1/6
プロローグ
少年は、燃え落ちていく城を眺めていた。
父と兄は帰って来るだろうか。
母を病気で亡くし、親戚も年上の友人もたくさん戦いに駆り出されていった少年にとって、それはとても大切なことだった。
だが、ここで突っ立って居ても4歳の子供の自分に出来ることはない。そう判断したのか、城に背を向け、少年は走り出した。その時だった。
布切れのような服を纏った、灰色の髪の、今にも力尽きそうな薄汚れた少女が視界に入った。
少女は怪我を負っていて、自力で歩くのもままならない様子だった。それに、このままここにいれば、城の崩壊に巻き込まれる。そう思ったのか、少年は少女を半ば抱えるようにして手を取り、その場から走り去った。
読んで頂きありがとうございます。
コメント・リアクション頂けると嬉しいです!




