表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/51

18.ちやほやされたい私と強敵

「あっこれも素材だ!」

 なんやかんやで1日の採取量の記録を更新してインベントリがウハウハな私。

 これでポーション類を作ればそれなりのお金になるはず。


「新スキルも取ったし、グリーンウルフくらいなら対処できるようになってきたし当面は安泰だね!」

 あの後5匹ほど倒してまたレベルが上がり、その後スキルを確認してみるとアナライズというスキルが生えてきていたのでそれも取得し私は調子に乗っていた。


 【アナライズ】生物鑑定の力。モンスターの詳細データを確認することができ、上位スキルになるほど表示される情報量は増える。


 〈調子乗ってると痛い目みるで〉

 〈ここら辺は基本狼しかいないから安泰なのは間違って無いけど〉

 〈スライムとかいないんだよね。他のRPGなら定番なのに〉


「流石に4匹いっぺんにとかってなったら危ないけど3匹までならなんとかなるってわかったからね!」


 〈さっき泣いてたやんけ〉

 〈あのセンシティブな戦闘な〉

 〈喉元過ぎればなんとやら〉


「うるさいなぁ。あとセンシティブじゃないからね。」


 くだらない雑談をしていると前方に白い影が見えた。

「ん?今なんか白いのが居たよね?」

 グリーンウルフ以外のモンスターは見たことがないので追いかけてみる。


 〈白いやつなんてここら辺にいたっけ?〉

 〈ここら辺だとグリーンウルフとフォレストラットでしょ〉

 〈そういや鼠とはまだエンカしてないな〉


 コメント見てもわからないみたい。もしかしたら珍しいのかもしれないし追いかけよう。

「よしっ!じゃあ追いかけてみるよ。」


 前方へと駆け出すとその影にはすぐに追いつけた。

 ……そこに居たのはウサギだった。


「えっ!なに?めっちゃ可愛い!」


 〈おまかわ〉

 〈何あのモンスター〉

 〈レアエンカじゃね?〉

 〈相変わらず持ってるなぁミィちゃん〉


「とりあえずアナライズしてみよう。」


 かくとうウサギ 始まりの森を根城にする孤高のウサギ。鍛錬と称し格闘家へ辻試合を挑む習性を持つ。

 HP 3500 MP30


「……強くない?」

 グリーンウルフの10倍HPあるんですけど?


 〈強すぎワロタ〉

 〈ソロじゃ無理だろこれ〉

 〈今調べたけど攻略wikiにも乗ってねぇぞコイツ〉

 〈それマ?リリース10日とはいえβだってあったのに情報ないって事はリリースで本実装された系か〉


「ちょっ!情報ないの?……どうしよう逃げようかな?」


 〈いや戦え〉

 〈マジで頼む戦ってくれ〉

 〈ミィちゃんならできる!〉

 〈いくらでも甘やかしてあげるから戦ってくれ!〉


 今までにないくらいコメントが盛り上がってる気がする。

「んもぅ。しょうがないなぁ。まぁ君らがそこまで言うなら戦ってあげてもいいけど?」


 〈調子乗んな〉

 〈はよいけ〉

 〈負けてもいいからいけ〉


 まぁこんな奴らだよ。

「冗談はさておき……とりあえずは頑張ってみようかな。」


 白いウサギと向き合うとカメラが背後に回った。

 それと同時にウサギが二足歩行になり前足をこちらに向けて構えを取ってきた。

「なにあれ。めっちゃ可愛い。」


 可愛さに浮かれているとウサギは急に距離を詰めてきた。

「っ!」

 咄嗟に横に飛ぶ……がウサギもそれに合わせて方向転換をしてきた。


「マジっ⁉︎」

 方向転換したウサギが蹴りのモーションに入る。

 対応できずにモロに受けてしまい吹き飛ぶ私。


「ぐっ!」

 今の一撃でHPの4分の1を削られてしまった。

「強すぎない?というか適正レベル足りてないでしょこれ。」


 初級ポーションを飲もうとするが間髪入れずにウサギが飛びかかってきた。

「飲む暇も与えないって……もうっ!練気!」

 MPを消費し気を纏う。体が軽くなるのを感じた。


「これっ……すごっ!」

 ただでさえ現実とのギャップに驚いていたのにスキルを使用した今はそれすらも凌駕していた。


 「リーチ差があるんだから……くぅ。」

 懐に潜り込まれると厄介と判断し距離を保ったまま拳と足をぶつけ合う。


「硬化で受けてるけどこのままじゃジリ貧だよっ。」

 MPがすごい速度で減っているのを感じる。

 【練気】の掛け直しだって馬鹿にならないのだから長期戦は避けたい。


 (狙うならやっぱりカウンターだよね。)

