20話
ふう、なんとか書くことができた。
……え? 短い? 気のせいさヽ( ´ー)ノ フッ
上下左右の方向を感知するのが困難と思われる程の真っ白い空間。
真っ暗い空間はあったとしても、世の中には決して存在しないと断言できる空間だ。
いや、ここを“空間”と区切りをつけてもよいのか? と疑問に思えてしまう。
それ程までに、ここは白いのだ
そんな白い世界にぽつりと、薄汚れたローブを羽織り顔をフードで隠した“モノ”が腰を下ろしていた。
「やぁ、久しぶりね」
「ん? ……あぁ、キミか。どうしてこんなとこにいるんだい? 珍しいじゃないか」
座っているローブ姿のモノの背後からもう一人、同じようなローブを羽織ったモノが近付いてきた。
トーンの高さからして女性だろうか。
座っている方は男性の声だ。
「そうかしら……うん、そうね。普段はこっちになんて“歩いて”こないものね」
くすりと、女性は軽く笑う。
「それもそうさ。ここは僕の管理下だからね。……で、わざわざ会いに来たってことはなにか用事でもあるのかい?」
「えぇ、実はお願いがあってここに来たのよ」
「へぇ〜、お願いね……」
沈黙が入り、二人の仲に不穏な空気が漂い始める。
「残念だけど、キミのお願いは聞き入れられないかな。今は忙しいのさ……誰かさんが“ひとり”余計な異物を混ぜてくれたおかげでね」
沈黙を破ったのは男性の方であった。
よいしょ、と重たそうな腰をあげ、女性と向き合うように体を反転させる。
「だからさ〜早く帰ってくれないかな?」
少しだけ、空気が歪んだ気がした。
「あらあら、随分とお怒りのようですね……ねぇ? 創滅……いや、ここでは“ウォーカー”と呼ぶべきだったわね」
女性は笑みを浮かべる。しかし、浮かべた笑みは先程の軽めのものとは違い、べたつくような笑みであった。
舌舐りをし、クツクツと笑う。
「言いたいことはそれだけかい? 言い終わったならさっさと消えてくれるとありがたいんだけど……」
呆れたように、トーンの下がった口調で言葉を放つ。
「そうね……さっさと要件を済ませてこの気持ち悪い場所から去るとするわ。まぁ、その為にはまず……“お掃除”をしなくては」
女性はさらに顔を酷く歪ますと、地面と思わしきところに踵を突き立てた。
瞬間、空間が震えた。
ぐらりと女性の足元が歪み、そこから黄金色の玉座が現れた。
「それは……まさか!」
驚愕に顔を染めるウォーカーを尻目に、女性は跳躍し玉座に跳び乗る。
そして、玉座の背もたれから生えた柄を逆手で掴むと勢い良く引き抜いた。
収納されていた幅広い両刃の剣が唸りを上げて空を斬り、その反動を利用してくるりと剣を回転させて順手に持ちかえる。
晒された剣身は刃の部分が紫色に鈍く発光していた。
「全く、本当に面倒を増やしてくれる」
「大丈夫よ、安心してウォーカー。アナタは私に任せて楽になってしまえばいいのだから」
女性の言葉にウォーカーは嘲笑する。
「寝言は寝てから言ってもらいたいね。キミが僕に勝てるとでも思っているのかい?」
女性は一瞬、キョトンとした顔をするがすぐにウォーカーの言葉を笑い飛ばした。
「逆に尋ねますけど、今のアナタが私に勝てると思っているのかしら?」
「それじゃあ、面倒だけど試してみようか」
ウォーカーは一瞬だけ空間を歪ませたと思うと、そこから一振りの鞘に納められた刀を取り出していた。
柄頭から伸びた鎖が、その力を封じるかのように刀と鞘に絡みついていた。
「あら? まだそれだけの力を残していたの? これなら退屈せずに済みそうね」
満足気に頷く女性に、ウォーカーは見据えているだけであった。
「つまらない男。そんなんじゃ、もてない……わよ!」
ギラリッと剣身を構え、ウォーカーに斬りかかる。
それを迎撃するためにウォーカーは鎖を解き、その鞘から刀身を引き抜いたのだった。
-*- -*- -*- -*- -*- -*- -*- -*-
「……ん?」
プツリと、繋がれていた糸のようなものが不意に切れた感覚が体を走る。
しかし、その正体がなんなのかが考えてみるが結局わからんじまいであった。
「どうかしましたか、マスター?」
俺の変化に気づいたのかソラが尋ねてくる。
返答しようにも、よく理解していないため適当にはぐらかした。
そんなことより、今日ギルド登録後の初めての依頼だ。
デビュー戦である。
「よし。ソラ、張り切ってがんばろう!」
「はい、マスター」
ソラの返事を耳にし、俺は依頼をこなし始めた。




