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25話

タグに入れるほど好きなのに、あまり話しに絡めることができなくて寂しいな……


と、思ったので今回は無理矢理にでも入れてみた。

なにをかって? それは読んでからのお楽しみさ(オイ

 それは、空腹の音を鳴らす腹の虫を満たすために宿屋に向かう途中のことであった。


 俺とソラは少しでも早く宿屋に着くために普段はあまり通らない裏通りに入った。

 少し進んだところの曲がり角で人とぶつかりそうになった。


 「おっと、すみません」


 ソラがすぐに察してぶつかる前に止まることができた。

 俺は一言謝罪を述べてそこを過ぎようとしたが、相手がそれを許さなかった。


 「えーっと、もしかしてどこか当たってしまいましたか?」


 背丈は俺の目線よりちょい高めぐらいだろうか。ローブで身を包みフードを被った幼い少女と思われる子は俺をじっと目の前で立っているだけでなにも応えてはくれない。


 「やっと見つけました。さぁ鬼ごっこは終わりですよ、一緒に来ていただきます」


 「!?」


 そんな中、少女の背後から声が響くとその声の主であると思われるローブを羽織りフードを被った男性が少女の肩に手を置いた。

 それと同時に少女は体を跳ね上げると、男性の手から逃れるかのように目にも止まらぬ速さで車椅子の後ろに腰を落として隠れた。


 なにごと……。


 通せん坊をしていた少女は男性の登場で何故か俺の後ろに隠れるし、男性はため息をつくし……この状況はなんなんですかね?


