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14話

早く「俺TUEEEEEEEEEEEE」書きたい……でも、まだその時ではない(キリッ

 ……夢をみた。


 夕暮れ時の公園。そのベンチに座りながら淡紅色の毛並みの子ぎつねを撫でる夢だ。


 「やぁ」


 「……なにしてるんですか、ウォーカーさん」


 「ん? なにって……ブランコ漕いでる」


 ☆⌒v⌒v⌒ヾ((`・∀・´)ノ ヒャッホーィ♪ とテンションを高めながらブランコをめいいっぱい漕ぐ、ローブ姿の男……ウォーカー。


 違う、そんなことが聞きたいんじゃない。……いや、これは俺の聞き方が悪かったな、うん。


 「……質問を変えます。どうしてこんなところにウォーカーさんがいるんですか? ここって俺の夢の中ですよね? ……あれ、もしかして俺ってまた死んだの?」


 「あー、大丈夫大丈夫。キミは死んではないし、僕が無理矢理入っただけだから」


 ウォーカーはひょいとブランコから飛び降りて、俺の隣に座ってきた。


 「無理矢理……と言うと?」


 「本来、僕たちはこの世界に干渉してはいけないんだ。干渉すると、いろいろと問題が生じるからね……」


 「僕たち?」


 俺の発言に頷いて、ウォーカーは言葉を続けた。


 「そう、僕たち【神族】は最初に世界を創ること以外は干渉が許されないんだよ。……なのに、どこにもバカはいるもんでね。僕たちの中から関わったバカが現れたんだ」


 はぁ、と溜息をつくウォーカー。


 「その神が干渉したということはなにか問題が発生したってことですよね」


 「うん。その問題っていうのが……術式と聖剣なんだ」


 「え!?」


 驚愕のあまりに子ぎつねを撫でる手を止めてしまう。

 子ぎつねは「はやく撫でろ!」と言わんばかりに止まった手のひらに顔を擦りつけたり、舐めたりしてくる。


 「……それに対してなにか対処はしたんですか?」


 思考がある程度整ってきて、落ち着いてから撫でるのを再開する。

 子ぎつねは満足そうに体を丸めた。


 「もちろん、すぐに対策はしたよ。でも失敗したのさ」


 対策はすぐにした。しかし、失敗に終わった……。


 聖剣が現れたのはずっと昔のことだ。そして魔剣が現れ、聖剣に選ばれし剣聖が出てきて封印した、という話しだが……。

 ………魔剣?


 「まさかとは思いますけど、魔剣っていうのは……」



 「へぇ〜よくわかったね。そうだよ、その魔剣が僕たちが用意した対策だよ。まぁ、結果は知っての通り封印されちゃったけどね」


 少し呆れ気味にそう言い放つ。


 「術式に関してはどうする気なんですか?」


 「当時は術式がまだ普及してなかったからなんとでも出来たんだけどね……今はもう術式に関しては諦めてるよ。もう世界の一部になってしまったし」


 確かに、生活の一部として活用されている術式が今無くなったら皆混乱するだろう。


 「まぁ、これ以上話すことはあまり良くないしお喋りはここまでにしよう」


 そう言うとウォーカーは顔をこちらに向けてきた。

 俺の目を見つめるようにしてこちらを見るウォーカーに俺はなんかこう、落ち着かない感覚に襲われる。


 「そして本題に入るけど……その前にそのきつね、気にならない?」


 実はかなり気になっている。この子ぎつね、不思議なことに親近感が沸くのだ。撫でることにより生じる毛並みの感触も手に馴染むように感じる。


 「実はそれ、キミの中にある魔人の血なんだよ」


 「……なんですと?」


 「前に言ったと思うけど、キミはハーフなのはわかるよね? んで、本来ならばこんなこと必要ないんだけど、キミは一度死んだことによってこの世界の因果から外れちゃったせいでキミ自身の体とも途切れてしまったんだ。思わなかったかい? 魔力が少ないって」


 そう言われ、イヌガミとの戦いを思い出す。

 確かに、魔力がもっとあればとは思ったけど少ないとは思えない。


 「キミは貧乏症なのかな?」


 「……やっぱり聞こえるんですね」


 「こう見えて一応、神様みたいなもんだからね……で、話を戻すけど実はね、キミの魔力は本当ならもっと多いはずなんだ。あの程度で魔力切れを起こすのはおかしいんだよ。それに、魔力の回復が早いと思わなかったかい?」


 む、言われてみると確かに早かった……気がする。


 「それはその子の魔力が少しだけ流れたからなんだ。まぁいいや、とりあえず、その子と契約しちゃって」


 「え、いきなり!?いきなりですか!」


 「いきなりって……キミ、ちゃんと話し聞いてた?」


 燻しげな顔でこちらを見るウォーカー。

 ……いや、顔はフードで隠されてるから本当に燻しげな顔になってるかはわからないけどね。


 「要するに、キミとキミの体が馴染んでないせいで本来の力が引き出せてないんだよ。……この子は今の体そのものだからね」


 「そのもの……」


 視線を膝の上で丸まって寝ている子ぎつねに落とす。


 ……ワシの体ってこんなにもモフモフでケモケモだったっけ?


