表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モケジョの異世界聖女ライフ ~模型神の加護と星降りの巫女の力に目覚めた私~光の王子の距離感がバグっているんですが!  作者: Ciga-R


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

120/141

第110話 個性の暴力が揃った時、可愛いが戦場を凍らせ、鋼が未来を守る



 そして――


「ふふ……これが聖女さまの噂にきく模型神の加護なんだね」


 リリアが、ひとつ大きく、くるりとターンしてから一歩、前へ。


 その足取りは軽やかで、どこか舞台のセンターに立つアイドルのようだった。


「じゃあ、私も――そろそろ本気、出そっか」


 指を鳴らす、軽快な音。その瞬間、足元に魔法陣が展開された。


 それはただの魔法陣ではない。


 ハート、星、リボン、チェーン、そして謎の文字が入り乱れた、“量産型地雷系”の意匠が詰め込まれた、極彩色の魔法陣。


「さあさあ、始まるよ~! 地雷系魔法少女、変身実況タイム!」


 カラフルな光がリリアの身体を包み込み、量産型地雷衣装――過剰なフリル、アクセサリーとなったクロス、透け感満載のブラウスが、光のリボンの乱舞に巻き込まれて、派手に爆散!


「さよなら、量産型! こんにちは、個性の暴力!」


 光の中心で、リリアがくるくると回転するたびに、新たな衣装が編み上がっていく。


 フリル! リボン! 星の紋章! 絶対領域とハイヒール、そして背中には謎の天使ウィング!


 完成したその姿は――まさに“地雷系魔法少女”と呼ぶのがふさわしい夢と理想を詰め込んだ、戦場のアイドル。


「第七研究院式・人格最適化戦闘形態」


 リリアがウインクひとつ、指先でハートを描きながら高らかに宣言する。


「――コードネーム、《マギア・リリア》、いっきまーす♪」


 その刹那、魔法陣が爆ぜるように輝き、戦場にピンクと紫の光が降り注ぐ。


 瘴気が一瞬たじろぎ、仲間たちの顔にも、思わずこわばった笑みと困惑が浮かぶ。


 だが、誰もが理解した。この姿のリリアは――“本気でやばい。それも”なんだか解らないけど”とんでもなくやばい”と。


 魔法陣の光が収まり、《マギア・リリア》がポーズを決めたその直後――


 柚葉が、ぽつりと呟いた。


「……こんな可愛いのに、本当に男の娘……?」


 その声は小さかった。


 けれど、戦場にいた全員の耳に、なぜかクリティカルに届いた。


「にゃ!? にゃにゃっ!? そ、それって、えっ、えっ、そうなのにゃ!?」


 ニャルディアが耳は、せわしなくぴくぴく。


「はぁ?  これで男の子!?  いやいやいや、どこをどう見たらそうなるんだよォ!?」


 ブレンナが目をひん剥き、ハンマーを肩に担いだまま、リリアを二度見、三度見。


「いや!  いまはそこ言わないで!? 戦闘中なんだから、空気読んで!」


 リリアが顔を真っ赤にしながら、スカートの裾を押さえてくるくる回る。だが、その動きがまた可愛さを加速させてしまうという、地雷系の罠。


「……でも、ほんとに可愛い……」

「……いや、だからって……」

「……え、ちょっと待って、混乱してきたにゃ……」


 戦場の空気が、ほんの一瞬だけ和らいだ。


 だが、その中心にいるリリアだけは、「もうっ、戦いに集中しよ~!」と、頬をぷくっと膨らませて困惑ぎみ。


 その姿がまた一段と可愛く、虚邪の巨人ですら一瞬、動きを止めるほどの“謎の沈黙”が戦場に流れた。


 誰もが言葉を失い、「……え、今、何が起きているの?」という空気が、瘴気の中にすらほんのり漂う。


 その“ほんわかしすぎる”空気を、柚葉がそっと塗り替える。


 彼女の手元に、またひとつの構造体が浮かび上がった。


 それは、猫のようなフォルムを持つ、鋭利な装甲片の集合体。


「ニャル、これ――あたしが昔、猫型アーマーのフィギュア作ったときのやつ。うちの近所にいた野良猫がモデルでね、すっごく気が強くて、でも子猫には優しくて……“戦う猫”って、こういうのかなって思って、ずっと形にしたかったんだ」


