40.ランク
「仰るとおり、アロはアニマレーゼです。本来は腕輪なのですが、魔力を通すことで蛇の姿で動き回ることができます。さらに、イメージすることで武器に。」
私はアロの姿を腕輪から、蛇、そして剣へと変える。
「な、なんてことだ。この目でアニマレーゼを見ることができるなんて。」
「ま、待っておくれ。アロがアニマなんとかだっていうのなら、ダウルもかい?」
「ダウル?もう1つアニマレーゼを持っているのか?!」
「いえ、ダウルはアニマレーゼではありません。ダウル、出ておいで。」
かなり小さくなって、私の髪の毛の中に隠れていたダウルがチョコチョコとでてきた。
「ん?ダウルは何だか小さくなってないかい?」
「ダウル。」
驚くナタラさんにニコッと笑いかけ、ダウルに呼びかけると、ダウルはぐんぐんと大きくなり、本来の姿に戻った。
「「な、なっ?!」」
さすが、親子。二人とも驚き方がそっくりだ。
「ダウルは霊獣・・・いえ、神獣ですね。」
「そんな、まさか・・・。」
「あんたほんとに何者なんだい?!」
「その答えを見つける旅を始めるんです。ですが、僕はこの世界のことを何も知りません。だから、どうかお願いです。僕に力を貸して下さい!」
私はナタラさんとルイズさんに頭をさげる。
「頭をあげな。言っただろう?私はあんたを気に入ってるって。」
「まぁ、力を貸すのはいいが、もう少し話を聞かせてもらおうか。」
それから、私はルイズさんにノトスから出てきたことや、ナタラさんと出会った時のことなどをルイズさんに話した。
「なるほどな。本当の家族を探すため、か。しかし、まぁアニマレーゼだけじゃなく、回復魔法まで使えるとはねぇ。しかも、2属性の使い手だって?ありえねぇだろ。」
ルイズさんは、自分の髪の毛をワサワサと掻き回す。
「リド、お前、他にも何か隠してるだろ。」
「えっ?!」
「まぁ、いい。旅の資金稼ぎか・・・。仕方ねぇな。とりあえず、お前のランクを決めねぇといけねぇんだが、どうするかなぁ。」
「ランク?」
「あぁ、冒険者はランクによって請けられる依頼が違うんだ。ランクがあがれば、その分、難易度の高い依頼を請けることができる。もちろん報酬も高くなる。だからだ、今からお前の腕を試させてもらうぞ。構えろ。」
「えっ?」
「いくぞ!!」
瞬間、ルイズさんが物凄いスピードで飛んできた。私は瞬時にアロを剣に変え、応戦する。
「ほぉ、よく反応したな。」
「あ、あの!僕、そんなに高いランクを望んでいるわけでは・・・。」
「まぁいいから、いいから。ほれっ!」
「うわ!」
さすがギルマスさん、かなりの剣のスピードだ。でも私は、戦いの神、カーラ姉様に直々にきたえてもらったからね。申し訳ないけど、私が勝つっ!
「はぁぁぁっ!!」
「うぉっ!」
カキーンッ─!
ルイズさんの剣が飛んでいった。
「参った!」
ルイズさんが手を上にあげ、降参の意思を示す。
「マジかよぉ、俺こう見えても元Aランクなんだぜ。お前、全然力出してないだろ?剣に加えて、魔法だって?」
「はい、光と水が使えます。お見せしますか?」
「いや、いい。お前の魔法見るの怖ぇーわ。しかも、アニマレーゼを発動させれるほどの魔力持ちって、ありえねぇだろ。」
「それで?リドのランクは?」
「ん~、Cランクだな。」
「Cランク?」
「あぁ、ランクは一番上がSランク、そこからA、B、C、D、Eランクとなってる。お前ぐらいの年だとEランクからなんだがな。お前の力量でEランクは無理だ。逆に不審がられちまう。」
「ですが、Cランクは高くないですか?あまり目立ちたくないんですが・・・。」
「お前、そりゃあ無理だ。例えお前のその力を隠せたとしても、お前には不思議な力を感じるんだよ。お前の不思議な力にみんな惹き付けられちまう。見てろ。いろんな奴が寄ってくるぞ。それなら、お前の力を示しておいた方が下手な雑魚どもは寄ってこねぇからな。だから、お前は堂々としてろ。」
「ルイズ、大丈夫なのかい?この子には生活面での依頼を請けさせながら、資金を稼いでもらうつもりだったんだが。Cランクとなると、討伐や護衛の依頼を請けないといけなくなるだろう?」
「母さん、こいつの力かなりのもんだぜ。見てただろ?あれで半分の力もだしてねぇ。たとえSランクの奴だろうとこいつには勝てねぇ気がするぜ。まったく、とんでもねぇやつだ。」
こうして私の腕試しは終わり、晴れてCランク冒険者となった。
“リディ、ボウケンシャ。”
“リディ様、おめでとうございます!”




