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ふたりきりの夜

「それで、水上さんは元気にやってるの？　体調は良くなった？」

絵海が優しい声で聞いた。

「はい、おかげさまで。実家でゆっくり休んでたら良くなりました」私が言った。

「そうなんだ。良かったわね。私たちの仕事ってかなりハードだし、休めるうちに休んでおかないとね。今度は実家から通える範囲で働くんだったわね」

「はい。うまく見つかるか分かんないですけど」私は言った。

「北乃さんや、病院で働いているみんなは元気にしていますか？」

「そうね。何も変わらないわ。みんな元気よ、私に見えている範囲では」

お互いの近況を喋っているうちに、先ほどの店員がやってきて料理を並べていった。

私たちは鯛の刺身が乗ったカルパッチョのサラダを取り分け、黒胡椒の振られた豚肉のブロックを食べた。

「美味しいわね。水上さんは、またすぐ働くの？」絵海が聞いた。

「いや、失業保険をもらい終わってからにする予定なので、半年くらい先になりますね」

「あら、羨ましいわ。半年間のバカンス。どこか行くの？　海外とか」

「全然、何の予定もないですよ」私が笑って言った。