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天界で育った少女の物語  作者: 斗瑚
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氷華祭前日

キィーン!カキーン!!


剣と剣のぶつかりあう音がする。


「うわぁーっ!!!」


シュテファンの持っていた剣が弾き飛ばされた。


「勝負ありだな」


シュテファンに手を差し出しながら、爽やかに笑う兄ブライアン。


「くそ~っ!まったく兄上に勝てないっ!」


悔しそうにブライアンの手を掴むシュテファン。


「何言ってんだよ、テファ。お前、ここ数ヶ月でかなり上達してるぞ」


「上達してたって勝てなきゃ意味がないじゃないか」


勝負に負けて悔しそうな弟の頭をグシャグシャっと撫でるブライアン。


「お前の歳でこれだけの腕前は中々いないぞ」


やめろよ!と言いながら飛ばされた剣を拾いに行くシュテファン。剣を拾おうと手を伸ばすと何か違和感があった。ふと見ると剣についていた宝玉が外れていたのだ。


「兄上!剣の宝玉が外れちゃってるよ!」

「ん?ホントだな。直してもらわないとな」

「…直さなくていいや!なぁ、兄上?俺、この宝玉もらっていいかな?」

「お前の剣の宝玉だからいいと思うがどうするんだ?」

「へへ!秘密!」


何かを思いついたように手に宝玉を握りしめてどこかへ走り出したシュテファン。


「おいっ!テファ!お前この後……」


魔法の勉強だぞと呆れながらシュテファンの背中を見つめるブライアンであった。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★


魔法の勉強がある事を忘れるほど何かに夢中になっているハシュテファン。


「へへ、ルーナっと」


小さな革袋にルーナの名前を彫り、剣から取れた宝玉を革袋の中に入れるシュテファン。そして、革袋の口を長めの紐で閉じ、紐の端をしっかりと結ぶ。最後に、自分がいくつか持っている指輪の中からお気に入りの指輪を手に取り、革袋に結んだ紐を指輪に通し、革袋の口をグッと握り、さらに指輪に通そうとするが、革袋の口の部分は結構な厚みがあるので、中々指輪に通らないため、顔を真っ赤にさせながら力ずくで通そうとする。


「ふ~んっ!!よし!できた!ルーナ喜ぶかなぁ」


明日、氷華の儀を迎えるルーナミアへのプレゼントを作っていたようだ。氷華の儀とはカルレナトゥス王国の伝統の儀式であり、前回の氷華の儀から次の氷華の儀までの間に1歳を迎えた子どもが氷華の精にこの土地の民だと認めてもらうための儀式だ。氷華湖を一望できる場所に祭壇があり、1歳を迎えた子どもを氷華湖に向かって抱き上げ、祈りを捧げることで精霊にこの土地の民だと認めてもらい、希に精霊の贈り物(ギフト)がもらえる事もある。


氷華祭と名付けられた祭りのメインイベントであり、色々な見せ物や、町から氷華湖まで続く道にたくさんの露店が並ぶため、多くの人が予想される。また、各国からも氷華の儀をみようと多くの人が押し寄せるため、かなりの賑わいになるのだ。


「明日は渡す時間がないかなぁ。よし!今から渡しに行こう!」


ルーナミアの喜ぶ顔を思い浮かべながら、足早にルーナミアの元へ向かうシュテファンであった。



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