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君は禁断の絵画

バラの花びらが1枚ずつ落ちていくように、残りの出勤日数は減っていった。


私は普段の業務をこなしながら、空いた時間で引き継ぎの書類を作った。


しかし気がつくとまるで花園で美しい蝶でも見つけたかのように絵海の姿を目で追っていた。


そういえばだいぶ前のことだが、何か同じ物を取ろうとして絵海と私の手がぶつかったことがある。


その時に私はまるで美術館で触ってはいけないと言われていた高価な絵画に触れてしまった時のような気分になったのを思い出した。



私はずっと前から絵海のことを意識していたのだろうか。


自分に問いかけると、答えはイエスのような気がした。


しかし仮にそうだとしても、もう職場を去る日は目前だった。


ナースステーションで私は一人途方に暮れた。





「私事で申し訳ありませんが、今月末をもって退職することになりました。みなさんには大変お世話になりました。ありがとうございました」


ある日、私は朝のミーティングで時間をもらい、退職することを伝えた。


同僚たちは驚いているようだったが、元々辞める人がちらほらいた職場だったので皆すぐに切り替えているようだった。


何人かの人に今後はどうするのか聞かれたが、体調が悪いから休んでから考えるということにしておいた。


相手はまるで不要なビジネス本を読んだ時のような適当な相槌を打ちながら、一応私の今後を応援してくれた。


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