08.ちやほやされたいけど隠れます!
――次の日
私はいつものようにぼっちの昼休みを送っていた。
今日は何しようかなと考えていると周りから《FWO》の話題が聞こえてくる。
「昨日のやつ見た?」
「マナポのやつだろ。当然見たわ。」
「俺魔術師のジョブだからあれめっちゃ欲しいわ。」
「俺だってスキル乱発するタイミングとかあるし普通に欲しい。というより欲しがらない奴なんて生産職くらいでしょ。」
私のやった事はどうやらプレイヤー間では相当な事らしく、こんな高校生同士の会話ですら普通に上がるみたいだ。
それ私ですって言えたらあの輪に入れるのかな?と一瞬頭をよぎったがそんな事言えるはずもない。
話しかける私(一華)想像しただけで吐き気がする。
「あれ作ってたの中学生っぽいしそんなに流通はしなさそうだよね。」
「まぁヒントはばら撒かれたから誰かしら足掛かりにして作るでしょ。」
誰が中学生だ!
殴り込みたいと思いながらもそんな事できる訳もない私の心の叫びが教室に響いた……気がする。
「ただいまー」
家に帰るが今日は両親とも働いているため返事は返ってこない。
手洗いと着替えを済ませPodに座りVRゴーグルを下ろす。
「ログイン前に設定いじらないと……えっとPKフィルターはオンにしてログイン情報は非公開に……セクシャルガードは…………同性は許可。異性は胸、下半身を不許可にっと。……こんなもんかな?」
同性ならまぁ大丈夫でしょ。
――ログインします。
視界が開けるとそこは昨日配信をしていた街の外れだった。
「2回目だけどやっぱりゲームとは思えないわ。」
改めてクオリティに感心しつつ今日の予定を立てる。
「まずは昨日使い果たした素材の補充。そんでもってMPだけを回復するポーションの素材の発見かな?」
昨日作ったマナポーションの説明文にあったマナ促進剤。多分これがMP回復アイテムのはず。これを作成してレシピを公開すれば私への関心は少し薄れるはず。
「錬金術じゃなくても絶対作れるはずだしヒントを残せば薬師でもなんでも誰かしらが作るはず……。」
そうと決まればさぁ行動だ!見張りの人に挨拶していざ始まりの森へ。
昨日と同じように探査を使って採取をしていると気付いたことがあった。
「ここ昨日も採取したやつだ。」
根を残して採取した場所のアイテムがリポップしていたのだ。
「前回から24時間は経ってないから12時間なのかな?」
そんな仮説を立てつつ採取をしていくと新しい薬草を発見した。
吸魔草[良] 空気中の魔素を吸い成長する草。薬効成分は高いが生息地域により含有魔素が異なるため品質が安定しない。丁寧に摘まれた為品質は良い。
確実にこれでしょ。でもこんな簡単に手に入るならどうして今までMP回復アイテムが無かったのだろうか?
「多分そんな単純な話じゃないんだろうな。」
1時間ほど採取をして私はいつものベンチへ向かった。
インベントリ
下級薬草[良] ×47
吸魔草[良] ×27
袋花 ×8
袋花[初級ポーション×3]
袋花[初級マナポーション×1]
袋花[浄化水10ℓ] ×2
袋花[浄化水8ℓ] ×1
浄化石 ×38
石ころ ×50
燃えない錬金ゴミ ×25
コツコツ集めてたら割と良い量になっていた。
作業ゲー好きだから全然苦じゃないのも錬金術と相性良いのかな?
「えっと配信準備してまずは吸魔草を試してみよう。で余ったら昨日作ったやつの量産だ!」
2回目となると慣れたもので配信準備はものの数分で終わった。さぁ始めよう!