最終決戦
どうぞ、見てってください。
「よく来たな伝説の勇者よ!貴様が来るのを待っていたぞ!」
「え?」
「だが、お前の命もここまでだ。この私の暗黒微笑を見た者は生きては帰れないぞ!」
「は?」
「………いや、さっきからえ?とかは?とか言わないでよ。俺がね頑張って盛り上げてるんだからさ。もうちょっと勇者らしくしてよ。最終局面だよ?」
「いや、だって僕勇者じゃありませんし」
「………え?勇者じゃないの!?え、うそ!?だってめちゃくちゃ勇者の格好してるじゃん!誰がどう見たって勇者じゃん!」
「あ、いやこれコスプレです」
「コスプレ!?え、それコスプレなの!?」
「はい、自分RPG好きなんで」
「そんなのどうでもいいよ。何でコスプレなんかしてんだよ」
「まあ、今日ハロウィンなんで。ていうか、あなたも魔王の仮装してるんですね」
「いや、俺様は本物の魔王だよ」
「うわっすごい!キャラ付けも完璧ですね」
「いや、キャラとかじゃなくて本物なんだよ!」
「あーなるほど、形から入るタイプですね。だから家も魔王の城っぽくしてるんですね」
「いや、これ本物の魔王の城だから。嘘じゃないから」
「あっすいません。俺も勇者っぽくしなきゃいけませんよね」
「いや、そういうことじゃないから」
「出たな魔王!お前は俺が倒す!」
「いや、合わせなくていいからね。ていうか、帰ってくれ」
「今日こそお前を倒す!このジェンガで!」
「何で!?何でジェンガなの!?」
「勇者の言い伝えではジェンガを制した者は世界を制すると言われている」
「どんな言い伝えだよ!言い伝えたやつ絶対馬鹿だろ!」
「早くやろうぜ」
「準備はや!どっから出したんだよ」
「先行は譲ってやるよ」
「何だこいつまじで。もう、早く終わらせて帰ってもらおう。よっと、ほらお前の番だぞ」
「はあ!はあ!はあ!はあ!」
「めちゃくちゃ息切れしてる!!そんな神経使うか!?」
「これを崩したら死ぬ、これを崩したら死ぬ、これを崩したら死ぬ」
「お前ジェンガに命懸けすぎだろ!」
「くっ!おりゃあ!!!」
「うるさっ!近所迷惑になるからやめて!」
ガチャン!
「あーあ、ほら言わんこっちゃない。そりゃ崩れるって」
「ぐはぁっ!?」
「えーー!?血吐いた!?何で!?」
「中々やるな魔王」
「え、ジェンガってそんなヤバイゲームだっけ?」
「次はオセロで勝負だ!」
「いや、まだやるのかよ!そして何でオセロ!?」
「オセロを制した者は銀座を制すると言われている」
「何故オセロだけそんなピンポイントなんだよ!それも誰かの言い伝えかよ!」
「いや、僕のおじいちゃんが言ってた」
「それ完全に嘘だぞ!真に受けるな!」
「いいからやるぞ。因みに俺負ける気しないんで。それじゃあ、俺は白で。また先行は譲ってやるよ」
「何だ、もしかしてオセロ得意なのか?」
3手目、全部黒
「何が起きたんだー!!」
「こっちが聞きてぇわ!どうなったら3手目で白が消えるんだよ!奇跡に等しいだろ!」
「お前オセロの達人か!?」
「そんな達人になった覚えはねぇよ!」
「それじゃあ、次の勝負は」
「ちょっと待て!お前もしかして暇人だな」
「は?そんなわけないでしょ。こっちはね、ハロウィンでコスプレしてる女の人を見るって言う大事な仕事があるんだよ!」
「いや、それ暇人じゃねぇか!とっとと帰れ!俺はお前を相手にしてる暇はないんだよ」
「本当にいいのか」
「な、何だよ急に」
「最後まで気づかなかったな」
「まさか!貴様!?」
「ははははっはーはっはっは!」
「やはり伝説の勇者だったのか!」
「いや、コスプレです」
「帰れー!!」
見てくれてありがとうございました。




