05.ちやほやされたい初配信
【初配信】はじめての錬金術【頑張ります!】
「えっと……もう始まってるのかな?」
時間が動いてるから始まってるはず……なんだけど開始時になんも音とか鳴らなかったから不安になる。
「こ……こんばんミィ!はじめまして!私ミィって言います!あの……今日ゲーム始めたばっかりなんだけどやってみたかったから初配信です!」
こんばんミィってなんだよっ‼︎ノリで挨拶した事を死ぬほど後悔してる。多分今耳まで真っ赤だ。
〈こんばんミィwww〉
〈初見〉
〈錬金術と聞いて〉
〈この子結構可愛くない?〉
コメントが流れてきた。
「えっ!あの、こ、こんばんは!」
人が来てくれた!まぁプレイ人口考えたらとりあえず配信開始されたやつに顔を出すって人がいてもおかしくない。ここで頑張って引き止めないと!
「今日は錬金術を使ってアイテム合成をしてみたいと思います!正直やり方分からないからグダグダになると思うけど付き合ってくだひゃい!」
噛んだ……最悪だ。
〈くだひゃいwww〉
〈タイトル詐欺かと思ったらマジで錬金術なのか〉
〈錬金術ってあれだろβで酷すぎて正式サービスでのメイン選択率0%ってやつだろ?〉
〈って事はこのお嬢ちゃんもサブなのかね?〉
「いえ……あの……メインです……。」
〈wwwwwwwww〉
〈wwwwwwwww〉
〈wwwwwwwww〉
〈wwwwwwwww〉
ちょっと待って……メイン0%?それマジ?
ショックすぎて一瞬意識飛びかけたけどまだ大丈夫。私は耐えられる。
「そうなんですか?じゃあ私が1号ですね!」
〈なお2号〉
〈2号は永遠に来ない模様〉
〈サブなんなの?〉
「えっと……サブは拳闘士です。」
まぁこれは問題ないでしょ。
〈拳www闘 www士www〉
〈お嬢ちゃん悪いこと言わないから垢消せ〉
〈垢消すったってこのゲームもっかいアレ買わないといけないんだろ?無茶言ってやるなし〉
「え?え?拳闘士ってダメなんですか?」
ちょっと待って……それは予想外すぎる。
つかこいつら完全に匿名掲示板のそれな雰囲気を感じるから緊張もしないし、遠慮もいらないな。
〈拳闘士って武器装備できないのは知ってる?その分腕装備を両腕に装備できるんだけど、現時点で明確な利点が腕の防御力が2倍になるとかそんなレベルしか無いのよ。攻撃力のある腕装備があれば話は変わるんだろうけど現時点で発見されてないから今後そんな装備が発見されてもその敵を倒せる見込みがない。よって産廃。〉
〈長文乙〉
〈長文乙〉
〈ここまでくると可哀想だな……〉
「嘘でしょ……。」
腕装備の件は予想はしてた通りだったけどまさかそこまで弱かったとは……。泣いてないよ。うん泣いてない。
「まぁでも今日は錬金術ですから!拳闘士の事は忘れて錬金術です!」
〈グッバイ拳闘士〉
〈おもしれー女〉
〈まぁ錬金術も大概アレなんですけどね初見さん〉
好き勝手言いおってからに……。
「えっと、まずは錬金セットの鍋に2つ以上の素材を入れる……下級薬草[不可]と浄化水……。」
〈浄化水ってなんぞ?〉
〈分からんけど街のNPCが売ってたな〉
〈薬師の連中が欲しがってるのは見たことある〉
浄化水って案外レアなのかもしれない。
「探査スキルで見つけたアイテムで作れましたよ?」
〈ストップ!なんかあんま知られてない情報っぽいからここでは言わない方がいいかも〉
〈薬師は探査スキルで草関係しか探査できないから多分作れないんじゃね?〉
〈なんかちょっと錬金術すげぇって思えてきた〉
〈でも職業一つ潰す価値があるかと言うと……〉
言わない方がいい……情報も武器って事なのかな?
「まぁ浄化水に関してはおいおい話すとして。材料入れたら魔導コンロにかけて熱していきます!」
これ火力調整できるみたいだし中火くらいにしとけばいいかな?
「そんでもってMPを込めながらかき混ぜる」
MP 249/250
MP 248/250
MPが減り始めた。効率化されてどうなってるか分からないけど今のところ15秒に1減ってるみたい。
〈なんか光っとる〉
〈βで見た〉
「これ上手くいってるのか分からない!」
必死に鍋をかき混ぜる事1分急に鍋が強く光り始めた。
「これ!成功じゃない!」
成功したと思ったその瞬間。
ボンッ!
