2.加賀宮奈津
"ピーン"チャイムの音と同時にエレベーターの扉が開く。
「やぁ、久しぶり」
扉すぐ目の前にいる長身の白衣姿、ロングヘアのこの男こそ「IV」の支部長、加賀宮奈津である。
「さて、しばらく休んでいたことだしリハビリの意味も込めて早速一つ仕事をしてもらいたいんだが....その前に渡しておきたいものがあるんだ」
奈津は奥の少し盛り上がった白いテーブルクロスの掛けられたテーブルまで二人を案内しシーツを引き取った。
テーブルの上にはさまざまな新しい装備が並べられていた。
「お...おおおおぉ!、これはっ!まさかっ!」
凛はテーブルの上に置かれている刀を見て目を輝かせた。
柄から刃まで刀身すべてがメタリックで少し機械的な刀だ。
「高周波粒子ブレード、なんだって軽く切ることができる....当然人体も」
「このブレードは特殊改良も施してある、カスタムは基本的に〇〇式とつくのだがこれには奈津式とつけることにしたよ」
「[程よくダサい!!!]」
ちょっとしゅんとした様子の奈津をよそ眼に凛はテーブルの他の装備に目を向けた。
「こっちは光学迷彩装置じゃないですか!こんな小型化されてて素晴らしいです!、完璧です!」
凛がテーブル上の他の新しい装備を見て興奮している間豪専用の装備を奈津が豪に渡した。
「さぁて新装備たちは実践にて使ってもらうとして本題に入ろう」
奈津が声をかけると凛は手に取っていた装備をすべて置き奈津のほうを向いた。
「今回の任務は特指(特定指名依頼)ではない、帰還後早々だがなかなかにやりごたえのある仕事だよ....多分ね。 今回の暗殺対象は銃器及び兵器製造会社『Cutting edge』通称Ce社の幹部【貢一須加】とその部下【シェルマ・ホークス】、この二人だ」
「場所は?」
腕を組み棚に少し体重を任せながら聞いていた豪が奈津に聞いた。
「NEO東京第八区、クソでかビルだから見たらすぐわかるはずだよ〈位置情報も後で小型端末にULしとくよ〉」
「この人たちは何をしたんですか?あ、問題なければで」
小型端末(通称NST)を少し眺めた後凛が聞く。
「貢一須加、男性45歳血液型O型、Ce社幹部、担当は輸送(販売ルート管理)、販売だ。彼はCeの製品つまりは銃器兵器を分離過激派組織へ横流ししている。部下はそれの協力を。君たちも知っての通りCe社といえばIVの軍部や一般的な警備会社の武器のほとんどを任されている会社だ。二人がよく常備してるグロックもCe社製だよ。それが横流しされてるとなるとかなり問題ある、それも分離過激派共となると問題の桁が跳ね上がる。何としてでも止めなければならない....そんな気持ちが僕には伝わってくるんだ!」
最後の最後でボケたはずが突っ込まれなかった悲しき支部長「奈津」
....を無視して二人は装備をまとめ明日の夜まで待機することにした。(凛はいまだに刀を眺めている)