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天界で育った少女の物語  作者: 斗瑚
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2年後

あの日から2年が経ち、私は7歳になった。こちらに来た時点での幼さからたぶん1歳だったはずだから、今は7歳になったはず。


えっ?計算が合わないって?それがね、天界の1年は、地上の3年だって。びっくりしちゃった!だから、天界では4歳だけど、地上では7歳ってわけ。今は4歳の体格だけど、地上に降りたら、年齢に合わせた体格に徐々になっていくみたい。


そうそう、年齢を数える基本の誕生日はね、はっきり覚えていないから、天界に来た日を誕生日にすることにしたの。氷月(ひづき)の15日。そうすれば、私がいなくなった日と照らし合わせることができるから、家族が気づいてくれるかもしれないでしょ。


あっ!キースはね、地球と一緒で1年間が12ヶ月に別れてるみたい。月の呼び方がそれぞれにあって、1ヶ月は30日。こういった知識は、フゥ兄様(知識の神様)のところに遊びに行った時にちょこちょこ仕入れたもの。どうせなら本当の誕生日教えてくれればいいのにね。そこはやっぱりダメみたい。


甘々な兄様や姉様に愛されて、天界の厳しい規則なんて多少は無視しつつ、私はこの2年間でかなりの力をつけた。主に、エル様や大精霊たちには魔法を、カーラ姉様には戦い方を教えてもらった。他の神様たちも私を甘やかしたいみたいで、口実を作っては私を迎えに来て、自分の神殿へ連れて行き、色々なことを教えてくれた…それはもう色々なことを…まぁ、そのお陰で何とか地上でも生きて生けそうなんだけどね…たぶん…


そろそろ地上に降りないとかなぁなんて思ってはいるんだけど、地球だと7歳って、まだ小学校低学年でしょ?全く知らない土地で一人旅って大丈夫なんだろうか…なんて不安がよぎる訳で。だから、神長のジィジに聞いてみたの。(神様の長を今では普通にジィジって呼んでるんだから可笑しいよね。)


「っ?!な、なに?!地上に?!」


「う、うん。いつまでも天界にいる訳にはいかないでしょ?」


「何を言うておるのじゃ!まだ早いわいっ!地上なんぞにおりたら、リディをこうして抱きしめることができなくなるではないか!」


ジィジは私をギュッと抱きしめる。


「…しかしのぉ、いつまでもお前をここに留めとく訳にもいかぬのは確か…いやじゃ、いやじゃ、お前と離れたくないわい!………ぬぅ~っ!ワシも神じゃ!心を鬼にせねば!あと1年!あと1年じゃ!」


「あと1年?」


「お前と離れるなんていやじゃがなぁ、あと1年が限界かのぉ。うぅ…」


「限界?」


「あぁ、そもそも、お前を転生させたのはキースの均衡を保つためじゃったじゃろ。あと1年ここに留まらせると地上では9年になる。10年になるとキースの崩壊が始まってしまうからのぉ。だから、お前を引き留めておけるのもあと1年じゃ。」


「崩壊って?!えぇっ?!そんなの聞いてないよ!」


「言ってしまえば、お前は心配するじゃろ?何も気にせず力を蓄えて欲しかったんじゃよ。リディには笑顔でいてもらいたいからのぉ。」


「じぃじ…」


「そんな顔をするでない。あと1年じゃ。じぃじに笑顔をいっぱい見せておくれ。」


「うん!」


っていう感じで、あと1年天界で暮らすことになったの。神様たちに安心して見守ってもらえるように、あと1年、しっかり学ばなきゃね!


「リディ。」


名前を呼ばれて振り向くと、そこにはダウルがいた。そう、この2年で成長した私の力に共鳴するように、ダウルもかなりの成長をした。その結果、会話ができるようになったのだ。


「ダウル。」


ダウルは私の方へとすり寄ってくる。私もダウルの首へと手を伸ばす。


「モウシンデンニモドルノカ?」


私たちは今精霊の国へ来ていた。最初はエル様が送り迎えをしてくれていた精霊の国へも、今では自分で転移ができる。これにはエル様も大精霊たちも驚いていた。本来なら生身の人間が精霊の国への転移などできるはずもないからだ。精霊王の加護と大精霊六柱との契約、そして天界での生活が不可能を可能にしたんだろうってエル様が言ってた気がする。


「う~ん、虹の丘に行こうかな。ダウルも行くでしょ?」


「イク」


私がダウルの背に乗ると、ダウルは宙を駆けて行く。虹の丘へと向かって──。

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