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風邪ひいちゃいました。

獣人の設定はふんわりです。ご了承ください。

 優しく自分を撫でる人がいる

子どもの頃あまり親にかまってもらわなかったからなのか

その優しくて大きな手で撫でられるとついつい甘えてしまいたくなる


(もっと、もっと撫でて)


イヴはその大きな手に自分から頭を摺り寄せてお願いをした。

すると、頭を撫でていた手がそのまま背中も撫で始めた

獣化しているらしく背中の毛並みをそっと撫で上げられるとソワソワしてきた。


(駄目だ、そこは安心ではなくソワソワしちゃう)


イヴはやっぱり頭を撫でて欲しいと言うつもりで撫でてくれている人に伝えるために上を向いた。


(背中もいいけど頭の方が気持ちいいんデス)


そう伝えるために視線を合わせに行ったが、どうしてもその人と目が合わない

イヴはしばらく悩んでいるとあることに気が付いた


(眼鏡があるから話しかけられないです)


そういうために右手で眼鏡を外そうとしたとき自分の手が獣化していることに気づく


(あれ?おかしいな)


そして不快な金属音が獣化している手首から聞こえてくる。

イブはその音を頼りに視線を向けると


(あれ?どうして手首に鎖がついてるの?)


イヴが思わずつぶやくと眼鏡の人物が少しずつイーサン副隊長の姿になって


「それはお前をこのまま閉じ込めるからだよ」


と微笑みながら答えたのだった。






(ギャー!!!)


イヴは驚き飛び起きた。

そしてソワソワしながらベッドの上をウロウロとする。


(ん?ベッドの上をクルクル回ることなんてできないよね?)


そして、周囲を確認する。もちろん自分がいつも寝ている部屋だ。


(でも、何かおかしい。何がおかしいの?)


慌てながらベッドから飛び降りると

綺麗に四足歩行で寝室のドアの前まで歩いた。


(あっあれ?視線が低い?)


イヴはドアを開けるためにドアノブを持とうとするが届かない...。


(ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。これって)


手を使うことができないのでドアノブ目掛けて飛び上がり強引にドアを開けた。

すぐに玄関近くにある全身が見える鏡で自分を確認すると


(うわぁ~。獣化してるじゃん!)


イヴはどうしていいのか分からず今度は玄関の前でクルクル回って気持ちを落ち着かせようとしていると


トントントン

玄関のドアからノッカーの音がする。


(マズイ、誰か家にやって来た)


イヴはどうしようか悩んでいるとドアがカチャっと開いた。


「イヴ!あれほど玄関の鍵は閉めときなさいっていつも言ってるだろ?」


お昼ご飯のおすそ分けを持ってきた長兄がお小言を言いながら入ってきた。

しかし、玄関で全身の毛を逆立てて驚いている黒(イヴ)を見つけると


「イヴ!一体どうしたんだ!」


長兄は持ってきた昼食を一旦玄関に置いてイヴの目線に合わせて話し出した。


(グレッグ!朝起きたら獣化してたんだよ!)


「えっそうなの?体調の不調はないの?」


(うん、ないよ。ただ獣人に戻れないだけ)


「そっか...。とりあえず、お医者様に見てもらった方がいいから今日はお仕事お休みね」


(え~。どうしても?)


グレッグは溜息をつきながら


「その格好で制服とか着れないよ?警邏()にでもなるの?」


(ちょっと!何それ!)


自分が犬扱いされ思わずキレそうになるイヴだったが


(ん?あれどうして、私グレッグと会話できるの?)


不思議に思ったイヴはグレッグに質問した。

グレッグは一瞬驚いたが目を細めながらイヴの頭を撫で


「ああ、獣人同士は意思疎通ができるんだよ。イヴが僕に話しかけたいと思いながら頭の中で念じてくれると僕の頭に届くんだ」


(へぇ~便利な機能ね...)


イヴは、グレッグのナデナデに理性が溶けていく。そしてそのままグレッグに甘えるように持たれかけた。


「そうそう、獣化した時は獣人よりも本能に忠実になるから気を付けるんだよ。基本的には話しかけない事をオススメするよ。本心が駄々洩れになっちゃうからね」


グレッグはそういってクスリと笑った後、女医を呼んでくるからソファーで待ってなさいと言って外出してしまった。


イヴはグレッグの言いつけを守るためにソファーで座って待っていた。

暇なのでぼんやりしているとそのまま眠ってしまったようだった。


遠くでグレッグと女の人の声が聞こえてくる


「妹ちゃん、精神的に疲れることとかある?」

「う~ん、あまりそんな話しは聞いたことがないね」

「そっか...。それにしても、丈夫な子だったのね。この年で子どもの病気になるなんて」

「そうだね...。一生懸命がんばっていたからね。」

「グレッグがいつも話してくれる子だったのね。また夜にでも話を聞くよ」

「うん、ありがとう」


獣化している為どうやら五感がすこぶるいいらしい。このまま二人の会話を聞くのはよろしくない気がしたのでイヴは今起きましたの雰囲気を出しながら全身で伸びをした。


(あっあれ?グレッグ戻ってきてたの?)


