから予定を聞いてから、俺とソラは一旦席から離れカウンターに移動し受付を済ませる。
「依頼、受けることにしたのか」
受付を済ませてすぐにクラウスが声を掛けてきた。
「えぇ、護衛対象が知り合いですし、それに実はトリクトリーに一度行ってみたかったので」
「この時期にトリクトリーとなると……あぁ、ドールロイドの大会でも観に行くのか?」
「流石クラウスさん、鋭い」
「いや、時期的にトリクトリーに行くとなるとそれぐらいだからな。……まぁ、気をつけろよ?」
「大丈夫ですよ。ほら、ソラだってついていますし」
そう言うも、クラウスは心配そうな顔のままだ。
あのジャックに襲われて、目が覚めた日からクラウスが過保護になった気がする……いや、過保護になった。
軽く手を振って、カウンターから離れてマリルとロトが座ってる席に戻る。
「それじゃ明日、早速出発するという事で。ところで、どこに集合すれば良いですかね?」
「その点は大丈夫だ。泊まってる宿を教えてくれれば明日の朝、私が迎えに行こう」
「あ、それは助かります」
宿名を教えて、今日のところはお開きとなった。
明日の準備のため、市場にて買い物をしていてふと、移動手段のことを聞いてなかった事に気付いた。
ま、馬車だろう……と結論づけて俺とソラは買い物を続けたのだった。




