15.ダブル フェイトフル エンカウンター-3-
ルッベ少年は驚き背後のカーテンを見つめた。とめられるわけなかった。墓守はもうすぐそこまできてるはずだ。鞭を振るおうと前をみようとした時だった。カーテンを開き、リディアが顔を出した。
「ルッベ!馬車をとめなさい!」
「いやだ!!」墓守がそこまで迫ってきているのに、馬車をとめるなんてわけがわからなかった。ルッベ少年はまだ墓守を恐れていたし、グレスフォード家に墓守がやってきたことをリディアには絶対にしられてはいけないのだ。アレーネ・グレスフォードと墓守がなにを話をしたのかはしらない、だがそのことを絶対に知られるわけにはいかなかった。
「…ちょ、ちょっと!!…いいからとめなさい!!前を見て!!」
「…墓守が……!!」
「そうじゃないの!!とめて!!」リディアは恐ろしいほど目を見開き前を見つめている。
「だから霧だ……。あっ……!!」ルッベ少年はリディアの視線をたどり前をみた。だがすでに手遅れだった。
道の真ん中に黒い影がうずくまっていた。人だった。どうやらその影は霧のせいだろうか馬車に全く気付く様子がなく背中を馬車に背を向けうずくまっていた。馬車は人影をいまにも轢こうとしていた。
二人は息を飲んだ。ルッベ少年は目をつぶり手綱を握りしめた。