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20.ちやほやされたい初デート?

 配信を終えた私はスターティアに戻ってきた。


「さて、アリナに連絡取らないと。」

 フレンドチャットを開きメッセージを送ると速攻で返事が返ってきた。


「バザーの掲示板前で集合……っと」

 急ぎバザーへ向かう私。なんだろう友達と遊ぶなんて随分と久しぶりだから妙に浮き足立ってる気がする。


「おつかれ!配信見てたけどあんまり無茶しちゃダメだよ。」

「あぅ。まぁ我ながら無茶だとは思ったけど……勝てたからいいでしょ……。」

 そもそもあんなのに遭遇したのはアリナが死亡フラグ立てたからじゃないの?……口が裂けても言えないけど。


「それはそうだけど。ほんとミィは運が良いのか悪いのか。掲示板でもあのウサギの話題で持ちきりだったよ。」

「うえー。しばらく目立っちゃうかな?」

 今でも周りからヒソヒソ話されてるし……マント装備しておけばよかった。


「まぁ配信してる以上は仕方ないよね。ミィも早く慣れなさいよ。」

「アリナは配信とかしないの?」

「私はしないわ。見てる方が楽しいし。」

 ……私の介護で配信に出てもらっちゃったけど悪いことしたかな?


「でもアリナ私の配信に出てくれたじゃん?あれ助かったからもっと手伝って欲しいんだけどな〜。」

 ニヤニヤしながら意地悪のつもりで言ってみる。


「別にいいわよ?テンパってるミィを近くで見れるのも悪くないし。」

 ニヤッと笑って返される。なんだかこっちが恥ずかしくなってきた。


「じょ、冗談よ!だってアリナが出るとコメントがアリナの事でいっぱいになってたし。私がちやほやされたいんだから出ちゃダメ!」

 早口で捲し立てる。恥ずかしさで顔が赤くなってるのを感じる。


「そう?まぁ必要になったらいつでも呼んでね?」

 そう返すアリナのニヤニヤは加速していた。


「あぁ〜。この話は終わり!そうだ!アリナに渡したいものがあったんだ!」

 強引に話題を変え、インベントリから白兎の毛皮を取り出しアリナに渡す。


「え?いや流石にこれ貰うのは悪いよ。」

「いいの!これは装備のお礼だから。遠慮しないで貰って!」

 強引に押し付ける。フレンド内での素材の受け渡しは強制できると書いてあったからこれで渡せるはずだ。


「わかったわ。それじゃそれは貰うからミィのマントも一緒にちょうだい。新しい装備を作ってあげるから。」

「いや……それじゃお礼の意味が……」

「いいから渡しなさい。」

「…………はい。」

 結局圧に屈してしまった。


「えっと。じゃあバザー見て回ろうか。」

 話題を逸らさないといたたまれないので話題を変える。


「そうね。ミィにはポーションの類の値段を覚えてもらわないといけないからね。」

 あかん、こっちも地雷だったか?


「私アリナと楽しくお買い物したいなぁ……なんて。」

 上目遣いで可愛くお願いしてみる。顔だけはいいんだからこんな時くらい仕事してくれ。


「ダメよ♡」

 ダメでした。


「これはミィのためでもあるんだから我慢して覚えなさい。じゃないと価格破壊だーって薬師の人たちに恨まれるわよ。」

 それは勘弁して欲しい。ちやほやされたいだけであって恨みを買うような真似はしたくない。


「わかった……。覚える。」

 仕方ない……面倒だけど仕方ないんだ。


――――――


「覚えられた?」

「無理……メモ取ってるから後で見返す。」

 素材込みで教えられたからなかなかの量になっていたので自信はない。


「そういえば広場で露天商みたいなことしてるプレイヤーが居たけどあれはなんなの?」

 「あれは1月5000Gで借りられるスペースで色々便利なのよね。」

 お金がかかるなら正直掲示板で良いんじゃないかな?


 私のそんな疑問を察したのかアリナが答えてくれた。

「まずスペースは出品制限が無いし適宜商品の補充ができるのよ。掲示板と違って商品の更新をしたい場合取り下げとかしないですぐにできるし、ログアウトしてる時は自動で対応もしてくれる。あとは高めの値段に設定した一品ものとかを値段交渉の体で高めで売ったりとかもできるわね。」

 最後のは私には無理です。


「補充とかをいちいちしなくていいってのは良いかも……私もスペース借りようかな……。」

 掲示板に何度も足を運ぶのは正直面倒なので良いかもしれない。

「あとは家を買って出店申請するって手もあるわよ。」

「家?」


「空き家があるからそこを買って店を開くってやつね。初期投資はかかるけど拠点にもなるし顔が売れてるミィならこっちの方が良いんじゃないかな?」

 拠点にもなるということは内装とかも自分で決められるのかな?