 「はぁ……申し訳ないが、隠れている女の子をこちらに渡してもらえないかな」


 「どうぞ。……ソラ」


 「はい、マスター」


 「!?」


 ソラは頷くと、少女の両脇に腕を通して抱き上げる。

 少女は驚いたらしく、足をばたつかせて抵抗を試みるが、ソラはピクリとも動じることなく俺の横を通り過ぎて行く。


 『たすけて』


 「っ!」


 それはいきなりであった。

 頭の中に直接語りかけてくる声に俺は目を開き、過ぎていく少女に視線を向ける。


 フードで顔は見えないが、しっかりとこちらを見ているのはわかった。


 もしかしたらあの子は……。


 そんな淡い期待を抱いて俺は目蓋を下ろした。


 「あー、申し訳ないんですけど……その子、もしかしたら人違いかもしれないですよ?」


 そう言い終わると同時に、閉じていた眼を開ける。

 先程よりもクリアになった視界で男性を見据えて、その両目を捉えた。


 「っ……そのようだ。これは失礼した」


 一瞬の間をおいて男性は少女を見てそう言い残すと、そのままどこかに去っていってしまった。


 「んっ……」


 再度、目蓋を閉じて目に送っていた魔力をゆっくりと引かせていく。


 「魔眼……ですか?」


 「うん」


 ソラの問いに頷く。

 魔力が引いたのを感じて目を開けてみる。少し視界が潤んでいるところから、涙が溜まってるみたいだ。


 幻想眼


 それが俺の魔眼の2つ目の能力である。

 魔眼は共通して視界がクリアになり、普段目には見えない魔力の流れを捉えることができるのだ。そして稀に俺の幻想眼のような2つ以上の魔眼を持つ者もいる。


 幻想眼とは読んで字の如く、相手に幻を魅せることができる眼のことである。

 分類的には武術式の精神式に分けられると思われる。


 そして先程、俺は男性に少女の事を別の人に見える幻術をかけたのだ。

 この眼、非常に強力であるのだが、まだ扱い慣れてなくそのせいか魔力も大幅にもってかれるので頻繁に使えないのが残念である。


 「マスター。この子はどういたしましょうか」


 俺の方に振り返ったソラは抱き上げている少女に視線を落としながら尋ねてきた。


 「おろして大丈夫だよ」


 俺の言葉に頷くと、ソラは膝を折って少女をおろした。


 『ありがと!』


 また、頭に直接語りかけてくる声だ。


 「……あのさ、俺ときみってあったことあるよね。2週間ぐらい前に噴水のある公園で」


 そう、俺とソラがここにきた日の夜。脳内に響く歌声に誘われて俺は噴水のある公園に足を運んだのだ。


 結局、その時はあそこからの記憶がなく、数回公園に行ってみたものの会うことも、歌声が聴こえてくることもなかった。

 もしかしたらこの子が、あの歌っていた少女なのかもしれない。


 『憶えていてくれたの!』


 少女は俺の膝に手を置いて、ズイッと顔を近づけてきた。


 「う、うん」


 『よかった〜』


 ほっと安堵を見せる少女。

 とりあえず少女に離れてもらい、自己紹介をする。


 「俺はリプル。んで、こっちにいるのがソラ。きみは?」


 『ボクはマリル。よろしくねリプル、ソラ!』


 マリルと名乗った少女は己の顔を隠していたフードをとった。

 そして、フードで隠されていた少女の紅い髪が宙に揺れ、目を細めて笑う顔が現れる。


 「うんよろしく! ほら、ソラも」


 「あのマスター……どなたとお話をしているのでしょうか?」


 「うぇ?」


 ソラの言葉を聞いて変な声がでた。


 「なに言ってるの、目の前にいるマリルに決まってるじゃないか」


 ┐(´∀`)┌やれやれ……まったく困った子だ。

 他に誰がいると言うのだ。


 「マスター、その子は一言も言葉を発しておりませんが……」


 「なんだって?」


 ピシャリッと俺の体が固まった。

 まるで錆びたロボットのような音をたてながらマリルの方へと顔を向けた。


 『あちゃー、その子には聞こえてなかったみたい』


 あちゃーじゃないよ? それじゃソラから見て俺はひとりで喋ってたことになるよ? すごーく痛い子だよ?


 「なーにしてくれんじゃー!」


 スッパーン!


 俺の懐から抜き出したハリセンで渾身の一撃を放ち、マリルの頭を気持ち良い音をたてて振り抜いた。


 『い、いたい……』


 振り抜かれた頭を押さえてしゃがみこんでしまったマリル。


 『なんでぇ……』


 ギラリとした黄色い瞳に涙を溜めながら俺を上目遣いで見てきた。

 しかし、俺はそこであることに気がつく。


 それはマリルの瞳の模様についてだ。

 黄色い瞳には瞳孔を中心に、照準器のような形をした模様が浮かんでいた。


 「その眼って、まさか……魔眼!?」


 眼に魔力を送り、魔眼を発動させて身構える。

 どのような能力なのかわからない。……魔眼の模様からしてもしかしたら、まず敵を補足して眼からスナイパーライフルのような超高速弾丸を打ち放つのかもしれない。


 なんて恐ろしい……!

 これは早めにやるしか……いやしかし、この子はあの時歌っていた子に違いないから敵意はないのかな? おじさんわからなくなってきたぞ。


 『ほぇ? あ、そうだけど害はないよ!』


 俺の警戒を察知したのか、マリルは両手を上げて敵対の意思はないことを主張する。


 「ならいいんだけど……」


 俺の魔眼が魔眼なのでどうも身構えてしまう。


 『えっと……ボクの目、見てもらってもいい?』


 キュッと片方の眼をつむり、再び開けられたマリルの左目を見て俺は驚愕した。


 黄色だった瞳が濁った色に変わり、ハイライトは消え失せ、瞳孔が見当たらなかった。


 「まさか、目が見えないのか?」


 『目だけじゃないよ。耳もきこえないし、声をはっすることもできないんだ』


 左目から濁りが消え、照準模様の瞳が浮き出てきた。

 どうやら魔眼を発動させたみたいだ。


 『もう気づいてるかと思うけど、ボクの魔眼は【感覚眼】っていってね、魔眼をつかってる間はご、ご……あれ?』


 「五感?」


 『それそれ! それと同じ働きをしてくれるから、見ることも聴くこともできるようになるの!』


 どお? すごい!?


