表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

絶滅危惧種 〜バカと親友〜

作者: 白夜いくと
掲載日:2026/04/26

「俺ってさぁ」

「……」


 分かってる。ユタカはバカなことしか言わないって。だから身構えることなく玉子サンドイッチを食べた。ユタカは僕の目を真剣に見つめながら言った。


「絶滅危惧種なんじゃね?」

「……」


 ユタカは目を輝かせていた。そんなことより、玉子サンドイッチのカラシがいい塩梅でおいしい。

 ユタカは、続ける。


「だってさ、俺って一人しかいねぇじゃん! 俺が死んだら俺が絶滅する!」


 したらきっと静かだろうなぁ。と思いつつ、パックのオレンジジュースを飲む。ちょっと酸っぱい。目が少しピリッと動いた。

 僕の表情を見て、ユタカは何かを察したかのように続ける。


「コウキも、絶滅危惧種だ!」


 コウキ。僕の名前ね。

 僕が黙って聞いていると、ユタカは道行くお婆ちゃんや散歩中の犬、子どもなどを見て苦しむように頭を抱えた。


「世界が、絶滅危惧種だ……」

「……」


 ユタカは、少ない脳みそで情報を処理しようとしている。僕はずっとそれを見ている。ユタカはこの難問の答をどう弾き出すのか。バカの答えを聞かせてくれ。


「俺、今ある命を親友のお前に使う。だから俺になんかあったら真っ先に俺のことを憶えててくれよな」


 ……。

 この絶滅危惧種は、本当に絶滅危惧種らしい。


「僕は、君と友だちになったつもりないけど」

「え!? だって、帰り道同じじゃん!」

「それが友だちになる理由になるの?」

「一緒に帰ってんだから親友だろ!」


 こんな変でバカな奴。初めてであった。絶滅危惧種かつ天然記念物。


「余ったからサンドイッチあげる。ユタカ」

「お! カツサンドだ! サンキュー!」


 ユタカが何の疑いもなくカツサンドを手に取って食べている。僕の手は親指が変な方向に曲がっていて気味悪がる人が多いのに。


「ふふ」

「どした?」


 ユタカが僕の方を不思議そうに見た。


「餌付けって楽しいね」

「なんだとぅ!」


 絶滅危惧種は、僕の手を払わなかった。僕の唯一の親友。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
友情が感じられるいい作品でした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