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11.ちやほやされたい初遭遇

 「……ふわぁ。」


 目を覚ました私は時計を確認する。

 ……9時。そこそこいい時間だ。

 顔を洗うために部屋を出るとコーヒーのいい匂いがした。


「おはよー。」

「おはよう。朝ご飯用意するから顔洗ってらっしゃい。」

 そう言うと広げてた新聞を畳んでお母さんはキッチンへ消えていった。


 身支度を整えてリビングで待っているとお母さんが戻ってきた。

 今日の朝食はベーコンエッグとトーストとコーンスープ。

 お母さん……すき。


「そういえばこの前買ってたゲーム楽しい?」

「うん!すごく楽しい!今日は1日やろうかなって思ってる。」

「1日って……宿題とかは平気なの?」

「昨日の夜に全部終わらせてるから平気だよー。」

 そこら辺は抜かりないのです。

「お母さん今日は午後から仕事だけど夜ご飯はちゃんと食べるのよ?」

「そこは大丈夫。ゲームやっててもお腹空くから。」

「そういえばパパにゲームの事話したらどんなゲームか知ってたみたいですごく心配してたわよ。一華は可愛いから変な虫が付かないか心配だ〜って。」

「またお父さん変なこと言ってる。」

 お父さんは海外勤務で年に1、2回しか帰ってこれない。私の事を可愛がってくれてるけど正直過保護だと思う。

 ちなみに去年私が恥ずかしくなったからパパ呼びをやめたらこの世の終わりってくらい落ち込んでた。


「ごちそうさま!じゃあ私部屋にいるから。お仕事がんばってねお母さん。」

「おそまつさま。別に一日中やってても良いけどちゃんと休憩はしなさいよ。」

「わかってるよー。」

 部屋に戻りPodに座りゴーグルを下ろす。


 ――ログインします。


 昨日と同じバザーで視界が開けた。

「まずは通知を確認。売れてるといいなぁ。」

 昨日出品したものが売れてるかを確認するため通知を開く。


「え……すご……3分もしないで売れてるじゃん。」

 ログを確認すると3分弱で全ての商品が売れていた。

「安すぎたのかな?……でも価格なんてわからないし。」

 色々考えてはみるが何が正しいのかなんて分かるわけもなく。


「まぁ今回は出血大サービスって事でいっか。受け取りに行こっと。」

 受付に行くと昨日のお姉さんNPCとは別のNPCがいた。

「すいません。掲示板の売上を受け取りたいんですけど大丈夫ですか?」


 「はい!大丈夫ですよ!それじゃ、ここをタッチして下さい!」

 すごい元気だ。そして可愛い……けどどう見ても小学生にしか見えない。この世界に労働基準法は無いのだろうか。

 そんなくだらない事を考えながら指を置く。


「ありがとうございます!ミィさんですね!合計で8940Gになります!」

「ありがとうございます。」

「また何かありましたらよろしくお願いします!」

 最後まで元気いっぱいだ。


 いやーでもああいう小さい子が元気に話してるのってなんか良いよね。こっちも元気になるし、微笑ましいし。

 なにせ今の私は夢の160cm!お姉さん目線でも許されるよね?


 お金を受け取り採取にでも向かおうとしたその時


「あなたがミィちゃん?」


 後ろからそんな声が聞こえてきた。


「ミィって人が他にもいるのかな?」

 フード被ってるし私じゃないでしょ。


「ミィちゃん?」

 今度は真後ろから聞こえてきた。

 完全に私だ。


「ひ……人違いですぅ。」

 語尾がすごい上擦った。どうしよう走って逃げようかな。


「一昨日の配信から興味があったんだけど、よかったらお友達にならない?」

 すげーぐいぐいくる……。無理無理無理無理初対面の人と友達なんて無理!


「あの……えーとですね。…………ごめんなさいっ!」


 結局私は逃げた。全速力で駆け出した。


「無理だよっ!あんないきなり誰かも知らないのに友達になろうとか距離感バグってるんじゃないの!」

 自分は悪くない。距離感のおかしい相手が悪いと自分に言い聞かせるように叫びながら走る。


 わかってる。配信をしてる以上ああいう人も出てくるだろうし、オンゲーなんだから交流も必要なのもわかる。…………でもね、無理なものは無理っ!


 全速力で走り、肩で息をしながらいつもの外れに着く。


「ここまで……くれば……平気……でしょ。」

 前のナンパ野郎から逃げる時よりも全力だったので結構キツい。


「とりあえず落ち着いたら採取に行こう。フィールドに出ちゃえばどこにいるかなんてわからないでしょ。」


 気を取り直してレッツゴー。


 ――――――


「おっ。これは初めてみるやつだ。」


 調和の石 別名絆石。異なる融点を一つにする鍛治師御用達の鉱石。


「へー。こんなのもあるんだ。合金とか作る時に使う感じなのかな?」

 まぁなんにせよ採取。

 なんか今日はポップ運が良いのか素材をいっぱい拾えてる。


「いっぱい拾えてるしこの後ポーションいっぱい作ろっと!」

 独り言もテンションが高くなる。


 ――ガサッ


 何か後ろの茂みから音が聞こえた気がする。

「ん?なんかいるのかな?」

 振り返ったその瞬間。


「ガウッ!」


 何かが飛び出してきた。

 かろうじて見えたそれは犬のようだった。

 当然反応できるわけもなく押し倒されてしまう。


「痛っ!うわっ!なにっ!犬?」

 見てみるとグリーンウルフと表示されていた。

「狼っ⁉︎……いやっ!どいてっ!」

 渾身の力を込めて足で押しのける。

「キャンッ!」

 どうにか押しのける事には成功した。


「逃げなきゃっ!」

 足に力を込める。


「あれ?足が動かない。」

 震えて立ち上がれない。

 

「いや……動いてよ!あいつが来ちゃう!……このっ!」

 目には涙が溜まり、心臓は早鐘のように動く。そして目の前には立ち上がり少し警戒するように歩を進める狼。

「誰か助けてっ!」


 そう叫んだ瞬間。


 ――バシュッ!


 狼の頭が何かに貫かれた。


「大丈夫?」


 私の耳に届いたのは、先ほど聞いた声だった。

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