第9話 初めての合コン
合コンには、遊衣さんと駅で待ち合わせをしてから向かった。初めてなので、何をするのかも分からない。
「カラオケで歌ってゲームをして、お菓子を食べながらお話しするだけよ」
そう笑いながら教えてくれた。それで仲良くなって、お付き合いしても良いかな?と思う相手がいたら、連絡先を交換したら良いわよと言われた。
嫌なら断っても良いのよと言われて、少し気が楽になった。僕は女子になったばかりなので、男子とのお付き合いとかはまだ考えられない。
カラオケ店に着くと、VIPルームに案内された。中に入ると男子が5人ほど既に揃っていて、全員がサングラスにマスクをしていて、同じ姿なので笑いそうになった。そう言う僕も、同じ姿なのだけど。
「遅くなって、ごめーん!」
遊衣さんは慣れた感じで、年上の人たちにもタメ口で話していた。女子も僕と遊衣さんが来た事で、5人になった。
「はい、それじゃあ全員揃った所で、マスクとサングラスを取って自己紹介しましょう!」
高校生くらいのお兄さんが指揮って、司会を始めた。
「では早速、俺から行きま~す!YNJのリーダー、王子様ことRIKです!」
「ヒューヒュー、王子!王子!王子!」
他の女子達がノリノリでコールする。正直、僕はついて行けないノリだ。
「YNJの盛り上げ担当YUASAです!」
「YNJのメインボーカルやってますAKIRAです!」
「YNJのギタリスト、ZINです!」
「最後にぃ~YNJの最年少13歳、KOUJIです!」
グループ全員の紹介が終わると、今度は女子達の自己紹介が始まった。
「私はアイドルやってます。ハルナです。ヨロピクね?年齢は永遠の16歳です」
「私もハルナと同じグループのダンサーやってます。14歳です」
「私もハルナと同じグループで、キーボードやってます。15歳です」
「私は元気が取り柄な小6、遊衣です。ジュニアモデルをやっています」
「えっと、僕は…Mizukiです。小4です。最近、ドラマに出させてもらっています」
「くぅ~、ドラマ以外で喋っているの初めて見たけど、そのルックスで僕っ娘だなんて反則級に可愛い~!Mizuki!Mizuki!」
手拍子をしながら僕の名前をコールし始めて、どうリアクションして良いのか分からずに、お辞儀をした。
皆んなカラオケを順番に始めて、僕はあまり歌に自信が無かったので、断った。それから皆んなで、告白ゲームをした。カラオケの機械のアプリの中にルーレットがあって、それを回して番号になった人が秘密を告白すると言うものだった。
本来の使い方は、激辛たこ焼きやワサビ入餃子などを頼んで、ルーレットを回してゲーム感覚で食べる時に使うのだが、それを使って別のゲームにしてしまうのは盛り上がって楽しい。
「えーっと、僕は、信じられないと思いますが、秘密基地でよく遊んでいます。これが証拠です」
そう言って写メを、皆んなに見せた。
「えーっ!?秘密基地だって、男の子みたい」
クスクスと女子達に笑われた。彼女達は、僕が元男子だとは知らない。
「へぇ、秘密基地だって。面白そうだね。今度、連れて行ってよ」
僕の目の前に座っているYNJメンバー最年少のKOUJIが僕に賛同すると、他のメンバーは意味ありげな視線を送った。すると、それぞれがペアになって退室し、何処かに行った。
「Mizukiちゃん、めっちゃ可愛いね。惚れちゃったな」
そう言いながらKOUJIさんは僕の隣に座って、馴れ馴れしく肩に手を回して来た。小4の僕からすれば、小6の高学年でさえ大人に見える。その相手が中学生ともなれば、むしろ怖くて振りほどく事など出来なかった。
「Mizukiちゃんってさぁ、キスした事あるの?」
「あっ、え?…無い(男子とは)です…」
「ふ~ん、まだなんだ?」
僕は恥ずかしくて俯いた。
「Mizukiちゃんは女優だろう?もし、キスシーンがあったらどうするの?嫌だ出来ません何て通用しないよ?泣こうが喚こうが、撮影するまで監督は帰らせないよ。好きでも無い人とキス出来るの?」
僕は無理だと首を振った。
「でもしなきゃいけないんだ。ファーストキスを、好きでも無い相手としなきゃいけないんだよ?でも俺はMizukiちゃんの事が好きだ。だから…キスして良い?」
そう言って口を近付けられたので、両手で押さえて拒否っていると、「じゃあ、せめてハグさせて」と言って抱き締められた。
「はぁ~良い匂い。天使過ぎる。俺と結婚しよう。愛してる」
女は何故か結婚と言う言葉に弱い。それは、愛情の最大表現だと思っているからだ。ずっと一緒に暮らしたいほど愛している。お前一筋で絶対に裏切らない。「結婚」と言う2文字には、それらの意味が込められている。
「ずっと一緒にいたいほど愛している」、そう言われて悪い気はしない。生理的に受け付けない人は別だとして…。
