44.ちやほやされたいピンチです
「さて……どうしようかな……。」
仕様のせいで逃げられないのがもどかしい。許されるならすぐに逃げ出したい。
「私の後ろに着いてきて下さい。正面は私が対処するんで背後から来る奴らの対処をお願いします。」
この状況ならそれしかないか……。
「わかった。アースリザードの距離が離れてるから魔法の予兆がきたら教えるよ。」
シャープイーグルは現状どうしようもないから来たらかわすくらいの心持ちじゃないとダメかな。
「じゃあミィさん……よろしくお願いしますっ!」
アースエレメントに斬りかかる委員長の後ろを追いかける。
「ヘビ……3方向はダメだって!」
倒す為というよりは弾くようにグラススネークに対処をする。
「ミィさん!アースエレメントが魔法を打ってきます!一旦離れましょう!」
「魔法⁉︎……いや地上は無理だって!」
7匹のグラススネークが飛びかかろうと態勢を変えてきたのでジャンプをして躱そうとする。
その瞬間シャープイーグルがこちらに目掛けて突っ込んできた。
「危なっ!」
心臓目掛けて突っ込んできたそれを上体を捻り躱す。
「んぁっ!」
肩に衝撃が走る。
痛みは無いが肩の感覚が無くなる。見てみると嘴の形に肩が抉られていた。
「私の肩……凄いことになってる……。」
現実ではないとわかっていても見た目のグロさに吐き気が襲ってくる。
「ミィさん大丈夫ですか?」
委員長はアースエレメントの攻撃を躱しグラススネークの数を減らそうとしていた。
「……大……丈夫。」
吐き気を我慢し無理矢理ポーションを飲む。傷が消え肩の感覚が戻ってきた。
「これでとりあえずは大丈夫。」
HPが回復したのを確認し戦線に復帰する。
「ごめんレイン!今戻った。」
【練気】を発動し籠手に魔力を込め委員長に襲い掛かろうとするアースリザードの横腹にアッパーを入れる。
「私は大丈夫です。……にしてもあの鳥厄介ですね。」
グラススネークの頭を落としながら委員長が言ってくる。
「そうだね……とりあえず地上を見ながらあれの対処なんて無理だよ。……おらっ!」
裏拳をアースエレメントに叩き込みながら返事をしたその瞬間またシャープイーグルが飛び込んできた。
「ミィさん!来てます!」
「わかって……るっ!」
ギリギリまで引きつけて身を捻り躱しその回転のまま先ほどのように裏拳を叩き込もうとする。
ヒュン!
咄嗟の方向転換で拳が躱される。これが飛行制御のなせる技って事か。
「鬱陶しいですね……。」
定期的に降ってくるシャープイーグルを捌きながら委員長がぼやく。
アースリザードに近づけずにいるので横から飛んでくる魔法と上空からの突撃を受け続けているといずれ限界は来る。
「ジリ貧だね……。」
多分6本目であろうポーションを飲みながら呟く。
「そうですね。このままだといずれこっちがやられそうです。」
委員長は確認してるだけでもすでに8本のポーションを飲んでいる。渡した本数的にまだ余裕はあるがいずれそれも尽きるだろう。
「トドメを刺そうとすると上の鳥が邪魔してくるしめちゃくちゃ頭いいじゃんこいつら。」
それとフィールドの時は速攻で倒していた為気付かなかったがアースエレメントは自動回復持ちのようでそれもこちらの状況を悪くするのに一役買っていた。
「イライラしますね……。ちょっとあの石吐き出してるトカゲを始末してくるのでその間持ち堪えられますか?」
委員長はアースリザードに相当ストレスを溜めてるようで先に潰しに行くようだ。
「多分大丈夫。」
耐えるだけなら私でも平気……な筈。
「それじゃちょっと行ってきます。……どりぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
凄い速度で駆け出していく委員長多分何かしらのスキルを使っているのだろう。
「とりあえず死なないようにしないと。」
ひとまずアースエレメントは私の火力だと相手をするだけ無駄なのでグラススネークをメインで見るようにする。
「魔力反応に気をつけながら……っと!」
飛びかかってくるグラススネークを捌きながら常に動き回るように立ち回る。
「邪魔です!鳥はすっこんでてくださいっ!」
向こうでは委員長がシャープイーグルを躱しながらものすごい勢いでアースリザードを切り付けていた。
「蛮族がいるよ……。」
でもシャープイーグルが2匹とも向こうにいるこの状況は私にはチャンスだ。今のうちに少しでもグラススネークを減らしておきたい。
「多少のダメージは覚悟して確実に仕留めるか。」
グラススネークに噛まれた程度で即死はないので1匹ずつ確実に仕留めるよう立ち回る。
「おるるぁ!」
委員長の方から叫び声が聞こえた。…………あの人肩に鳥刺さってない?
「あの人マジでやばいって。」
設定によるけど痛みは無くても違和感とか衝撃はある筈なのにほんとすごいな。
「とりあえず1匹……っ!ミィさん危ない!」
急に委員長が叫んだ。
「え?いきなりど……っ!」
その瞬間太ももあたりに衝撃が走った。
いきなりの事に頭の回転が追いつかずそのまま体勢を崩し尻餅をつく。
「ミィさん!」
足を見てみるとシャープイーグルが刺さっていた。
委員長の方に2匹とも行ってると思っていたがグラススネークの危機に1匹こちらに向かっていたようだ。
「ヤバ……回復しないと。」
ポーションを取り出し口元へ運ぶ。
■■■■
その瞬間何かよくわからない音が聞こえ私の手元のポーションを石が叩き落とした。
「え?」
アースエレメントの魔法が私のポーションを叩き落としグラススネークが私の腕を押さえつけるように飛びかかってくる。
「いや……これじゃ動けないじゃん!」
新しいポーションを取り出し口に運ぶことを封じられたこの状況は非常にまずい。
シャープイーグルがチャンスとばかりに私の足から抜け再び空高く飛び上がり私の心臓あたりに狙いを定める。
「ミィさん!どうしたんですか!」
草に隠れた私の状況がわからないのだろう委員長が確認をしてくる。
「動けないの!レイン助けて!」
さっきアースリザードに向かって行ったスキルであればギリギリ助かるかもしれないので助けを求める。
「リキャストが……どうすれば……間に合わない。」
委員長のぼやくような声が聞こえてきた。あれリキャストあるの?
「もしかして間に合わない?」
シャープイーグルが加速体制に入りこちらに飛び込んでくる。
リアルすぎるこのゲームのせいで明確な死の恐怖が私を襲う。
「……助けてアリナっ!」
いつも私を助けてくれるここに居ない人の名前を呼ぶ。
「【スマートアロー】」
ギィィィィィ
私の胸の寸前まで迫ったシャープイーグルが呻き声のようなものを上げて吹き飛んでいく。
「呼んだ?」
そこには居るはずのない人がいた。
遅れてすいませんでした。
今後は週1投稿でやらせていただきますのでよろしくお願いします。
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