Sideアリナ01.一目惚れ
彼女を見つけたのは偶然だった。
私、鏑咲有奈はいつも通り仕事を終え、いつも通りゲームにログインし、いつも通り配信を漁っていた。
「今日は面白い放送あるかな〜?」
新着配信の一覧を見ているとある配信が目に入った。
「錬金術?確か不遇職とか言われてるやつだっけ?」
なんとも面白そうじゃないかと放送を開く。
「今日は錬金術を使ってアイテム合成をしてみたいと思います!正直やり方分からないからグダグダになると思うけど付き合ってくだひゃい!」
一目惚れだった。
そこに映っていたのは黒髪ショートヘアーの可愛らしい子だった。
中学生くらいかな?気の強そうなつり目を潤ませながら錬金術に挑戦する彼女から私は目が離せなくなっていた。
「できたぁぁぁぁぁぁ!」
耳が痛くなるほどの声が聞こえてきた頃に少女は薬を完成させていた。
泣きながらも諦めずに挑戦し続ける少女の姿は私の無くしてしまったものを思い出させた。
「眩しいなぁ。」
気づくとそんなことを呟いていた。
「にしてもほんと可愛い……生意気な感じでいわゆるメスガキ……あぁわからせたい。」
私の悪い癖が出てきた。
私は女の子が好きだ、特に少女とカテゴライズされる子が好きだ。別に男が嫌いなわけではないが男という存在に興味を持てないのだ。
可愛い子を見てるだけでお酒が飲めるくらいだし、許されるならお付き合いとかもしてみたい。
「でも……世間は許してくれないのよね。」
昨今理解は進んでいるとはいえまだまだ特殊な恋愛の形だ。私の都合に普通の人を巻き込んではいけない。
「でも……なにかしてあげたいなぁ。」
付き合ったりとかは許されないかもしれないけど友達として側にいることなら許されるよね?
そんなことを考えていると配信の方ではマナポーションなるものを錬成していた。
笑顔でぴょんぴょん跳ねている少女を見て私の胸はより一層高鳴った。
「ほんと可愛い!友達になりたいとか思ったけどまともに顔見れるのかこれ?」
あぁもっといろんな顔を見てみたい。怒った顔、笑った顔、泣いた顔、恐怖した顔。彼女の全てが見たい。
「まぁ無理なのはわかってるけど。」
悲しいかな私にはスクリーンショットを撮ることしかできない。現実ならこんな事をしたら盗撮になるのでゲームの中で良かったかもしれない。
「ん?このゲームってキャラの見た目が現実にかなり依存するわよね?もしかしてリアルでも美少女って事?」
気付いてしまった、気付いてはならなかった。
「あーなんか奇跡が起きて向こうも私と同じなんて事起きないかなぁ?」
無理な願いなのはわかってるけど思わずにはいられなかった。
そんなことを考えているうちに配信は終わり。
覗いてみた匿名掲示板は大いに賑わっていた。
あれだけのことをしたのだ当然だろう。……それに可愛いし。
その後私はログアウトし、お酒を開け画面の中に映る彼女を見ていた。
「やっぱり可愛い……。」
一目惚れなんて初めての事。しかもこれは決して実らない、実らせちゃいけない恋心。
そんなことを考えていると心が苦しくなってきた。
「今度ログインしたら全力で探しましょ……。」
願わくば彼女の性格が破綻していてこの恋心を醒ましてくれますように。
見通しが甘かったのでSideは3話続きます。
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