表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/24

心が痛いよ

「うん。それで、相談っていうのは?」


私はあらかじめ考えてきておいた内容を話した。


次は訪問看護で働こうと思っていて、もし絵海の知り合いでその経験のある人がいたら話を聞きたいという話だった。



「訪問ね、誰かいたかしら……」


絵海が考え込んで言った。


「私の知っている範囲だと思い当たらないわね。私の知り合いだと病院か施設勤務しかいないわね。


力になれなくてごめんね」


「いえいえ、いいんです。結局は、入ってみるしかないんですから。ありがとうございます」私が言った。


そのあとアボガドやサーモン、マグロなどを具にした巻き寿司を頼み、絵海はワインも頼んだ。


寿司を食べるとお腹がいっぱいになったので、私たちは店を出た。


夜の小道に消えていく絵海のうしろ姿を、見えなくなるまで見つめていた。


彼女の言葉のひとつひとつが、表情の一片一片が、まぶたの裏に焼き付いていた。



だけど彼女の眼差しは私ひとりに向けられるものではない。


明日になればその慈愛に満ちた眼差しは患者に向けられ、同僚に向けられ、いずれは恋人に向けられるのだ。


その現実が私の心の痛点を刺した。


口から漏れた白いため息が夜の闇に残り、やがて消えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