 「もういいよ、何も考えなくていいから早く契約しちゃって」


 相手にするのが面倒くさい、と聞こえてきそうなほどのテンションが低くなっている。


 ブランコを漕いでいた時とは大違いだ。


 「ブランコはいいものだよ。童心に戻れるからね」


 何かを察した子ぎつねは目を覚ますと身軽に膝から降り、体を反転させて俺と向き合う。


 「くぉん」


 ゆらりともっこもこの大きな尻尾をひと振り。

 その瞬間、子ぎつねから強烈な光が放たれる。

 俺はそれを手をかざし、目を背けた。


 「……なっ」


 光が収まり視線を戻すと、先程まで子ぎつねが座っていたところに、それはもう巨大な狐がお座りで俺を見下ろしていた。

 桜花のような毛並みに、その顎から腹下に伸びる雪のような白毛。

 背後には朧気に揺れる、九つの尾。

 なにより、目を奪うのがその狐の双眸。

 海のように深く蒼い眼に浮かぶ、三つ巴の瞳。


 「さぁ、早く」


 ウォーカーの言葉に促されて立ち上がり、狐と対面する。

 契約の仕方は……わかる。自然と頭の中に浮かび上がってくのだ。

 やり方はそう、あの時のように……手のひらに魔力を集中させる。

 あの時……そうあの時、聖域おへそに触れた時のように!


 カッ! と顔をあげ、術式を展開する。

 そして、術式を狐に添えた。


 ……そう、この感覚は感じたことがある。イヌガミの時と同じだ。まるでひとつになるような感覚。


 「っ!」


 次に感じたのは魔力の逆流。いきなり向こうから魔力が流し込まれたみたいだ。

 イヌガミの時にはなかった感覚。




 どのくらい経ったのだろうか。気がつけば既に目の前にはあの狐が消えていた。

 終わったのかと思った俺は伸ばしていた腕を見てギョッとした。

 腕を覆う外側が桜色、内側が雪色の獣毛。

 さらに、頭に違和感を感じ手を伸ばして触れてみると……柔らかい2つの突起物。

 そしてちょうど尾てい骨の辺り……いや、まんま尾てい骨のところだ。

 すごーくやな予感がする。

 ちらりと見てみると……ゆらゆらりと揺れる尻尾。


 ……………て、


 「なんじゃこりゃぁぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」








(; ・`д・´) (`・д´・ ;)








 「それじゃ、早速本題に入ろうか」


 あれから無事に元に戻ることができた俺は膝の上でのんきに丸まっている子ぎつねを撫でながらウォーカーと対面する。


 「ココアでいいよね」


 パチンッと指を鳴らして、目の前のテーブルに2つのマグカップを出現させる。

 その片方を俺の方に渡してきて、ウォーカーは自分の分を一口飲んだ。

 それに続いて俺も口に含んだ。

 ……ココアだ。


 「実はね、キミにお願いがあってここに来たんだ」


 「お願い……ですか」


 なんかやな予感がするぞ? てかやな予感しかしないぞ? 大変だぞ!


 「聖剣、封印してくれない?」


 なにその「ちょっと、買い物行ってくれない?」てきなノリ。やめて、そんな軽いノリで言うことじゃないでしょ。


 「もちろん、今すぐにとは言わないよ。キミの判断で封印してくれればいいからさ」


 「いやいやいや、聖剣ですよ? バケモンですよ? 俺には無理なんじゃ……」


 「大丈夫大丈夫。なんたってあそこには僕の最高傑作があるんだから。それを使えばちょちょいのちょいだよ」


 最高傑作って……いやいやまさか。


 「……まさかとは思いますけど、魔剣なんて言いませんよね?」


 「そのまさかさ!」


 ……今日はとても綺麗な夕日だな。なぁ、そうは思わないかい? もうひとりの僕。


 「くぉん!」


 ハッハッハ。そんな元気よく返事をしてくれるなんて、とても嬉しいぞ。


 「こらこらキミ、現実逃避はいけないよ」


 「逃避したくなりますよ! なんでよりにもよって封印された魔剣なんですか!」


 「なんでって……あれが唯一聖剣に対抗できる手段だからだよ」


 「でも現に封印されちゃってるじゃないですか」


 ジトッとした目つきでウォーカーを見る。

 ウォーカーは自分の分のココアを口に運び、一口、また一口と喉を通してから一息つく。


 「……例えば、キミの目の前に導線のついた爆弾があるとしよう」


 おい、なんか例え始めたぞ。どうすりゃいいんだこれ。


 「そして目の前で導線に火をつけられたとする。もちろん、キミは自由に動き回れる……さて、キミはどう対処する?」


 「そりゃあ自由に動けるならすぐにでも火を消すために……」


 ……え? なにそういう事なの?


 「いやー、魔剣を送ったはいいけど、まさか適合者が現れる前に封印されちゃうとは思わなくてさ。優秀だね、剣聖たちは」


 うんうん感心感心、キミも見習いたまえ。と言葉を続けた。


 「ちょっと待て。それ完全にあんたのミス!」


  「おぉっと、もうこんな時間か。僕はもう帰るよ……それじゃ聖剣の封印は任せた、期待しているよ」キリッ


 「いや、だからちょっとま───」


 ガクン……といきなり意識が持ってかれそうになる。

 どんどん遠ざかり、ぼやけていく意識の中でウォーカーの言葉が最後に響く。


 「あの子を……イヌガミをよろしく」


 そして、俺の意識は完全に暗転した。


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