表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/35

第12章『1階統一-新たな拠点-』

戦いの終わった俺たちは、掛矢と塗男さんと一緒に、立体駐車場にあるアジトへ戻った。

俺と掛矢が無事で戻ったことを、親父――釘宮 元は鬼のような形相で出迎えた。


釘宮 元「バカ野郎ォォッ!!!勝手な真似しやがってぇぇ!!」


怒鳴り声が響き渡る。

でも――怒鳴った直後、親父は俺と掛矢を無言で抱きしめた。


釘宮 元「……よく、生きて帰ってきたな」


塗男さんは申し訳なさそうに頭を下げていた。


塗男「……俺が付いていながら、止められず申し訳ない。」


元は最初は怒っていたが、塗男さんの誠意に触れると、少し拗ねたような顔で首を振った。


釘宮 元「もういい……次からは気を付けてくれ。」


そして、これで釘宮工務店が事実上“1階全域”を制したことになる。


立体駐車場のアジトは、これからは「ヤード」――生活物資や作業資材を置く倉庫として利用し、

みんなで1階の区画へ移動することになった。


1階の現場に入ると、小手屋左官店の代表、小手屋 学さんと、その職人たちが一同で出迎えてくれた。


小手屋 学「このたびは……本当に、ありがとうございました」


深々と頭を下げる小手屋代表たちに、俺たちは「これからは一緒にやっていきましょう」と声をかけた。


奥のほうでは、足鳶 組也を筆頭に、足場技研の職人たちが足場材を使って、それぞれの仮設部屋を組み立てていた。


今では――

『大工』釘宮工務店

『塗装屋』塗装戦隊

『左官屋』小手屋左官店

『足場屋』足場技研


そして2階で足場技研に敗北し、区画を吸収された

『電気屋』山本電工

『内装屋』内村内装

『鉄筋屋』上鉄鉄筋工業

『型枠大工』型木工房

『荷揚屋』大筋揚重工


さらに、1階で区画を奪われた

『造園屋』緑山造園建設

『防水屋』水上防水


――合計11社が揃う、巨大な職人連合が誕生した。


一度、代表だけで顔合わせをして、2階に挑む戦力を固める必要がある。



そのとき――


足鳶 組也「お身体はもう大丈夫そうですか?」


にこにことした笑顔で、組也が声をかけてきた。


釘宮 大工「ああ、もう大丈夫! 組也も平気か?」


足鳶 組也「私ももう問題ありませんよ。

今は皆さんの部屋が仮設完了に近づいておりまして。

余ったスペースには、足場材でベンチや共用スペースなども設けようかと」


釘宮 大工「ありがとうな、組也!」


足鳶 組也「いえいえ、礼には及びませんよ。

おや?棟梁ももう来られたのですね。

では、棟梁にご挨拶してまいりますね」


その後、親父に説教を喰らっていた。

あれは相当怒っていたんだろう。

組也は終始頭を下げ、親父は「職人とはなんたるか…ッ」と怒鳴り散らしていた。


時間が経ち、日が暮れ始める。

荷物の移動もすべて完了し、足場技研の仮設部屋も完成した。


それぞれの職人たちは、部屋で身体を休めていた。


涙を流し、奴隷からの解放を喜ぶ者。

かつての苦しみを忘れられず、組也への憎しみを拭えない者。

未知の2階への不安に震える者。

――皆が、様々な思いを抱えながら夜を迎えた。


ただし、各社の代表たちはまだ寝ていなかった。

今夜、代表たちによる“戦力会議”が始まる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