 その声に、ニャルディアの耳がぴくりと動く。


「ユズハ様……本当にうちにも、くれるの、にゃ?」


 柚葉は、にこっと笑って頷いた。


「うん。今のニャルに、ぴったりだと思うから」


 機械音が、低く唸った。


「《キャットアーマー》――展開にゃ」


 首輪が砕けるように分解し、黒鉄と蒼銀の装甲片が、ニャルディアの身体を包み込んでいく。


 肩から背中へと伸びるのは、獣の脊椎を思わせる可動フレーム。


 脚部は逆関節構造となり、跳躍力と着地衝撃を極限まで吸収する設計。


 前腕部には、展開式のクロー・ブレードが収納され、指先から肘にかけて走るラインが、淡く青く発光する。


 そして――兜。


 猫耳を模したシルエット。だが、そのフォルムには一切の可愛げはない。鋭く、無骨で、完全に“狩るため”の形。


「……ごっつい、にゃ?」


 自分でそう言って、ふっと笑う。その笑みは、どこか誇らしげだった。


「でも――これでいいにゃ。うちは、前に出て、斬って、引き裂く役にゃ」


 その瞳が、虚邪の巨人を真っ直ぐに射抜く。


「子どもたちを助けだすにゃ。――それが、うちの戦い方にゃ」


 次の瞬間――


「ハッ! ならよォ……オレも黙ってられねぇよなぁ!!」


 ブレンナが、豪快に笑った。その声は、戦場の空気を震わせる雷鳴のように響き渡る。


 背中の巨大ハンマーを、地面に叩きつける。


 ゴォン!!


 重低音が地を揺らし、円状の衝撃波が地面を走る。瘴気が一瞬たじろぎ、空気が震えた。


「オレまで変身する日が来るとは思わなかったけどなァ……!」


 彼女は、腰に巻いたベルトのバックルを引き下げる。その動きに、柚葉がそっと呟いた。


「……それ、あたしが昔作った“戦う鍛冶師”のフィギュアが元なんだよ」


 誰に言うでもなく、ただ懐かしむように。


「火花を散らしながら戦う、巨大ハンマーの職人。“守るために叩く”っていうコンセプトで、何度も設計やり直して……最後は、大好きなアニメのキャラを思い浮かべながら、完成させたの」


 その想いが、今、形になる。


 瞬間――


 地下から、金属音がせり上がる。床が割れ、噴き上がる蒸気の中から現れたのは、巨大な装甲ユニット。


 分厚い鋼鉄。無数のリベット。魔導炉を内蔵した、完全な重装甲戦闘アーマー。


「《フォージド・コロッサス》――フルドライブ!!」


 装甲が、ブレンナの身体を包み込み、脚部は地を砕く杭のように太く、胴体は城壁のごとき厚みを誇り、両腕は、もはや人の腕ではない。


 それは、攻城兵器そのもの。


 右腕には、巨大な打撃用ハンマー・ユニット。左腕には、衝撃波拡散用のシールド・ブレイカー。


 全身から立ち上る蒸気と魔力の奔流が、戦場の空気を一変させる。


 兜の奥で、ブレンナの目が光る。


「オレはよォ……守るってのは、壊されねぇ壁になることだと思ってんだ」


 装甲が、ギシリと鳴る。その音は、まるで“決意”そのものの咆哮。


「だから――」


 巨人を睨み据え、拳を握りしめる。


「ここから先、一歩も通さねぇ!!」


 その声は、まるで鋼鉄の宣言。“守る者”としての魂が、今ここに、完全武装で立ちはだかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