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3.皇太子殿下の婚約者になりました

「アルベルト皇太子殿下の彼女になりたいと。


で、リサ様は、めでたく殿下の婚約者ということになりました」


「皇太子殿下ぁの.......

こんにゃくぅひゃぁ...?って、わたひぃがぁ?」


「リサ様。お口が全く回っておられないようですが。」


レイラと呼ばれた婦人は、笑いをこらえながら言った。


「はい。リサ様は、正真正銘、アルベルト皇太子殿下の婚約者様でございます」



「.......」


「突然の環境の変化....受け止めきれないのは無理もございません」


レイラは何かを言いたげな表情だった。が、それ以上は何も語らなかった。


だめだ!全く思考回路と口が回っていない…落ち着け…私。さっきの超イケメンはアルベルト皇太子殿下…そして私が婚約者って事は…


「私、皇太子妃、つまりお姫様になるの?」


「はい、順調にいけば」


レイラはとても嬉しそうに答えた。


よれよれと、ゆっくりと、鈍麻な私の脳みそが、それでも何とか考えようとしている。


私が読んでいる小説では、こういう場合、あっけなく事故で死んでしまった主人公が転生し、夢のような憧れの人生を歩むってことになっているはず。と言う事は、私に幸運の神様が降臨し、夢のような人生が訪れた、と考えるか。


 でも.....待てよ…


私は事故にあった覚えは無い。多分死んだと言う事実もない気がする。つまりは夢の世界に転生したと言う夢のような人生なんて.....ありえないよね。


え?もしかして、死んだの?私。


思い出そう…私が私であった最後の時を…。


いつものように起きてパパやママとダイニングキッチンで朝ごはんを食べた…

そうそう、シリアルをぴったり50グラム入れることができて、なんだかいいことがありそうでものすごいハッピーな気分になったんだ.....

で、パパがいつものように新聞読んでいて…それで新聞にイケメンの写真が載っていたのに見惚れて…。


イケメン写真....あれは確かにアルベルト皇太子殿下だ。

殿下に見とれていたんだ私....

でもそれから先の事はいくら考えようとしても、五里霧中。

はぁ~。


「リサ様、朝食はいかがなさいますか?」


お家で、シリアルを食べた最後の朝食が、もうずいぶん前の事のように思える。


あー泣きたくなってきた。


気がついたら大声で泣いていた。


そんな私のそばで、レイラはそっと、いつまでも見守ってくれていた。


どれだけ泣いていただろう…ずいぶんと時が経ったように感じる…

でも、確かな事は私の気持ちが落ち着いてきたと感じること。


「あ、あのレイラさん」


「レイラと呼んで下さいませ。リサ様」


「私は、今どこにいるのでしょうか」


「セントクリストファー王国の城内でございます」


天蓋付きのふかふかベッドに腰掛けたまま、私はお部屋を見回す。

豪華な装飾を施された家具が整然と並び、高い天井から吊るされたシャンデリアは大きな窓から、レースのカーテンを通って差し込む太陽の光に反射してキラキラしている。部屋の壁につけられた間接照明も、シャンデリアのデザインと統一されていて美しい。

テーブルの上には磨き込まれた銀のトレーに豪華なティーポットとティーカップが並んでいた。


「お茶を召し上がりますか?」


「は、はい。お願いします」


「で、この部屋は、もしかして私の部屋なのでしょうか」


「もちろん左様でございます」


「レイラさん、いやレイラ。先ほど、私がテレポーテーション...何とかを通ってきたとおっしゃいましたね。とすれば、どのようにしてここに来たのかあなたはご存知なのですよね」


「色々とおしゃべりがすぎてしまったようです。リサ様は随分お疲れのようですね」


と言いながらレイラは私をじっと見つめた。途端に、眠気が私を襲う。私はそのまま、ベッドに沈むこむようにして意識を失った。


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