表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天界で育った少女の物語  作者: 斗瑚
52/64

51.坊主さんの反省

初依頼の初日を無事に終えた私は、ゆっくり帰路につくのではなく、来た道を戻っていた。


“坊主さんに申し訳ないことしちゃったわ。”


“リディ、ワルくナイ。”


“そうですよ!そもそも、あの男がリディ様に手を出そうとしたのが悪いんですから!リディ様が気にする必要はありません!”


私至上主義の2人(匹)は、私を慰めてくれる。


“ありがとう、2人とも。”


でも、スープを煮込むのに結構時間使っちゃったからなぁ。あれから何時間たったんだろう?さすがに、坊主さんに申し訳ない私は、急ぎ足で坊主さんがいる場所に向かう。


「坊主さん!大丈夫ですか?!」


「だから、俺は坊主っていう名前じゃ・・・しょうね~ん!!」


私が到着すると、坊主さんは縛られたまま、足をモジモジさせていた。


「は、早く、降ろしてくれ!」


「坊主さん、少しは反省しました?」


「した!したよ!」


「本当ですか?」


「あぁ!嘘じゃない!俺が悪かった!」


坊主さんの心の変化を見る。嘘じゃないようだ。


「では、降ろしてあげます。」


私は木に触れ、“離してあげて”と木の精霊にお願いする。坊主さんの自由になった体は、ストッと落ち、水の膜の中でバウンドする。


「早く、ここからだしてくれぇ!」


坊主さんは下半身に手をやり、ブルブルと小さく震えている。まるで、何かを堪えているようだ。


「いいてすか、坊主さん。今度僕に変な言いがかりをつけるようであれば、その時は、覚悟しておいて下さいね。」


絶対零度の笑顔で坊主さんに微笑みかけると、坊主さんはコクコクコクとすごいスピードで頭を縦に振る。坊主さんが了承したところで、水の膜を下に降ろし、割ると、すごいスピードで坊主さんが走っていった。


「・・・何なの??」


“あんなヤツほうってオク。”


“リディ様の貴重な時間を無駄にしてしまいますよ。”


“う、うん・・・。”


私は坊主さんが走っていった方を唖然と見つめていた。


“そういえば、フゥ兄様からもらった検索能力!あれってすごく便利よね!あの能力があれば、この世界のことが調べられるから、お金さえ稼げれば、この街に長くとどまる必要はないわね。・・・ん?もしかして、スノーラド王国で調べれば何か分かるかも!”


【スノーラド王国 検索】


『世界一の大国。国の半分を占めるほどの氷華湖と呼ばれる大きな湖があり、その湖は季節を問わず雪と氷に覆われている。氷華湖は、その名前の通り、氷の華が咲き、その実からとれる宝玉はとても価値のあるもので、どんなに高価でもすぐに買い手が付くほどの逸品。


“宝玉・・・。”


私は傷のついた宝玉を思い浮かべる。


“もしかしたら・・・。”


【スノーラド王国 リディ 検索】


『 エラー 検索不可能 』


【リディ 両親 検索】


『 エラー 検索不可能 』


【リディ 女 雪の月 白月の日 検索】


『 エラー 検索不可能 』


「ダメか・・・。」


私は自分に関することが検索出来ないことを知り、肩を落とす。もしかしたら、行方不明の情報などが出てきて、すぐに家族に会えるかもと期待したが、そう甘くはなかった。肩を落とす私にダウルとアロがすり寄ってくる。


「ありがとう。私は大丈夫よ!2人がいてくれるもの。」


私は2人をギュッと抱きしめる。


「さぁ、街に戻ろう!」


私たちはまた、街に向かって歩き出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