 と、マリルは腰に手を当てて得意気な顔を向けてきた。


 「と、言うことはこちらに届いてる【念思ねんし】も魔眼によるものですね?」


 不意に、隣にいたソラが口を開いた。

 マリルは笑顔を見せると首を縦に振った。


 『うんそうだよ! よくわかったね!』


 「ソラ、お前聞こえてたの?」


 「いえ、マスターの中で響いてる念思を、魔力を通して拾いました」


 「なんかすごい事をさらりと言ってる気がするんですけど……まぁいいや。そんなことより、あたしゃあもうお腹と背中がくっつきそうだ。はやく昼食にしようではないか」


 さっきから鳴き喚いて訴える虫を宥めるように、腹を擦る。

 そんな俺を見て何を思ったのか、マリルはギラリと目を光らすと俺の手を握り、そのまま走りだした。


 『ボクね、おいしいお店しってるんだ!』


 どうやら空腹の俺のためにおいしいお店を紹介してくれるみたいだ。

 それはとても嬉しいことだ。


 うん、嬉しいことなのだが……。


 「あの、引きずるのやめてくれないっすかね?」


 『あ、ごめんなさい』


 パッ、とマリルが急に手を放したことにより石畳で整えられた道にうつ伏せで倒れこんでしまった。


 すかさずソラが俺を抱き上げて車椅子におろしてくれた。


 「ソラには世話になりっぱなしで感謝しとるよ……いつもすまないねぇ」


 「マスターのお役に立てたことに、私は嬉しく思います」


 なんだろう、お腹が減りすぎて気持ちがふわふわしてきた。


 あぁ……孫の顔が見たい。


 「マスターがお腹を空かせている……」


 『ま、まかせてください!』


 ソラの視線を受けたマリルは背すじをのばし、鍛えられた軍人にも引けを取らない見事な敬礼を見せると、迅速な案内により俺は一命を取り留めた。





 ☆゜+.☆゜+.☆゜+.☆゜+.☆゜+.☆゜+.☆






 いきなりではあるが、ジャスコは素晴らしいところだと思う。


 食品や衣類はもちろんの事、玩具に本、軽食屋があると思いきや本格的なレストランまであり、ゲームセンターまで完備されているのだ。


 とりあえずどこか行こうか。となったらまずジャスコに行けば大抵どうにかなるものだ。

 ジャスコってすごいね、偉大だよ。


 「まさかジャスコがあるとは……」


 場所が変わって、北西南東中の五つに分けられた区域の一つ、中央区域。


 この中央区域はアーティウスの王が住む城を中心に貴族が多く住んでいる。それに比例し、治安も建物もよく整えられており、売り物も北西南東の地区とはひと回りレベルが違う。

 このジャスコを見ていただければ一目瞭然である。


 しかし、特に出入りの制限をしているわけではない。現にこうして俺はジャスコ内で販売されているハンバーガーとフライドポテトを頬張っているし、周りを見渡せばひと目で身分が違うと判断できる人たちがそれぞれの話題に花を咲かせている。


 どうやらここにいる人たちはあまり身分や見た目を気にする者は少ないらしい。


 「あらお譲ちゃんどうしたの、車椅子なんて乗っちゃって……足が悪いのかい?」


 「あ、その悪いというかなんと言うか……」


 「悪いならおばちゃんに言いなさい! こう見えて昔はそこそこ名の売れた医者だったのよ」


 「ごめんなさい! 足がないんで義足を履いているんです……ですので治しようがないというかなんと言うか……」


 「そう……ごめんなさい、嫌なこと言わせちゃって。私、中央区域の南に小さな診療所をひっそりと開いているの。もしよかったら来てちょうだい」


 そう言って俺の手に飴玉を三つ握らせると、おばあさんは何処かへと去っていってしまった。


 流石に車椅子は珍しいのか……。


 「……はい、飴ちゃん」


 渡された飴玉を、俺とおばあさんの会話を静眼していたソラとマリルに分けて口に含んだ。


 ……ん? 鯖の味噌煮味?