「軽くで良いからキスさせて。演技の練習だと思ってくれたら良い。俺はMizukiちゃんを愛してるから、本気のキスだけどね?」
僕が返事をするよりも早く、唇を奪われた。軽くするって言ってたのに、僕が驚いて抵抗しなかったので、受け入れてくれたと勘違いしたのか、舌を入れて絡めて来た。
「うぅ~っ!」
必死にもがくと、やっと離れてくれた。
「ごめんね。大好きなMizukiちゃんとキス出来て、嬉しくて…」
僕とキスして嬉しいなんて言われて、僕も少し舞い上がっていた。今度は優しく抱き締められて、ゆっくり時間をかけたキスをされた。胸がドキドキして、高揚しているのが自分でも分かった。
「あっ!さ、触っちゃダメ…」
いつの間にかに背中に回された逆の手で、胸を触られていた。
「愛しい、愛してるんだ。もう俺達、付き合ってるよね?キスだって何度もしたし」
「えっ?だ、だって、あれは演技の練習だって…」
「俺は愛してるって言ったよね?それなのに、俺の気持ちを踏みにじるんだ?」
踏みにじったつもりは無いし、理屈は無茶苦茶だけど、「俺の方が正しい事を言っているだろう?」みたいに言われると、何も言い返せなくなった。
「俺達、付き合っているんだからHしても良いよね?」
「嫌だぁ」
「嫌だろう?まだ早いよね。でもMizukiちゃんが満足させてくれなきゃ、無理矢理にHするよ」
僕はHされるよりはマシだと思い、服の上からならと自由に触らせた。
「Mizukiちゃんさぁ、胸…」
「あ、えっと…」
「10歳でCカップ」
「うん…あれ嘘なの。本当はAかな?無理矢理お肉を胸に寄せ集めて、更にパッドまで入れて作ったCカップなの」
「そうだよね、そんなに無いなと思って不思議に思ってた」
「絶対に、誰にも言わないで下さいね?撮影する時、こんなの詐欺だよ!良いの?って言ったら、良いの良いの、どうせ直ぐに成長するんだから、って笑いながら言われたの」
「そうなんだ?でも知ってる?胸って、揉まれると大きくなるんだよ」
「そ、そうなんですね?」
言ってるとまた口付けをされた。胸はずっと触られ続けている。そこへ、退室して行った皆んなが戻って来た。
「おっ、ちゃんと付き合えたんだ?」
「まぁな」
KOUJIさんは、そう答えたけど、僕はまだ付き合い始めたとは思っていないし、返事もしていない。
退室して行ったペアは、それぞれが付き合う事になったと報告し合い、順番にキスして見せて、その度に拍手をした。
僕達はディープキスをしたので、「このままホテルに行っちゃえ」と揶揄われた。
予約してたカラオケの時間も終わり、それぞれのカップルに別れて店を出た。僕は、お母さんが迎えに来るから帰りますと言ったら、KOUJIさんからLIMEの交換をお願いされた。
自宅に帰ってお風呂に入り、お父さんが帰って来るのを待った。我が家では、晩ご飯は家族が揃って食べるものだと思っているからだ。
LIMEが入った。KOUJIさんからだった。
「今日は楽しかったね。俺は今日来なければMizukiちゃんに会えなかっただろうから、運命を感じちゃった。俺達が結ばれる運命を。Mizukiちゃんに、また会える日を楽しみにしています」
本当に僕の事を好きなんだと思って読んだ。
「他のメンバーは上手くやりやがって、あのあと俺以外の奴は皆んなHしたらしいな羨ましい。俺も早くMizukiとヤりたい。小4ならまだ生理は来てないよな?それなら妊娠の心配もせずに、膣内出しし放題で楽しみだ」
YNJのメンバーは、売れていないタレントなど眼中には無く、ただのヤリモク(H目的)だった。彼らは、新しいセフレが欲しくて合コンしただけなのだ。
顔面偏差値の高い彼らは多くの女性達と遊んで自信をつけ、自分達はモテない一般人とは違う選ばれた人間なんだとモチベーションを上げるのだ。
これはむしろ事務所が率先して行わせており、入所したばかりのまだ10代前半の少年達に、セクシー女優達と毎日Hをさせて女性経験を積ませたりしていた。
当然、彼ら全員が童貞では無い。KOUJIは小5で事務所に入り、翌日には初体験を済ました。それからはほぼ毎日、女を抱いている。
他のメンバーは、歳が比較的に近いKOUJIにMizukiを譲る形になったが、本当は全員がMizuki狙いだった。
KOUJIのLIMEにメッセージが入り、リーダーからだった。
『お膳立てしてやったんだから、Mizukiちゃん落としたら、俺らにも回せよな?』
『分かってる。いつもの様に、俺らで楽しもう』
この様にメンバー全員で、セフレを共有するなんて日常茶飯事だ。
「めっちゃ可愛いなMizuki…本気になりそうだ。誰がお前らなんかに回すかよ。俺だけの女にする」
秘密基地に連れて行ってもらい、そこでMizukiと結ばれる計画を立てた。