ダウルの体
パァッ─────。
眩しい光が収まると、緑の木々が生い茂る森の中に立っていた。
「ジャングル?!」
「ココノトス」
私に抱えられたままの小さなダウル。
「ダ、ダウル??体が透けてるよ!」
「オレノカラダレイタイ。ダカラスケテル」
「そういえば、ダウルの体ってどこにあるの?早く探さなくちゃね!」
「ココ」
「…えっ?」
「ホコラノナカ」
「えーっ!?これ、なに?偶然??」
「カミサマガシテクレタ」
「神様が?」
「オレノカラダ、ミツカラナイヨウニ、フウインサレテル。カミサマフウインシテクレタ。」
「じゃあ、祠の中にダウルがいるのね?」
「ウン」
「でもこの祠、入り口がないわ。」
「ダイジョウブ」
「ダウル?」
ダウルは私の腕から降り、石の壁に向かって歩き、そのまま壁の中へと入っていった。ダウルが壁の中へ消えて数秒後、石の壁が光だし、祠の扉が現れた。
「リディ、コッチ」
私とアロはダウルについていく。祠の中は20畳ほどの広さとなっており、中央の一段高くなった場所に結界が張られていた。
「ダウルがいる…ダウルはずっとここで待っていてくれたのね…ダウル、どうやって封印を解けばいいの?」
結界の中で、ダウルの体は眠っていた。
「リディ、マリョクオクル。リディノマリョクハンノウシテ、オレノカラダメザメル」
「魔力を送る…やってみる!」
私は両手を前に出し、結界に向かって魔力を放出する。私の手から流れ出た魔力が結界を包み込み、結界全体に行き渡るとパリンッと結界が砕ける音がした。すると、小さなダウルと、結界の中にいたダウルの体が光だし、お互いを引き寄せ、1つに重なる。
「リディ」
「ダウル!」
私はダウルへ飛びつく。
「コレでリディと旅デキル」
「旅ができるってどういうこと?」
「霊体のまま、この世界のモノ触れない。リディ守れナイ。」
「でも、私は触ってたわ。」
「リディ、トクベツ。俺、リディの魔力で成長シタ。リディと俺、魂繋がってる。ダカラ、リディ触れた。」
「そっか…ダウルを天界へ入れてくれたこと、ダウルの体をノトスにつれてきてくれたこと、アロにも会えたし、神様たちに感謝だね。神様たちありがとう。」
私は胸の前で手を組み、神様たちに祈りを捧げる。
「よしっ!行こうっ!」
「うぉんっ!」
「はい!」
私たちが祠を出ると、祠の扉はただの石の壁となった。私は石の壁に手をあて、“行ってきます。”と呟いた。それから私はくるっと、あたりを見渡す。
「う~ん、どっちに行けばいいのか分からないね。空から見てみようか。ダウルいい?」
「リディすまナイ…地上デハ飛べナイ。」
ダウルが申し訳なさそうに首を振る。
「ごめん!ダウル!気にしないで!天界と地上じゃ違うのに、私がいつもの感じで言っちゃって、ごめんね。」
私はダウルを抱きしめ、ダウルの首に顔を埋める。
「そうだよね、ここは天界じゃないんだから…もっと気を引き締めないとね!よし!行こう!」
「えっ?リディ様?道が分かるのですか?」
私の手首から首に移動してきたアロが私に尋ねた。
「ううん、分からないわ。けれど、あっちのような気がするの。きっとカーラ姉様の加護のおかげね。さぁ、行きましょう!」