 所変わって……。


 『どおかな?』


 「うん、かわいいパンツだね」


 『でしょ! これね、魔法老女セクシー☆ウィップちゃんの絵が描かれたパンツなの!』


 鼻の穴を膨らませて少し興奮気味に喋るマリル。


 パンツを持って興奮する幼女。この場面だけを切り抜くととてもイケナイ匂いがします。


 てか、魔法老女って……。


 「魔法老女セクシー☆ウィップちゃん。聖剣暦5042年4月6日に記念すべき第一話が放送。魔法老女、と聞きなれない響きで駄作に違いないと先入観を抱いた者が多く、ほんの一握りの者しか第一話を観る者がいなかった。

 しかし、その内容は言葉にし難い程の良作……いや、神作であり作画も視聴者の全てが涙を流した程であったとされている。

 それを知った人々は第二話を視聴し、己の愚行を恥じた。

 それからはその一話を【戻らないひととき】といい、また第一話の視聴者を【永遠の四天王】と呼び讃えられ、現在まで語り継がれています。

 また……」


 「もういいです、大丈夫です、お腹いっぱいです」


 「すごい! ソラも魔法老女セクシー☆ウィップちゃんを知ってたんだね!」


 らんらんと目を輝かせて、マリルはソラに迫った。


 あ、ダメだこれ。ついていけないやつだ。


 俺はそう判断し、一言離れることを述べてから女児用下着のコーナーから離れ、異世界のジャスコはどのような品揃えなのか気になっていたので歩き回っていると、店員に声を掛けられた。


 「いらっしゃいませ、なにかお探し物ですか?」


 決まり文句だね。

 どうしようかほんの一瞬迷ったが、自分で練り歩くより店員に聞いた方がいいかも知れない。

 そっちのほうが無駄がない、と言うよりは車椅子に乗っているからと言う理由の方が大きいのだが。


 「あ、はい。えっとですね───!?」


 振り返って店員を目に映した瞬間───俺は言葉を失った。


 一言で表すならそれは……サバトラの猫。

 二言だと、スーツを着たサバトラの猫。


 要するに、メスケモである。


 上はワイシャツとチェック柄のベストを着込み、下は黒生地の膝丈スカートに同色のヒールを履いている。


 「お客様?」


 わなわな……としている俺が不思議だったのか、店員は小さく首を傾げた。


 はぅわ!


 キュンッてきた。

 どうしよう、久しぶりのメスケモで興奮が高ぶって抑えられそうにありません!


 「あ、あの! 手のひらを見せてもらってもいいですか!」


 高らかに右手を上げ、俺は店員と目をあわせる。

 俺の行動に目を丸くするも、すぐに営業スマイルを浮かべて、「はい、大丈夫ですよ」と手のひらを差し伸べてくれた。


 「おぉ……!」


 感激のあまり、声を漏らしてしまう。

 黒ぶちピンクのおにぎり型肉球。


 触りたい! けど流石にお触りはどうかと思ってしまい、中途半端に伸びている両手が震える。


 「お触りになりますか?」


 「いいんですか!?」


 「はい、いいですよ」


 「ありがとーございます! 失礼します!」


 どうやら察してくれたらしく店員の方から許可をいただけた。

 心の底から感謝をし、俺はその肉球に手を伸ばした。


 ちょん


 「ふあぁ……」


 ソラの肉球とは違い、つるっとした表面の肉球。

 今度は両手でしっかりと、しかし割れ物を扱うかの如く慎重に肉球に指を沈めた。


 「あったかくてやわらか〜」


 溶けそう……いや、溶ける。


 そんな俺にとどめを刺すかのように、店員は営業スマイルではなく母性溢れる笑みで、空いている方の手を頭に乗せて優しく撫でてきた。


 「はうぅ……」


 死んでもいい。思い残すことは何も無い。例えあったとしても、今の心情なら些細なことである。聖剣? なにそれ美味しいの?

 死ぬなら今がいい。


 しかしあまりにも極楽過ぎて、実はもう天に召されてるんじゃないか? と錯覚してしまうほどだ。

 気分は最骨頂だ。


 誕生日以来、ケモノ成分を補充してなかったからな。身も心も非常によろこんでいる。


 来てよかったジャスコ。


これからもちょくちょく入れていきます(断言)


なにかありましたら気軽にコメント下さい

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