表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/140

29勇敢なる者たち-3-


 辺りにはかび臭い匂いが微かに漂っている。リディアーヌ・グレフォードはランプの明かりを左右に向けながら山脈のように連なる白いシーツをあてもなく眺めていた。そこはグレスフォード家の倉庫になっており、多くは武器や鎧の類が置かれていた。幾分質が良く見栄えのするものは、売り払うか、装飾として屋敷に飾られていた。とりあえず、手近なシーツを一枚取り払うと、そこに甲冑が姿を現す。肩のあたりが大きくへこんでおり、おそらくは売り物にもならないだろう。

 リディアは深くため息をついた。馬車に隠されていた赤さびたサーベルが思い出された。これらガラクタともいえる。武器、鎧の数々はまるで現在のグレスフォードの象徴とさえ思えた。

ランプの明かりを倉庫の奥に向けるとシーツの奥へとリディアは歩み進んでいった。手ごろな木箱を見つけると、ランプをそばに置き思い蓋を開いた。中には革製の小手や何かが乱暴に放り込まれていたが、彼女の目はその隙間に鉄製の網目を見つけた。手を突っ込みそれを取り上げる。鎧の下に着こむ鎖帷子/(くさりかたびら)だ。

リディアはその重さを確かめるように両手で広げ、サイズを確かめる。

「うん、これくらいなら……少し大きいわね」

 そういいながら、リディアは頭から鎖帷子を被り、肩と脇腹のベルトを締めた。

「うん、なにもないよりはましね」

 そういうとランプを取り上げ、壁に欠けられてる武器に光を当てる。槍に斧、どれも重くリディアには不釣り合いに思える。剣でさえも、リディアが持ち上げて振り回すには重く大きかった。彼女は倉庫の一端に武器の置かれている場所を見つけそこに歩み寄っていく。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