辞めたいな
「もうすぐ私たちも就職して3年だし、経験も積んだから別の職場に移ることもできるし、貯金もそれなりにできたから仕事を休んで少しのんびりすることもできるかなって」
「まあな」
「それより休みが少なくて。週2日しか休みがないと、1日は家の掃除して洗濯したらあっという間に終わって、自由に動けるのなんて残りの1日しかないよね。その1日も疲れてぼうっとしてたら何もせず過ぎるし。こんなの何のために生きてるのかわかんないよ」
「確かにな。有給とれるといってもたまにだし」
「だから、非常勤の週休3日の職場に移りたいかなって」
「なるほど」
「築山は定年までこのままいくの?」
「いや、そんな先の未来まで考えないけどさ」彼が笑った。「でも、新しい所でイチからなんて面倒だなって思うし」
「そうだね。築山は今の病院で順調に出世していくように見えるな」
「そうでもねえよ」
「まあ、今の話は忘れて。そんなこともぼんやり考える、っていうくらいだから」
私たちは寿司を食べ終わり、店を出た。
料金を払おうとしたら、大した額じゃないからと築山が払ってくれた。
「ありがとう。ていうか、築山、全然お寿司の気分じゃなかったでしょう。お肉のネタばかり食べてたから。付き合わせてごめんね」
店を出て私が言った。
「いや、別にいいよ。まだ話し足りなければ、2軒目寄ってくか?」
「明日も仕事だから、遅くならないうちに帰らないと……」
「そうだな。じゃあ、また明日病院でな」
家に着くと私はさっさと風呂に入り、ベッドにもぐり込んだ。