イヴの声にグレッグが反応する。


「うん、イヴが寝ている間に軽く見てもらったよ」


イヴは、女医の方をみて頭をペコリと下げる。


「こんにちは、お久しぶりね。グレッグの妻のケリーよ」


小柄なケリーは首に掛けていた聴診器をセットすると


「グレッグ、イヴちゃんの心音聞くから少し別の部屋で待機してくれる?さすがに妹のあられもない姿を見るのは良くないと思うし」


ケリーの言葉に納得したグレッグはそのまま寝室の方に入っていった。

ガチャリとドアが締め切る音を確認したケリーは


「さてさて、困った病気になっちゃったわね。この症状は本来子どもの頃に経験しておくものなのよ。そして、一度かかるともうかからないの。子どもから大人になる準備の為のものね」


ケリーの説明にそういえば、他の兄弟がなっているところを見たことがあるなと思い出しながらうなずいた。


「まあ、まれに一度もかからないまま大人になる獣人もいるけどね。どうしても体が大きいから成人がなると負担も大きいのよ。」


そういいながら、聴診器でイヴの心音などを聞いていく


「うん。体調は大丈夫だから、やっぱり原因は精神的なものね」


ケリーはう~んと唸ると


「で?何か精神的にくる出来事でもあったの?」


イヴはさすがに昨日の話をケリーにするこは良くないと思う。

しかし原因はあの話ししかないと理解しているので...途方に暮れた。


全身がヘニャリとなり変な汗が出始める。視線がオロオロし自分でもどうしていいか分からなくなりはじめると


「あ~、ごめん。ごめん。聞いちゃいけない内容なのね?イヴちゃんは軍部に所属しているもんね。守秘義務にひっかかるのかな」


ケリーの機転に感謝しながら何度も頷いた。


(すみません)


イヴはそれしか言えなかった。

ケリーは持ってきた医療道具を片付けながら


「精神的なものが原因だったら、獣化がコントロールできるまで自宅で安静にしていてね。多分、2・3日で獣人に戻ると思う。子どもは次の日に治るからね」


全てを片付け終えたケリーはイヴに視線を合わせると


「でも、獣化が解けないほどの精神的な出来事というのは少し問題があるから誰かに相談して解決させてね」


そういうと立ち上がりグレッグにリビングに戻る様に伝えると


「どうだった?」


グレッグは心配そうにイヴとケリーを見る。


「うん、大丈夫だよ。グレッグも子どもの頃になったことあると思うけどそれと同じだから」


「あ~、獣化風邪?」


「そうそう、そう呼ばれているわね。後、イヴちゃんが獣化をコントロールできるまで異性との接触禁止ね」


「ん?どうして?」


イヴも思ったがグレッグも同じ考えだったらしい


「あ~、たいていは子どもの頃にかかるからこの注意喚起はされないんだけど」


といいながらケリーはイヴの近くに行きそっと背中を撫でると

イヴは無意識にシャー!と全身の毛を逆立てた


「グレッグ、こんな綺麗な子が無防備な姿でいるのよ?妹じゃなかったら」


ケリーはグレッグの方を見ながら舌で自分の唇をペロリと舐めると


「食べたくなっちゃうじゃない」


と艶をだして言った。


グレッグも(獣化している)イヴも思わず息をのんだ。


(魔性だ!グレッグの奥さんは天性の小悪魔かもしんないわ!)


イヴはオロオロしながら心の中で思わず呟くと

ケリーがイヴの方をみて


「そうよぉ~。イヴのお兄ちゃんをペロリと食べちゃうぐらいにね」


とからかいながら帰る準備を終えた。

そして、グレッグの方を見ると


「今日もいつもの時間に帰れると思うから大人しく待っているのよ」


そういうと頬に軽くキスをして、イヴには額にキスを落とす。


「また今度、体調が落ち着いたら三人でご飯でも食べましょ」


と言いながらイヴの家を出ていった。


(グレッグ、職場まで送っていかなくてもいいの?)


「うん。彼女の方が強いからね~。逆に僕が守られちゃうよ。それにしても僕の仕事が休みで本当に良かった」


そう言いながら、グレッグは再び外に出ようとする。


「次は、イヴの職場に休暇届け出してくるよ。多分、この病気だと有無を言わさず何日か休めると思うから」


じゃあいってきますと言ってグレッグは再び外出してしまった。

長兄に名前つけました。

グレッグ (豹の獣人)

ケリー  (アライグマの獣人)


最後までお読みいただきありがとうございました。

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