 そんな事を考えていると回し蹴りが飛んできた。

「くっ!」

 蹴りの方向に体を動かし食らった勢いを利用し重化をかけた裏拳を叩き込む。


「ぶーっ!」

 なんか汚い声を上げながら吹き飛んでいくウサギ。

 今のうちにと初級ポーションと促進剤を飲む。

「やっぱり早飲みってキツいなぁ。」

 傷が癒えるのは感じるが100mℓの一気飲みを2本はキツい。


 そうしているとウサギがまたこっちに飛び込んできた。

「一旦離れれば……こっちのものだ。」

 先程とはうって変わり攻撃に対してカウンターを入れていく。


 〈すげぇなミィちゃん〉

 〈純粋な身体能力であれやってるんだろ……バケモノじゃん〉

 〈なんであんなに活発そうなのにちやほやされたいとか学校だとどうなっとるんやろな〉

 〈まぁ女の子なんだし体が動かせるからって人気出るわけじゃないからなぁ。あとあの子普通に面と向かって話せないタイプでしょ〉

 〈顔が見えてるとダメなタイプって居るよね〉


「ちょっとずつだけど削れてる……よね。」

 アナライズで確認した感じだとそろそろHPは半分くらいだ。


「そこっ!」

 隙が出来たので重化をお見舞した。ウサギが吹き飛んだのでチャンスとばかりに距離を詰める。


「このまま畳みかける。」

 その瞬間。


「ブゥぅぅぅぅぅ‼︎」

 ウサギが咆哮を上げ吹き飛ばされる私。

「いや!モン●ンかよ!」


 ウサギを確認するとMPが0になっており目がピンクのような赤から血のように深い赤になっていた。

「第二形態ってことかな?」

 余裕ができたとはいえ正直ギリギリなところで戦っていたのでここでの力関係の変化はまずい。


 〈なんかすげぇ強そうなのになったな〉

 〈ミィ嬢大丈夫なんか?〉

 〈あれほんまウサギか?〉


 動き始めるまで時間がありそうだったので初級ポーションと促進剤を飲む。

「油断してたらヤバいやつだ……っっ!」


 ウサギが視界から消えた。そしてかろうじて見えたソレは踵落としを決めようとしていた。


「やばっ!」

 咄嗟に腕を交差させ防御する。鈍い衝撃が両腕を襲い体力が1割ほど削られた。

「防御してこれなの……。」


 MPが0になってるしあの状態はバフスキルを使った状況なのだろう。

 若干痺れが残る腕で攻撃を受け流してはいるが先程までの状況と違いこちらに余裕は無い。


 〈無理やろこれ〉

 〈バランス調整してないだろこれ〉

 〈こんだけすごいのなら目撃情報ありそうだけどなんなんやろなコイツ〉


 バキィ


 金属と有機物のぶつかる音とは思えない音が響きウサギが距離を取る。

 ラッシュ後のインターバルだろう。こちらも初級ポーションを2本飲む。

 

「このままじゃ勝てないよね。」

 こちらはポーションを2本使わされているが相手は形態が変わってから1ダメージも受けていない。このままだといずれやられるのはこちら。

 まともに打ち合っても【STR】の低いこちらが打ち負けるだろう。


「ジリ貧すぎない?」

 どうにかして勝てる方法を考えるが現状取れる選択肢は頭のおかしいパワープレイしか思いつかない。


「いた……くはないだろうけど心理的にやなんだよなぁ。」

 しかも失敗したら全て台無しである。


 〈なんか覚悟決まった顔してる〉

 〈まさか……あれを使うつもりか!〉

 〈あれってなんだよ〉

 〈まぁここまで情報引き出してくれてるなら負けてもええやろ〉


 インターバルが終わったウサギが再度こちらに突っ込んでくる。


 「っ!」

 再度始まるラッシュを【硬化】を交えつついなしていく。こんな時だけ右手も【硬化】が欲しい。


「このっ。はやくっ……。してよっ……。」

 ジリジリと削られる体力は現在6割。もしもを想定したとしてもこれ以上削られるのはまずい。


 攻撃を弾いているとウサギが1mほど距離を取った。その瞬間私はインベントリを開く。


「ブフゥ!」

 ウサギが体めがけて飛びかかり前蹴りの姿勢を取る。


「あがっ……。」

 胴体にクリーンヒットする前蹴り。今までで1番の衝撃が腹部を襲う。HPが急激に失われていくのを感じる。


 〈あー回復間に合わなかったか〉

 〈インベントリ開いてたけどギリギリダメかぁ〉


 まだ……終わってない!

「……ふ……はまえた!」

 腹部に突き刺さるようになっているウサギの体を抱え込み私は咥えていた初級ポーションを喉に流し込んだ。


 危険水域を脱した私はそのまま体を捻りウサギの小さな体を抑え込むような体勢になった。いわゆるマウントポジションというやつだ。


 〈捨て身すぎだろ!〉

 〈あれ狙ったとしても体力計算ミスったら死ぬやつだよな〉

 〈飲むの間に合ってればもっと余裕あったろうからうさ公のモーション移行が早すぎた故の結果でしょ〉

 〈全受け前提とかツラいわ〉


 マウントを取った私は右手の【重化】を維持したままウサギを抑え込み、左手の【硬化】を発動して殴り続ける。こんな時だけ左手も【重化】が欲しい。


 〈えっぐ……〉

 〈体格差プラス重化の増量で動けなくしてからのメッタ打ち〉

 〈しかも利き手じゃないからダメージの入りが悪いという。長く苦しむのはつらかろう〉

 〈余裕ないのか虚ろな目になってない?〉

 〈いやこえーよ〉


 ガッ……ガッ……ゴッ……ガッ……


 何発殴っただろう。必死すぎて覚えていないし、時間もどれだけ経ったのかもわからない。


 ――かくとうウサギを倒した。

読んでくださりありがとうございます。

毎日更新はまだ続けられそうです。


感想などいただけましたら励みになりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