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女の子になった僕  作者: 奈津輝としか


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第13話 Sweet Stars

 僕がダンススクールに通っていない事がバレて、問い詰められた。


「イジメかぁ…」


瑞稀(みずき)が大人しいから舐められてるんだよ。そいつ港北区じゃないんでしょう?それなら普通の女子だよね。私らは、元男子なのよ?殴られたら殴り返してやりなさいよ!」


 短気な美春(みはる)は、僕がイジメを受けた事で(いきどお)っていた。


「有難う美春(みはる)、嬉しいよ。僕の為に怒ってくれてるんだね?」


 僕は、美春(みはる)に嫌われているものだと思っていた。その美春(みはる)が、僕の為に怒ってくれている。僕は、ポロポロと涙を(こぼ)した。


「あんた、もしかして私が嫌ってるとでも思ってるの?」


「違うの?」


「なっ…」


 美春(みはる)は周囲を見回して、近くに誰もいない事を確認すると、話し始めた。


「嫌ってなんかいない。だって私達、付き合っていたのよ。あの日、秘密基地で待ち合わせをしてたわよね?行くつもりだったの…」


「どうして来なかったの?」


 美春(みはる)は答え(にく)そうにして、深呼吸をした。


「…浮気したの。あの日、マネージャーに行くのを止められて、好きだと言われてHしたわ。あなたがずっと私を待っている間、私は彼氏じゃない他の男に処女を捧げたのよ」


「嘘だ。無理矢理に犯されたんでしょう?捧げたんじゃなくて、奪われたんじゃ…」


 美春(みはる)は首を振った。


「今となっては、もうどうでも良い事よ。私はあなたを裏切ってしまったの。嘘を本当にしようと思って、マネージャーの事を愛してると自分に嘘を付いて、何度も身体の関係になったわ。だから…私は、あなたに合わせる顔が無くて冷たい態度を取ってしまったの」


美春(みはる)…」


「でも気付いてしまったの。私は瑞稀(みずき)が女子になっても、瑞稀(みずき)の事が好きなの。ねぇ、もう一度やり直せないかな?」


「やり直すって?」


「あなたは男性が怖いのよね?だったら、私と…付き合おう。私があなたを守ってあげる」


 美春(みはる)が僕の事を好きだって?女子になったのに、まだ僕の事が好きだなんて嬉しくて、思わず(うなず)いてしまった。

 端正な顔立ちをしている美春(みはる)の顔が近づいた。近くで見ると、ウットリするほど美しい。

 僕達は、かつて何度も交わして来た唇を重ねた。お互い胸が邪魔をして、思った様に身体をくっ付ける事が出来なかったけど、懐かしい感触を味わう様に何度もキスをした。


「愛してる、瑞稀(みずき)…」


「僕も大好きだよ、美春(みはる)…」


 本当の事を言うと、僕にはこれが恋愛感情なのか分からなかった。僕は、同性愛好者では無いからだ。ただ、『好きな相手が美春(みはる)だった』と言うだけだ。

 僕達は放課後、2人きりで秘密基地に行き、結ばれた。どっちが男役で、どっちが女役なんて事は無い。お互いが相手を気持ち良くさせようとして、2人同時に絶頂に達した。



 それから美春(みはる)は、ダンススクールに僕と一緒に通い始めた。直ぐに華山さんが、僕にインネンを付けて絡んで来ると、美春(みはる)が立ちはだかって殴りかかった。


「ちょっ、美春(みはる)…止めて!」


 美春(みはる)は元男子だったのだ。男の子の頃は活発で気が短いので、クラスメイトとよく取っ組み合いの喧嘩をしていた。

 男子だった自分が、女子なんかに喧嘩で負ける訳が無いと、馬乗りになってボコボコにし始めたので、皆んなで引き離した。華山さんは号泣して帰り、それっきりダンススクールには来なくなった。


