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ASD(自閉スペクトラム症)はこうしていじめられる

作者: 樋口諭吉

 多元的な「好き嫌い」と二元的な「好き嫌い」は周囲に与える影響が異なっています。


 「多元的な好き嫌い」は、Aのこういうところが好き、Aは部分的に好き、Bのこういうところはしっくりこない、など


 「二元的な好き嫌い」は、Aしか勝たん、B嫌い、など


 前者は多様性として解釈され、周囲と発話者の間で摩擦を高めないのですが、後者は二元的であるがゆえに周囲の何処かで摩擦が生じ「敵味方判定」に使われます。


 ASD(自閉スペクトラム症)の人は、好き嫌いを率直に表現することが多いのですが、これが「二元的な評価」として現状周囲に解釈されています。


 不幸なのはASDの人が「中立的な意図」や「多元的な意図」をもって状態の表明などを直截的に発言している場合で、その場合でも直截的な物言いであるがために、周囲の人はそれを「白か黒か」の二元的な判断として受け取って「敵か味方かを判定するメカニズム」に組み込みます。


 敵味方を判定するメカニズムは以下のとおりです。


『好き嫌いの「二元的評価」を受け取り、周囲と近い情報を「確証バイアス」によって受け入れ、周囲と遠い情報を「認知的不協和」として排除します。』


 このメカニズムは、好き嫌いの「二元的評価」がもたらされる度に起動しループします。


 ループが回るたびに周囲に共感が発生し、共感は報酬系とリンクしていますから、周囲はより共感を得ようと認知的不協和の情報をご注進し共有します。


 やがて認知的不協和が大きくなるとASDの人が周囲から敵視され排除されます。


 ASDの人が直截的な「好き嫌い発言」をするたびにどこかで衝突が発生し、認知的不協和の周囲への御注進(社会的制裁)が行われるのです。


 そうして認知的不協和を解消しようとする動きの中で、結果的にASDの人は排除されてしまいます。


 また、この排除の過程では、周囲の人々がASDの人を「集団の調和を乱す存在」として記憶し、結果的にASDの人の自己肯定感が低下し、孤立を深めるという悪循環が生まれます。


 不幸なことだ、とぼくは思います。



 ・フロー


 ASD者の直截的「好き嫌い」表現(多元的・中立的意図)

 ↓

 受け手の「二元的好き嫌い」分類器で処理

 ↓

 確証バイアス/認知的不協和による共感ループ起動

 ↓

 敵味方判定 → 認知的不協和の御注進(社会的制裁)

 ↓

 ASD者の自己肯定感の低下

 ↓

 ASD者が「摩擦の源」として記憶され、排除へ


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