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天界で育った少女の物語  作者: 斗瑚
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58.商業ギルド

翌朝、少し早めの時間にナタラさんと私は商業ギルドを訪れていた。子どもの私を見て、大きな商店の大女将であるナタラさんがこんな小さな子どもと契約をすることに、商業ギルドの人も驚いていた。


「以上の内容でよろしければらこちらの方にサインをお願いします。」


商業ギルドの職員の人が、契約内容を記した紙の署名の欄を指す。


「あたしに異存はないよ。」


そう言って、ナタラさんは署名の欄にサインをする。


「僕も異存はありません。」


私もサインをすると、職員の人が不備がないかを確認をするため、再度、書類に目を通す。


「はい、これで契約が成立致しました。お疲れ様でした。リドくんは、口座開設手続きの際にお預かり致しました身分証のプレートをお返ししますね。裏面に口座キーの刻印を施してありますので、この後、一階にありますゲルトの窓口に行かれましてご確認ください。」


返してもらった身分証の裏面を見ると、コインをダマスク柄のような模様が囲んでいる刻印が個人情報の横に施されていた。お金をあまり持っていない私は、本来なら口座開設ができないが、ナタラさんがアララギタワシのレシピ代として金貨2枚を振り込んでくれた。そんなにもらえないと断ったのだけど、本当なら金貨5枚払うところを、私が気にすると思って金貨2枚にしてくれたらしい。金貨1枚でも十分なのに・・・。それに今後も継続してお金が入ることになった。アララギタワシの売り上げの2割を振り込んでくれるそうだ。旅にお金は必要だから有り難いけど、タワシの作り方は私が考えた訳じゃないから、何だか申し訳ない。


「リド、ここだよ!このゲルトの窓口にあるこの石板の刻印に口座キーをかざすんだ。ほら、かざしてごらん。」


ナタラさんが、1階の奥の方にあるゲルトの窓口へと案内してくれた。ゲルトの窓口には6台ほどの石板がある台座がならんでおり、両隣とはついたてで見えなくなっている。台座上の石板には不思議な刻印が施されていて、そこに自分の口座キーをかざしてみる。すると石板が下に下がり、キーボードのような物が浮かび上がってきた。ボードには現在の残高とお金の種類、そして数字がかかれていた。


「確かに入ってるね。本当に金貨2枚でよかったのかい?」


「はい、十分です。それに売り上げの2割も入れて下さるなんて、本当に有り難いくらいですよ。」


「何を言ってんだい!足りないくらいだよ!」


「これ、出したい金額を押したらいいんですか?」


「試しに出して見るかい?」


「はい!」


ナタラさんに教えてもらって、中銀貨のボタンを押して、1の数字を押してみる。するとボードが下がり、中銀貨1枚がのったトレイがでてきた。トレイの上には残高が表示されている。トレイからお金を取ると、トレイが下がり、元の石板へと戻っていった。


“おっもしろーい!ATMみたいだ!”


思わぬ高度な技術(魔法?)に感動している私。


「・・・ド!リド!」


「は、はい!」


「何、ボーッとしてんだい!そろそろ出なきゃ、遅れちまうんじゃないのかい?」


時計を見ると、バウムさんの家へ行く時間まであと30分ほどとなっていた。


「ナタラさん!ありがとうございました!行ってきます!」


私はナタラさんに挨拶をし、走っていった。


「まったく、どこまで欲がないんだい。お礼を言うのはあたしの方だっていうのに。」


と、走っていく私の背中を見ながら、ナタラさんは呟いていた。






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