傀儡
なぜか馬鹿馬鹿しくなり書きました。
暇つぶしにどうぞ。
右手が左手になる。
少年は賢そうな人間にあうとこういってみる。
すると大抵の賢そうな人達はものすごくわかるよと言う。そしてそんなことが分かるなんて君は天才だという。
日常から離れたものを天才としか表すことが出来ない彼らはなんと凡人なのだろうと少年は思う。彼らは自分に理解できないものを表現できるものを忌み嫌い、自分と比べることが出来ないように、本当は加わりたいのに、天才などというレッテルをはり、自分の目で見ることが出来るようにしてから同じレッテルを身に着けるのだ。
そうして彼らは天才になり、なんの苦労もせずに天才と呼ばれる彼らの作品を分かった気になるのだ。なんと下らない。彼らには自分の力がないのだ。少年の目には宙から垂れる糸が見え、彼らが傀儡のように踊るさまがおかしくてたまらない。右手が左手になると言った瞬間に糸は巧みに動き少年の糸の動きに合わせようとする。そんなものなんてないのに。
また傀儡達は自分達と違う動きをするものを見ると不愉快でたまらなくなる。
特にそれが特異であればあるほどその糸を切り取り、自分達と同じような糸を取り付ける。
しかし、最初は馬鹿にしていても、その特異性を誰かが天才と称すると、そうするのはいつも同じ特異性を持つ者なのだが、彼らはお面を変える。さっきまで切ろうとしていた糸を今度は後生大事そうに見つめ、なるべくその動きに近づこうとする。
また、往々にして特異性を持つ者は奇をてらったものが多く、傀儡の多くは考える頭がないので奇=天才と決めつける。
そんなことを知っている気になっている少年の目にはいつまでたったも上から垂れる糸が消えないままでいる。
少年はがっかりし、今日も家へと帰る。