02.ちやほやされたい旅の始まり
視界が開けるとそこは街のようなものだった。
石畳にレンガ作りの建物、どことなく中世感のある街並み。多分だけど拠点の街的な扱いなのかな?
というかめっちゃ人いる……気持ち悪くなってきた。
多すぎる人に参っていると声をかけられた。
「そこの可愛いお嬢さん!初心者だよね?良かったら俺が色々教えてあげようか?」
見るからにチャラそうな金髪のお兄さんに声をかけられた。善意かナンパかと聞かれれば間違いなく後者であろう発言を聞いた瞬間私の中のコミュ障が火を吹いた。
「あ、あの……あの、えーと、け、け、け、け、結構ですー!」
私はその場を全速力で駆け出した。【AGI】20の力はすごいもので私はかなり離れたところに移動してた。
「ここどこ……?」
辿り着いたのは見知らぬ場所。まぁ全てが見知らぬ場所なんだけどそれはこの際置いておいて、私は現状確認のため色々やってみることにした。
「ステータスを見たい時はステータスって念じれば出るって街に飛ばされた時に頭に入り込んできたから、その理論でいけば…………マップ!」
多分出さなくても平気だろうけど気分で声に出すと目の前に半透明の画面が現れた。
「始まりの街、スターティア?」
そう書かれてるマップらしきものには私の現在位置が点で表示されていた。
「結構走ったと思ったら街の端まで来ちゃってたのね。」
さっきナンパされたと思われる街の中央部……噴水のある場所から離れた場所に点があることから結構な距離を移動したことがわかる。
「いきなり声かけるなんてマナーの悪いプレイヤーだわ!まったく!」
悪態をつきながら色々試してみる。ステータスからインベントリや装備変更などもできるみたい。
PN:ミィ
武器 サブ職業の影響により装備不可
盾 なし
頭装備 なし
胴装備 冒険者の服
腰装備 冒険者のスカート
腰装備2 なし
腕装備右 初心者の籠手
腕装備左 初心者の籠手
足装備 冒険者の靴
え?武器装備できないの?……多分腕装備が左右で分かれてるのが【見習い拳闘士】の恩恵なんだろうけど。
「私の職業弱すぎない?」
冷静に考えて武器装備不可はまずいんじゃないかしら?武器が装備できる前提で【STR】に振らなかったみたいなところもあるし、装備不可となってくると全てが破綻してくる……
「いや逆に考えるのよ……不遇職2つで頑張る私ならさらにちやほやされるかもしれないじゃない?」
都合の良い考えというのはわかっている。でも私にはもうこの道しか残されていないのよ!なにせこのゲームは一度作ったアカウントは本体と紐付けされて消去不可、もう一度遊びたい場合は本体をもう1台買わないといけない。お年玉10年分をつぎ込んだ私には退くという選択肢は無い!
「やってやろうじゃないのよ……!」
街の外れで私は固く決心した。
「まずは錬金術を試してみようかしら。」
そう呟くと私はインベントリからアイテムを取り出す。
[見習い錬金セット] 見習いに送られる錬金セット。作れるものは限られているが無限の可能性を秘めている。譲渡、売却不可
【見習い錬金術師】の初期アイテムだと思われる錬金セット。広げてみると使い方が頭に浮かんでくる。
1.まずは2つ以上の素材を鍋に入れます。
2.魔導コンロにかけ魔力を込めながらかき混ぜます。その際素材の状態によって加減は変わってくるので注意してください。
3.あら不思議アイテムの完成。
最後適当すぎるでしょ。
私は少し呆れながらも考えをまとめてみる。
(2つ以上って事は最低でも何かしらを採取しなきゃいけないって事でしょ?しかも錬金って失敗するとアイテムも消えるらしいから最低でも各素材10は欲しいところ……。)
思ってた以上にめんどくさい職業のようだ。
これも配信のための諦め採取に向かう。幸い外壁の方へ走っていたため街の外へはすぐに出れる。近くの出入り口から出ようとすると見張りの人に声をかけられた。
「君!そんな小さい子が街の外に出たら危ないよ。悪い事は言わないからお家に帰りなさい。」
いきなりの事にテンパってその人の顔を見てみると頭の上に黄色い文字でケイと書かれていた。さっきのナンパ野郎は朧げながらも黒文字だったはずだから多分NPCなんだろう……そう思うと幾分気が楽になってきた。
「えと……大丈夫です。私……プレイヤーなので。」
「プレイヤー?あー異邦者のことか!それなら大丈夫かな。引き止めてすまないね。」
「あえ……えと……大丈夫です。心配してくれてありがとうございます。」
プレイヤーの事は異邦者って言うのか。また一つ賢くなった!ありがとう、ケイさん!
そんな事を思いながら街の外へ出ていく私。さぁここからが私の冒険よ!




