sideアリナ02.膨れる思い
「彼女に近づく口実を考えないと。」
立場上時間の融通は利くので早上がりをし計画を練っていた。
「えっとまずはどうやって会うか……まぁこれは次の配信とかでヒントが有ればそこで張ってみようかな。多分学生だろうから夕方くらいから待って偶然を装えばなんとかなるわよね。」
ちょっとストーカーっぽいけど別に危害を加える訳じゃないから許して欲しい。
「あとは話す口実……これは普通に服を作ってあげたいでいいでしょ。」
これは純粋に思ってる事だ。あんな可愛い子がダサい初期装備でいていいはずがない。
私の作る服を着て欲しいしそれをきっかけに防御力のない配信衣装をどんどん作ってあげたい。
「あとはあの子の性格が悪ければ完璧なんだけどなぁ。」
そうすれば私は偶像のように見た目だけを推し続けることができる。
「我ながら重い女だ……。」
一目惚れした相手とはいえここまでするのは側から見ても異常だろう。
「でも手に入らないなら近くで見ていたいし……。」
それくらいは許されると思いたい。
そんな計画を立てていると放送開始の通知が来る。
「今日はログインしないでみようかな。」
《Freedom World Online》の配信は専用プラットフォームのFree tubeでも見ることができるので絶対にゲームにログインする必要があるというわけではないのだ。
「はぁ〜今日も可愛い。」
見ているだけで癒される。そして今日もスクショの手が止まらない。
そしてひたむきに錬金術に取りこむ少女は眩しかった。
「やっぱり情熱って大事だよね。」
20を過ぎたばかりの小娘が何を言ってるのかという感じだけどそこは人それぞれ事情があるという事で。
「ちっちがっ……あの、これは……そんなはずじゃなくて……。」
画面の向こうでは少女がベソをかきながら言い訳をしようとしていた。
強気な見た目の子が羞恥で顔を赤くしてる姿はとても良いものだった。
「一挙手一投足全てが可愛い。」
何見ても可愛いとしか思えないのだから重症だ。
その後は無事に成功し、ドヤ顔で説明していたがその姿も背伸びしているようでとても可愛かった。
ニヤニヤしながら配信を見ていると聞き流せない情報が耳に入ってきた。
「もっと褒めてくれても良いんじゃないかなぁ!もぅ!あ、あと浄化水とか売りたいんだけどどこで買取してくれるのか教えてもらえると助かります。」
〈バザーで出品できるよ〉
〈バザーの無人出品なら顔合わせずに取引できる〉
〈あれ交渉できないから嫌いなんだよね〉
〈自販機みたいなもんだししゃーない〉
「なるほど!みんなありがとう!君らも役に立つじゃん!」
どうやら掲示板に出品するらしい。これはチャンスだ。
PCも付けっ放しのまますぐさまPodに入る。
「今から先回りすれば会えるかもしれない。」
今日この後バザーに姿を現す確信があったわけではないがいくべきだと判断した。
――ログインしました。
「とりあえず掲示板が見える位置にいよう。」
来る確証はないがひたすら待つ。
「実際見つけたとして今日声をかけるべきか……それとも明日の時間が大量に取れるタイミングで声をかけるべきか。」
明日は土曜日なので学生なら休みだろう。
仮に今日来なかったとしても明日なら確実に来るだろうという確信があった。
色々と計画を練っている内に1時間ほどが経過していた。
今日は来ないのかな?と思い始めていたそのタイミングで掲示板の前に白いフード付きマントを被った少女を発見した。
目立っていたわけではないが何故かその少女から目が離せなかったので顔が見える位置まで移動をする。…………彼女だ。
「ミィちゃんみーつけた……。」
口走った言葉は通報ものだった。
彼女が掲示板から離れたのを確認した後すぐさま掲示板へとむかい彼女の出品物を全て買い占めた。
「……これ安過ぎない?」
仕方ない事とはいえ出品されたアイテムは全て適正価格を下回ってるように見えた。
「これはチャンスよ。価格を教えるという大義名分もできた。」
あわよくば一緒にバザーを回るということもできるかもしれない。
「それと売上の受け取りに来るのは確実だから明日ここで張ってれば会えそうね。」
ほぼ予想通りに事が運んでいるこの状況は私にとって幸運だ。
「とりあえず明日は朝から張って声をかけましょう。」
――ログアウトしました。
明日でアリナ視点は最後になります。
感想等いただけると励みになりますのでよろしくお願いします。