瑞稀(みずき)、まずはダンスの形を覚える方が先じゃない?覚えてないから、変な踊りになってるのよ。スローダンスで覚えて、それから曲に合わせた方が良いよ」


美春(みはる)は、どうやって覚えてるの?」


「私?私は1回見たら覚えられるし、直ぐにリズムを取って曲に合わせられるわ」


 これが才能と言うものなのだろう。僕とは次元が違った。才能が無い者は、人の何倍も努力をする必要がある。1度で覚えられなければ、10回、10回で覚えられ無ければ、100回やれば身体が覚えるはずだ。

 僕は休憩時間の度に学校の屋上でダンスの練習をし、美春(みはる)春美(はるみ)はそれに付き合ってくれた。その甲斐があって、3人でダンスの合わせは息が合ったものとなった。


「はい、ようやくカタチになって来たわね。3人の合わせ稽古を本番まで、何度も繰り返して身体で覚えるわよ!」


 僕達3人は、それなりに世間の注目を浴びていて知名度も高く、デビュー曲の練習風景をMyTube登録者数の多い僕の配信で流すと、2日で再生回数300万回を突破した。それだけ期待してもらっていると言う証で、嬉しくもあり圧力(プレッシャー)も感じた。


「はいはい、注目!あなた達のグループ名が決まりました。Sweetスィート・ Starsスターズよ!このスィート・ダイヤモンドの(スター)になって欲しいと言う、社長からの願いが込められているわ」


Sweetスィート・ Starsスターズだって。何だか照れ臭い名前ね」


 僕達はグループ名がようやく決まって、キャッキャ喜んだ。グループ名が決まった事を配信で報告すると、検索ワード世界1位となりニュースでも取り上げられて、更に注目を浴びる様になった。

 そのせいで中学校には、徒歩や自転車で通学する事が出来なくなり、事務所から毎日送迎される事になった。

 事務所からと言うのは、僕達の事務所はビルの6階から8階までを借り切られたもので、7階の1室を寮にして4人で共同生活を送っていたからだ。

 4人でとは、春美(はるみ)のお兄さんの翔馬(しょうま)先輩も一緒だ。春美(はるみ)と一緒にスカウトされ、女性だと思われていたみたいだ。

 なにせ、菜月(なつき)ちゃんだった時のそのままで可愛くて、男子にナンパされる事なんて日常茶飯事だったらしい。

 8階には、先輩達の寮と稽古場があり、そこでも歌やダンスのレッスンを受けていた。

 寮にいる時は、翔馬(しょうま)先輩の事を菜月(なつき)ちゃんと呼んでいる。男性と一緒だと意識してしまうと、男性恐怖症の症状が出るかも知れないと思ったからだ。

 菜月(なつき)ちゃんは僕の事が好きみたいで、「結婚しよう」と良く言って来る。その度に春美(はるみ)が、「お兄ちゃんには渡さない」と言い、美春(みはる)は「瑞稀(みずき)は私の(もの)よ」と言って喧嘩になった。

 一緒に寝る時は、皆んな僕の取り合いになり、結局ルーティン化される事になった。

 今夜は菜月(なつき)ちゃんと一緒に寝る。待ってましたとばかりに、布団の中で抱き締められながら眠る。冷静になると、僕は男子に抱き締められて眠っているのだ。それをなるべく意識しない様にしている。


「はぁ~可愛い。めっちゃ良い匂い。幸せ過ぎる」


 菜月(なつき)ちゃんは、僕を抱き寄せて頬っぺや首筋に軽くキスをして来る。


「お兄ちゃん、アウトだよ!アウト!このヘンタイ!」


瑞稀(みずき)も嫌じゃないよな?愛してる」


 そう言って、2人の前で口付けをされた事もある。美春(みはる)春美(はるみ)も号泣した。


「2人とも僕の事が好きなんだから、目の前なんかでやらないで」


「コッソリなら良いの?」


 僕は(うなず)いて答えた。菜月(なつき)ちゃんは、実は僕の初恋の女性(ひと)だ。男子になっても、顔は菜月(なつき)ちゃんの面影があり、いわゆる女顔であるから、男性恐怖症の僕も怖く感じ無かった。

 ベッドの中で2人が寝静まると、菜月(なつき)ちゃんはキスをして来た。舌を絡め合うと、好き過ぎてHしたいと言って耳を甘噛みしながら胸を触られた。僕は「2人が起きて、見られたら困る」と言ってそれ以上は断った。

