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プロローグ『壁の向こうで生きる誇り』

西暦2100年――

第三次世界大戦が勃発し、地球はかつてない混沌と絶望に包まれていた。

だが、意外にもこの戦争を終結へと導いたのは、核兵器を一切保有していなかった小さな島国――日本であった。


「職人の国」――そう呼ばれ続けてきた日本。

その日本が、極秘裏に開発していたある薬の存在が、世界の命運を大きく変えた。


その名も――

『ガテン錠(G.T.N.)』。


核を持たぬ日本が選んだのは、兵器ではなく“人間”だった。

日本政府が爆弾や戦車の代わりに目をつけたのは、日本の物作りを支える者…

ガテン系職人たちだったのだ。

彼らは、生まれながらにして強靭な肉体と精神、そして何より、磨き上げた“技術”を持っていた。


G.T.N.は、その技術を“異能”として昇華させる禁断の薬だった。

それはまさに、“職能”を“戦力”へと転化する禁忌の魔法。


結果、彼ら職人軍は、各国の軍隊を圧倒し、戦争を終結へと導いた。

世界は再び秩序を取り戻し、職人たちは人々に英雄と称賛された。


――しかし、それは束の間の栄光に過ぎなかった。


数年後。

日本政府は恐れ始めていた。

かつて英雄だったはずの職人たちは、今や一人ひとりが国家を揺るがす“力”を持つ存在となっているからだ。


「このままでは、国家が転覆されるかもしれない」


政府は、大手ゼネコンと手を組み、極秘裏に【職人抹殺計画】を計画。

名目は“記念施設の建設”。

だがその実態は、G.T.N.を投与された全職人と、その血を引く職人達を、一つの巨大建設現場に集結させ、

現場ごと包囲・爆破し、根絶やしにするための陰謀だった。


気づいた時には遅かった。

幾人もの仲間が倒れる中、職人たちは命を賭して現場の外周に“壁”を築いた。

鋼鉄と技術の粋を集めたその壁は、政府軍の砲火すら通さなかった。


そして彼らは、その現場を独立国家と宣言した。


その名は――


『ガテン国』 と。

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