「それすごくいい!私自分のお店を持ちたい!」


「んーと……じゃあ見に行ってみる?」

「行く!」

 食い気味に返事をしてしまい少し恥ずかしかったけど興味があるものは仕方ないよね。


「ふふっ。じゃあ行こっか。」

「うん!」


 連れられて行った先は商店街みたいなところだった。

「……高い。」

 人通りの多い所に建てられてる空き家はべらぼうに高かった。


「150万とか値段設定バグってるんじゃないの?つかあんなの買える人居るの?」

「私はちょっと無理かな。それでも人が多くて大きめの家ってなると仕方ないんじゃない?」

 良いものは高い。当然だけど歯痒さは感じる。


「流石に手が出ないから他のところ案内してよ。」

「はいはい。じゃあちょっと中心から離れた所行こっか。」


 連れてこられたのはバザーからも商店街からも離れた場所。閑静な住宅街みたいな所だ。

「これくらい静かなの良いかも。」

「あ〜ミィはそうかもしれないね。」

 うるさすぎるのはダメなのです。


 何件か見てまわっていると少し小さめの二階建ての家が目に入った。

「ここ庭付きなんだ。」

 家の横にはそこそこ大きな庭が付いており薬草とかを育てられそうだなと思った。


「ここ見てみてもいい?」

「別にいいよ。」


 扉を開けてみるとカウンターのみが置いてある大部屋がまず目の前に広がった。次にカウンターの裏の扉に入ると前の部屋の半分くらいの広さの部屋になっていた。

 「ここでご飯作ったりとか作業したりとか……ってご飯は作る必要ないのか。」


 二階に上がると部屋が4つあり1つは窓のない倉庫みたいな部屋だった。

「この間取りって元々宿屋とかだったのかしら?」

「かもしれないね。ミィここ気に入ったの?」

「正直すごい気に入ってる。でも流石に買うお金が無いから売れないことを祈ることしか今はできない……。」

 先立つものが無いのはつらいです。


「って言っても40万だからミィなら頑張れば買えそうなもんだけどね。」

「それはそうだけど……やっぱり掲示板で地道に売るしかないよね。ほんと売れないか心配。」

 私から見たこの家はなんか可愛くて売れてしまわないか心配だった。


「ま、大丈夫じゃない?なんならお姉さんが出してあげようか〜?これでも制作依頼で稼いでるし。」

 飛び付いちゃいそうな提案だ。でもそこ甘えるわけにはいかない。既に装備の件であり得ないくらいの借りができてるのだから。

「いいよ。流石にそこまでやってもらう訳にはいかないし。頑張ってお金貯めます。」


 「そう?その気になったら言ってね。」

 アリナは私をどうしたいんだ?貸しを作りまくってなんかデカイこと頼もうとしてるの?それとも私が好きなのか?

 この顔だし好かれるのはわからなくはないけど、私にそっちの気は無い。…………多分。


 無いはずだけどなんかアリナに世話焼いてもらうのは悪い気がしないんだよね。でもこれは恋心じゃ断じてない。お姉ちゃんに甘える妹的な感じだと思う。

「大丈夫。気持ちだけ受け取っておくわ。」

 さらば誘惑。


 その後は掲示板に行って現行の適正価格で下級ポーションとマナ促進剤を20本ずつ出品して解散する運びとなった。


「じゃあまたね。今日は楽しかった。」

「また遊びましょう。いつでもメッセージ飛ばしてきていいからね。」

 私が飛ばさなくてもアリナが飛ばしてくるんだろうなとは思った。


「あ!でもミィの装備作る約束してるから結局は私から連絡することになるか。」

 あれは約束と言えるのだろうか?ほぼ強制だった気がするのだが?

「ゆっくりで良いよ。さっき言ってたけど制作依頼とかあるんでしょ?」


「ミィは優しいね〜。まぁそこは気にしなくてもいいよ。私が作りたいもの優先だから。」

 それで納品が遅れる人が出るのを気にするんだって。

「……わかった。でも本当に無理はしなくて良いからね。」

 この前言い合っても平行線だろうし私が折れるしかない。


「それじゃまたね!ミィ。」

「……うん。またね……アリナ。」

 久しぶりにできた友達。別れの挨拶で名前を呼ぶのが何故か少し恥ずかしかった。


 ――ログアウトしました。

つぎの幕間を投稿したら2話ほどアリナ視点に移りたいと思います。


ご感想等いただけましたら励みになりますのでよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゲームを始まったばかり、町の周りあまりいい素材がないのに、そしてゲームが進んだらみんな他の町に行くんでしょう、なのになんで家・店をその町に開きないのか意味が分からないな。
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