 それから菜月(なつき)ちゃんは、2人きりならHさせてくれるものだと受け止めて、何かにつけて僕と2人になろうとした。

 僕は「まだHとか怖くて出来ない」と断ると、「それなら、いつヤらせてくれるんだ?」と言われたので、「僕達は付き合ってないからHは出来ないし、付き合っても高校生になるまでは絶対にしない」と断った。

 菜月(なつき)ちゃんは、「もう2度と菜月(なつき)ちゃんと呼ばないで」と怒って退寮し、実家通いになった。

 春美(はるみ)ちゃんは、「お兄ちゃんと絶対に何かあったでしょう?Hしたの?」と問い詰められた。


「そんなわけ無いじゃん。少なくても僕は16歳になるまでは、Hはしないと決めてるんだから」


「真面目ねぇ。遊べるのは若い今のうちだよ?」


美春(みはる)は、10歳で初体験済みだからね、一緒にしないで欲しい」


「10歳でHしてるの!?ビッチじゃん!」


「そう言う春美(はるみ)は、どうなのよ?」


「私は…処女じゃないし…汚れてるの…」


 悲しそうな、今にも泣き出しそうな表情をした。春美(はるみ)は、お父さんの連帯保証人で作った借金を返す為に、小6でパパ活をしていたらしい。

 初めての相手はプロで、借金取りに無理矢理に裏ビデオに出演させられて処女を失ったと言う。顔にはモザイクが掛かっているけど、そう言うサイトで流れているから見る事も可能だと言う。


「苦労したんだ」


 僕は泣きながら、春美(はるみ)の頭を抱き締めた。


美春(みはる)の相手は、好きな人だったんでしょう?好きな人に上げたのなら、幸せだわ」


 美春(みはる)は首を振った。


「違うの…私…レイプされたの。でも、その事実を認めたくなくて、付き合う事にしたわ。好きな人に捧げたんだと思う事で、自分が壊れない様にしたのよ。でもその人には彼女がいて、私はただのセフレだったの」

 

 美春(みはる)も泣き出した。僕達は、傍目(はため)から見れば華やかな世界にいるけど、恋愛1つまともに出来い集まりだった。


 僕は菜月(なつき)ちゃんに謝りに行った。


菜月(なつき)って、呼ばないでって言ったでしょう?」


「ごめんなさい。あれから良く考えたんです。僕も菜月(なつき)ちゃんの事が好きです。だから…戻って来て下さい」


 泣いて頭を下げた。


「それって、Hさせてくれるって事なの?」


「つ、付き合うけど、Hは…待ってくれないかな?中学生じゃ、まだ早いよ」


「ごめん。困らせたね」


 菜月(なつき)ちゃんに抱き締められた。


「大好きな人と一緒にいられるだけで、本当は幸せな事だよね。欲張っちゃいけないと思いながらも、欲張っちゃう」


 どちらともなく口付けを交わした。仲直り、そしてこの瞬間から恋人だと確信するキスだ。


瑞稀(みずき)はモテるから、誰かに()られないかと心配で…」


「誰にも()られたりしないよ?」


「そんなの分からないよ」


 僕は、挿入以外なら全て許すと約束して、彼氏の性欲を満足する様にした。2人には付き合う事になったと報告して、「Hな事もしたいから、2人きりの時間も欲しい」と言うと、「お風呂に入ってる時だけイチャイチャすれば良い」と言われた。


「どうせまだ、Hとかしないんでしょう?」


「うん…高校生までは処女を守るよ」


「それなら口とか手でして上げるんだ?ちゃんと練習しなきゃね?」


「れ、練習って…そんな事もするの?」


「まぁ、ペロリンキャンディーとか、凍らせたバナナとかで…」


「もう()だぁ。皆んなヘンタイだよ」


「違うよ、ヘタクソだと男の人は痛いだけで、気持ち良くならないのよ?」


「そ、そうなんだ…」


 でも僕は、そんなハレンチな練習はしないと心に誓った。

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