錬金鍋は小気味いい音を立てて爆発した。
「なんで爆発するのよ!」
〈草〉
〈草〉
〈www〉
明らかに失敗だろう、それでも出来上がったアイテムを手に取ってみる。
燃えない錬金ゴミ 石より硬い錬金によって生み出されたゴミ。焼却炉でも燃えない為地中深くに埋める必要がある。かなりの硬さを持っているので投げれば使えるかもしれないがゴミのポイ捨ては良くない為投擲不可。
「ゴミィ‼︎」
思わず投げそうになる私。落ち着け私それは投擲不可だ……。
〈説明文長ぇwww〉
〈こうなるから錬金はダメなのよ〉
〈錬金拳闘士が居ると聞いて〉
〈改めて見るとひでぇな〉
「ま、まだまだ材料はたくさんあるからどんどん行くよー!」
1時間後
「流すMPの量を変えてもダメ……。かき混ぜるタイミングを変えてもダメ……。どうすればいいのよこれ。」
〈諦めも肝心やで〉
〈お嬢ちゃん可愛いから許されてるところあるけど本来なら放送事故ものやぞ〉
〈半べそかきながら何かを作ろうとしてるこの子を見守る放送になってる〉
「泣いてないし!適当な事言わないで!」
泣いてない……少し心が折れかけてるだけ……。
「って言ってももう材料もそんなに無いのよ。あと2回しかできないからちょっと情報を纏めたいわ。」
今のところ28回失敗してゴミが25個できてる。
そろそろ成功しないと本気でまずいわ。
「えっとまず共通点として、まずは時間ね。どんなにMPを込めても完成にかかる時間は1分。これは何回やっても変わらなかった。次に火力、これに関しては沸騰させるとゴミすら残らないってなってるわね。」
そのせいで錬金ゴミの数が失敗と同数では無いのだ。
〈まじめに考察してて草〉
〈多分無理やで〉
〈なんで運営は錬金術なんてゴミ生み出したのかね〉
こいつらほんと容赦ないからきらい。
「まぁこれ以上考えてもしょうがないからもう一回やってみるわ。」
再度材料を鍋に入れる。
〈がんばえー〉
〈成果がない場合罰ゲームとか必要だと思うんですよね〉
〈天才現る〉
〈ミィちゃんに罰を与えていいと聞いて〉
〈お巡りさんこいつです〉
きらい……こいつらきらい!
「今回は15秒毎にMPを5込めてみるわ。」
自然回復があるとはいえそろそろMPがキツい。どうにか成功して!
ジャスト1分でまた鍋が強く光り始める。
〈もう見た〉
〈またゴミ錬金するんか?〉
〈親の顔より見た光〉
こいつらいい加減にしろよ。ちょっとイラッとしてMPを強く注いでしまった。
その瞬間光が青色に変わった。
〈⁉︎〉
〈!?〉
〈⁉︎〉
今度は爆発せずに光が鍋に吸い込まれていった。
鍋を覗き込んでみると青い液体がそこにはあった。
初級ポーション HPを最大値の25%回復する。みんな大好き冒険者のお供。
「で……できた!」
ダメだ涙が出そう。
「できたぁぁぁぁぁぁ!」
ダメだ泣いた。
〈うおおおおおお!〉
〈できとるやんけ!〉
〈これ店売りより回復量5%高いぞ〉
〈ボロ泣きで草〉
泣きながらポーションをインベントリにしまうため袋花を取り出しポーションを詰めていく。
〈なにそのキッショい花〉
〈もっと瓶に詰めるとかあるやろ〉
〈え?なに?その花からポーション飲むの?〉
〈地獄みたいな光景〉
「うるさい!瓶なんて無いんだから仕方ないだろ!」
情報見る限り3本分らしいから今度瓶を手に入れなくては。
「さぁなんとなくわかったから最後行くよ!」
休みながらやっていた私のMP残量は70。さっきは最後の瞬間にMPを10消費したから今度はありったけのMPを注ぎ込んでどうなるか試してみよう。
「今度もMPは5ずつで……。」
1分経過し鍋が強く光りだす。
「ここっ!」
その瞬間私は残りのMP50を注ぎ込んだ。
光は紫色に変わり鍋の中に収まっていく。
「うわっ!すごく量減ってる。多分一回分しかないんじゃないかな?」
鍋の中の液体を見てみると。
初級マナポーション ポーションの性質を持つマナ促進剤。HPを30%MPを40回復する。小さな錬金術師の最初の壁と言われている。
すごい。MP回復できるんですね。でも50使ったからこれじゃ少し赤字ですね。
〈すげぇぇぇぇぇぇ!!!!〉
〈MP回復できるアイテムとかマジか!〉
「え?なにがそんなすごいんです?MPなんて自動回復するじゃないですか。」
〈お嬢ちゃんMPってのは10秒に1回復するもんなんだけど戦闘中にそんな悠長に待ってられるか?しかも40も回復するってなると初級魔法が3発は打てる計算になるから魔法使い系からしてみたら喉から手が出るほど欲しい代物なんだよ〉
〈実際MP回復アイテムってまだ発見されてないしな〉
は?MP回復アイテムが無い?ってなるとこれって相当マズいシロモノなのでは?
「……今見てる方が25人……みなさーん今日見た事は忘れてくださーい!始めたばかりの素人が持ってちゃいけない物な気がしますのでー!」
〈可愛こぶってるんじゃねぇ〉
〈実際可愛いやろ〉
〈無理やろ〉
〈配信終了後に自動的にFree Tubeに上がるしみんな見れちゃうよ〉
〈なんならもうチュミッターに切り抜き上がってる〉
〈俺……錬金術の事誤解してたわ〉
〈実際彼女のステが分からんことには再現性あるかどうかも分からんから錬金術取るやつはそんなに増えんやろ〉
〈DEXとか絶対関係してるだろうしね〉
〈とにかくゲーム的には偉業なんだから当分騒がれるだろうね〉
〈世界に一本のMP回復アイテム……値段ヤバそう〉
〈PKとか気をつけんとあかんよ、あと無理やり囲もうとするやつ出てくるだろうし〉
〈PKに関してはお嬢ちゃん18歳未満だろうから設定でオフにできるやろ、囲い込みは……まぁ頑張れ〉
凄い勢いでコメントが流れていく。
違うの……私はもっとゆるふわな感じでちやほやされたいの……こんな危険物扱うような感じで接されたい訳じゃないの!
「あ、あの!私!そろそろ晩御飯の時間なので!お、落ちます!えーと、えーと……ば、ばいミィ!」
放送を終了しました。
ピロンッ
称号《偉大なる錬金術師の目覚め》を獲得しました。




