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天界で育った少女の物語  作者: 斗瑚
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創造神の道具

「おぉ!そうじゃ、そうじゃ!これは、まさしくワシの創ったものじゃ。」


虹の丘でアロと知り合った私たちは、アロが神に創られたと言っていたので、アロに鑑定をかけさせてもらった。すると、アロを創ったのは、やはり創造神であるじぃじ(ジリウス様)で間違いなかったため、じぃじの神殿へやって来たのだ。


「懐かしいのぉ。何千年前になるかのぉ。して、地上におるはずのアニマレーゼ(魂のある道具)がなぜここに?」


私はじぃじにアロから聞いた話を聞かせた。


「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ!そんなこともあるんじゃのぉ!偶然というか、運命というか…」


「運命?」


「そうじゃ…リディはスノーラドの話は聞いておるかのぉ?」


「うん。」


「星の魂とも呼べるスノーラドを失ったキースはの、少しずつ魔の力が増えていったのじゃよ。」


「魔の力?…魔物とか?」


「そうじゃ。スノーラド亡き後、星の均衡を保つのが難しくての。餓え、病気、秩序の乱れ、混乱は続くばかりだった。そうなると、人の心は暗くなり、憎しみや恨みが膨れ上がる。それは、命あるすべての生物にあてはめられること。死してなお、その心を忘れられぬ者は魂を魔へと落としてしまい、魔人、魔獣、魔物へと変わってしまうのじゃ。スノーラドの子が産まれてからは、落ち着きを取り戻していったのじゃが、一度堕ちてしまった者はもとには戻らんからの。それらも自分たちの存在が失くなるのを恐れ、子孫を増やしていった。それが魔族じゃ。」


「魔族…」


「星が安定しても、生物の心に悪い心が生まれる限り、魔族は生き残る。心の清き者が、理不尽に魔族に殺されることが不憫でのぉ。わしら神たちは、清き心の才ある者に、知恵や力を与えることにしたのじゃ。このアニマレーゼ(魂のある道具)もその時に与えた物の1つじゃよ。転生者を送り込む他に、わしらができることがこれしかなかったからの。ただ、これらは性能が良すぎてのぉ、大量の魔力を消費するゆえ、使いこなせるものがおらなんだ。使えたとしても、一度発動させると魔力が回復するまでしばらく使えない感じじゃの。だからのぉ、リディ。お前の元へ来るべくして来た…無限の魔力を持つお前の元にのぉ…まさに運命じゃ。アニマレーゼ(魂のある道具)を常に発動しておくことができる。お前のための道具じゃな。」


「そうですよ!リディ様!私、何人かに使われましたが、誰もかれも私を使えたのは一度きり、一生分の魔力を使い果たすのです。あっ!そういえば、一人だけ生きてるうちに三回ほど使えた者がおりましたがねぇ。常に発動状態はリディ様が初めてですのでとても新鮮ですよ!私嬉しいです!」


アロは自由に動き回れるのがとても嬉しそうだ。


「じぃじ、()()()って言った?」


「ん?あぁ、アニマレーゼ(魂のある道具)は1つではない。ほっほっほっ。今も地上で使えるものが現れるのを待っとるよ。」


じぃじは、私を見ながら目を細め、意味深な笑いかたをする。


「分かった!私、探すよ!アロの他にも寂しい思いをしている子たちがいるってことでしょ!絶対見つけてやるんだから!」


「リディ様…」


アロは私の腕を這い私の頬に顔を寄せる。


「アロは地上から来たから、私と一緒に地上に戻ってもいいよね?」


私は念のため、じぃじに確認をとる。


「あぁ、もちろんじゃ。」


「よかった!アロ、アロが嫌じゃなければ、一緒に地上に降りてくれる?」


「もちろんです!私はどこまでも、リディ様と共に参りますよ!」


アロが私の首をシュルシュルッと回り、反対側の頬の方へ来た。


「よかった!ありがとう!」


「リディ、オレモイクゾ」


「えっ?」


「リディトイッショ。アタリマエ。」


「ダウル?」


私はじぃじの方を向く。


「あぁ、ダウルも構わんよ。」


「ホントに?!」


「あぁ、ダウルは霊獣じゃが、地上に生身の体が残っておる。賢い子じゃよ。」


「ダウル。本当に不思議な子ね。でも嬉しい!ずっと一緒に居られるのね!」


私はダウルに抱きつく。


「う、うわぁ~。」


私の首に巻きついたままだったアロが、ダウルの毛に刺さると思ったのか驚く。


「あはっ!ごめんなさい、アロ。私に触れていれば、私の一部と判断されて、刺さらないわ。本当に不思議よね。」


刺さらないと分かり、ほっとするアロ。


「ダウルとアロが一緒なら、安心して地上に降りれるわ!二人とも、ありがとう!」


そんな私たちを見ていたじぃじが、私を自分の腕の中に呼び寄せ、抱きしめる。


「わしゃ、寂しいわい!」


「じぃじ、大好きよ!」


私もじぃじをギューッと抱きしめ返す。地上に降りるのは、わくわくするし、離れてしまった家族を早く探したい。だけど、たくさんの愛情をくれた神様たちと離れるのはすごく寂しい。それも本当だ。


「じぃじ、今日はここにお泊まりしてもいい?」


「あぁ、もちろんじゃよ。」


じぃじは嬉しそうに笑う。私も笑い返す。本当の祖父と孫のように───。

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