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上司がお見舞いに来ちゃいました。

獣人の設定はふんわりです。ご了承ください。


あと、この作品にしては短めです。

 (うん、暇だ)


長兄のグレッグに獣化を見つけられてから、かなりお世話になっている。

ご飯とかお掃除とかグレッグにも仕事があるのに時間を見つけてはイヴの家に様子を伺いに来てくれた。ついでになぜか返却されていた合鍵を持ち始めた。


イヴは、グレッグに自分の時間を大切にして欲しいと何回か言ったが


「今、イヴをお世話しないといつするんだよ」


と今も笑いながらお皿を洗ってくれている。

もちろん、あの小悪魔義姉のケリーの了解もとっているらしい。


「それに、すぐに獣化は解けるしね。イヴの獣化なんてあんまり見たことないし」


イヴはグレッグの背中をソファーの上で丸まりながら見ていた。

そしてグレッグの言葉に「そういえばそうだな」と思ったりもした。


「イヴが獣化してたのは本当に赤ん坊の頃ぐらいじゃないかな?直ぐに獣人になってたしね」


(う~ん、その頃の記憶はあんまりないかも)


「そんなものだよ。僕も自身の事はあまり覚えてないからね」


グレッグはお皿を洗い終えたのかイヴの近くに来てくれた。


「それにしても、イヴの休暇届を出しに行ったとき、すれ違いざまに驚かれたんだ。イヴはなぜかわかる?」


グレッグの質問にイヴは一瞬毛を逆立てた。


(う~ん。なんでだろうね)


誤魔化すために頭を掻こうとしたが、猫が顔をゴシゴシするような仕草になる。


「イヴ~。バレちゃってるからね。原因教えてよ」


イヴの顔をグニグニとつねってくるグレッグは少しムッとしていた。

まぁ~確かに、変な雰囲気の理由は知りたくなるよね。


(多分...だけどね。私たちの上官にグレッグは似てるからだと思うのよ)


グレッグはグニグニを止めてからイヴの頭を撫で始めた。


「僕に似ている人?出会わなかったよ?」


イヴはナデナデにとろけそうになりながら


(う~ん、会議とか外回りとかしてたんじゃないかな?それに、姿が似てるというよりも雰囲気が似てるというか...)


グレッグが無意識にイヴのナデナデの良いトコロをひたすら撫でるので力が抜けてイヴは力を抜いてグレッグの膝の上に上半身を乗せる。


兄弟だから気持ちいい場所も知ってるのかも!


イヴがそのまま寝落ちしそうになった時、


コンコンコン


玄関のノッカーが叩かれた。


「ん?こんな時間に誰かな?僕が出るからイヴはリビングの見えないところで隠れておいて」


グレッグがそういうと玄関に向かっていった。

イヴは玄関から死角になる場所に潜むと五感を済ませて音を拾う。


ガチャ


「どちらさまですか?」


グレッグの声が聞こえてきた。

相手の反応が聞こえてこない。

イヴは緊張しながらこの状況を見守っていた。


「ここは、イヴ・カーウェルさんのお宅ですよね?」


その声にイヴはゾクッとする。


「はいそうですよ。貴方はどちらさまですか?」


どうやらグレッグは面識がないようだった。やっぱりすれ違いだったのだろうか。

「私は、イヴさんのパートナーのイーサン・マーシャルと言います。」


やっぱりイーサン副隊長だった。


「で、貴方は誰ですか?」


イーサン副隊長、よく見てくださいよ。私と似ているでしょ?

リビングでオロオロとしているとイーサンはほんわりと自身の事とイヴの所在を誤魔化すグレッグに苛立ちを感じたのか殺気が漏れ始める。


本能に忠実になっているイヴはイーサンがグレッグに対して強行突破する可能性に危機感を持ち始める。


どうしよう。このままだとグレッグは危険かも...。


イヴが判断をしかねていると。


「イヴ・カーウェル隊長補佐、直ちに玄関に現れなさい!」


イーサンの上官命令が耳に響く


「ちょっと!あんた何言ってるんだよ!」


グレッグがイーサンに文句を言い始めた。


その号令にイヴは無意識に反応すると玄関に駆け込んだ。

そして、敬礼しているつもりで額に手を置く

ついでに額を肉球で拭く。


その様子を見ていた成人男性二人は黙ってしまった...。


もちろんイヴはいつも通りの対応のつもりだ。

綺麗な姿勢で丁寧に敬礼をしている...つもりだった。


「は?」


イーサンの方から困惑する声が聞こえてくる。

自分のパートナーを呼んだつもりがしなやかな黒豹?が玄関に飛び出してきたのだから。


イーサンは先ほどまで敵認定である目の前の男性に思わず助けを求めてしまう。

その視線を受けたグレッグは、はぁぁぁと溜息をついた後イヴをイーサンの視界から見えなくする為に自身で隠した。


「イヴ、リビングに戻りなさい!」


グレッグは珍しく声を荒げながらイヴを先ほどまで待機していた場所に戻る様に言いつけた。イヴは全身で驚いた後、肩を落とすようにトボトボとリビングに戻っていった。


それからイーサンに向かって


「僕は、イヴの兄のグレッグと言います。いつも妹がお世話になっています。イヴの職場には『獣化風邪』の届けを出したと思うのですが」


グレッグはイーサンを睨みつけながら


「そんなに、女性の(イヴの)あられもない姿(獣化)を確認したかったのでしょうか?」


イーサンはグレッグの言ってる意味が一瞬理解できなかった……が

自分の行動を考え直すと、顔全体が真っ赤になった。

その様子をみたグレッグが腕を組みながら


「貴方も意味が理解できましたか?全く、獣人だったら責任をとれ!って怒ているところですよ!」


もう!とだから軍のお仕事はこういう部分に対してデリカシーがないんだからと軽くイーサンにお小言を言い始めた。グレッグはイーサンには耳やしっぽがなかった為人族だと判断した。


イーサンも口元を押さえながら、「ハイ」とか「スミマセン」などを連呼していた。

グレッグも反省しているイーサンをみて納得したのか


「とにかく、体調が落ち着いたら職場復帰させますので家には来ないでくださいね!」


と言い切るとそのままイーサンを追い出した。


バタンと玄関のドアが閉まる音を確認したイヴはソロソロとグレッグのところに行った。


(……グレッグ、怒ってる?)


ご機嫌を伺うように尋ねるイヴは可愛かったが、親代わりにという自負があったグレッグは


「僕の教育不足だったから、あまり怒ってないよ」


とニコリと微笑みながらイヴに目線を合わせるために屈んだグレッグの目の奥は意味もなくキラリと輝いていた。



(これは終わったな…)


思わず本心が漏れると


「イヴちゃん、大丈夫。まだ始まってもないから」


と言いながらグレッグに首元をガシッと掴まれてそのまま引きずられながら二人でリビングに舞い戻った。

イヴさん、ちょっぴり偉くなってます。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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