1話
「エアボム」
放った技は爆風を発生させ、敵を遠くまで吹き飛ばす。
「エアボム」
自身の後方へ発生させ、推進力とし敵の近くまで移動する。
倒れている男は失神しているのか動かない。
「はぁ…喧嘩売っておいてこの様かよ」
そう言い放ち、男が去る。
―
俺の名前は淳志。らしい。
らしいと言うのも前世の記憶が全くない。
生まれ変わり、今はこの異世界を楽しもうとしている。
この世界には一人一つの能力を授かる。
先天的に授かっている者もいれば、後天的に授かり者もいる。
俺は前者。スキル:圧縮が使える。
自分が認識できるものは全てのものを圧縮し、解放するか、そのまま潰すか。
そんな俺は15歳になって家を出る。
この世界の習わしで自分の家に20歳を過ぎるまで帰ってきてはいけないという。
「馬鹿げた習わしがあるもんだな」と思いながら馬車に乗る。
行く先はこの国の帝都、コンプス。一番治安が良く、生きているには困らない場所である。
仕事は自警団に入り、そのまま帝国騎士団に入るのが通例である。
よって自警団に入る倍率がかなり高い。
その入団試験があるのだが、そこで喧嘩を売られた。
どうやら自警団に知り合いがいるらしく、退けという。
全く馬鹿げている。入団試験は実力勝負。
勝負は一瞬で終わった。
―
「はぁ…喧嘩売っておいてこの様かよ」
「雑魚は消えろ」
何故か俺が落ちた。
訳がわからない。
実力主義という話だったにも関わらず。何故か勝った方が落とされた。理解ができない。
とりあえず、対戦相手の玉を軽く潰しておいた。
「次はダンドラ王国か…」
次の国へ急ぐ。定職につけなければ冒険者と不安定な職業しか見当たらない。
俺の名前はプレース。
コンプス帝国で指名手配を受けた。