表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

ストーカー被害者の女子高生只野乙女

「はぁ~」

思わず溜め息を付いた。

私は普通の女子高生の只野乙女。

平穏な暮らしを送るのが望みなのに、とても大きな悩みを抱えている。

それは同級生の首尾奈女留にストーカー紛いの行為をされている事だ。

私は世界一不幸な女だぁ~。

いつも大胆に身体を密着させてくるし、油断すると首筋を舐めてくる。

どうやら私の汗の味が超好みらしい。

そんな事は知らんがな~。


「乙女さん、おはようございます。今日も良い汗の匂いですね。身体を密着させても構いませんか。首筋を舐めても良いですか」

悩みの元凶の舐女留は今日も絶好調だ。


私は女神マリア。

地球を観察していたら、只野乙女という女子高生の思念が届いてきました。

あの女子高生は何ですか。

平和な世界で生活しているのに、世界一不幸な女だと思うなんて、なんと贅沢なんでしょう。

これは神罰を与えなければなりません。

異世界に転移させて、彼女の望み通りストーカーから解放させてあげましょう。


【転移】

乙女は異世界に転移させられた。


「此処は何処なの」

いきなり光に包まれたので、思わず眼を瞑った。

光が収まったので、眼を開けたら、見知らぬ場所に居た。

まるで王宮のように華やかな場所だった。

そして大勢の人達が私を驚愕した顔で見つめている。

何故か全員がパーティーに出席するような衣装を身に付けている。

コスプレ会場かなぁ。


「貴様、何者だ」

「不埒者、王家主宰の夜会に突然現れおって」

兵士のようなコスプレ集団に取り囲まれてしまった。


「お前達、その令嬢に近寄るな」

「「「スキスキ王子」」」

「美しい。貴女こそ理想の女性だ。決めたぞ。ユウガ嬢との婚約を破棄して、貴女を新たな婚約者とする」

イケメンが私に近寄って、婚約者とすると言い出した。

「・・・・」

私は呆然とするしかなかった。


「はぁ~」

王妃は溜め息を付きました。

スカスカだけでなく、スキスキまでも愚行を犯すとは、完全に怒りを通り越してしまい、もはや呆れるしかないわね。

王妃はスカスカに続いて、スキスキも見限る決心をしました。

スクスクとスケスケは大丈夫よね。


「衛兵、スキスキを黒の部屋に隔離しなさい」

スキスキ王子は衛兵によって、黒の部屋に隔離する為に夜会から連行されてしまった。


「衛兵、この令嬢を地下牢に投獄しなさい」

「王妃様、お待ち下さい。その令嬢は私が預かります」

「聖女アティシア」

「その令嬢に興味があるのです。お願い致します」

「・・・・分かりました。貴女に預けます」

「ありがとうございます」

「・・・・」

私は相変わらず呆然とするしかなかった。


「貴女、お名前は」

「只野乙女です」

「やっぱり日本人なのね。それも転移者よね」

「・・・・どうして分かったのですか」

「黒髪黒眼だからよ。それとセーラー服を着ているからよ。私は前世が日本人なのよ。いわゆる転生者ね」

「貴女がですか」

アティシアが転生者と聞いて、乙女は安堵した。


「貴女、私の専属侍女になりなさい。そうすれば私の保護下に入れるわよ」

「・・・・侍女ですか」

「もちろん名目上だけよ。実際に侍女の仕事をする必要は無いわ。現在の日本の状況が聞きたいので、話し相手になってくれれば良いのよ」

「・・・・分かりました。どうせ私には拒否権はありませんから」

「そんなに不貞腐らないでよ」


これで現在の日本の状況が分かる。

どんな話が聞けるのかな。

とても楽しみだわ。


「今は令和五年です」

「令和五年?私が死んだのは昭和六十二年よ」

「昭和は六十四年までで、その次が平成で三十一年までです」

「それで今の流行りは何なの」

「今の流行りはスマホです」

「スマホって何なの」

「スマホというのは携帯電話で、インターネットやゲームが出来ます。これですけど、この世界では使えません」

アティシアに所持していたスマホを見せた。

「ふーん、これがスマホなの」

アティシアはスマホに興味津々なようで、穴が空く程スマホを凝視した。

「食べ物の流行りは」

「・・・・え~と、カロリーメイトのバニラ味かな」

「カロリーメイトのバニラ味。一度食べてみたいわね。所持していない」

「所持していません」

「・・・・そうよね」

アティシアはバニラ味が食べられないので、がっかりした表情になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