エフィ
誤字報告ありがとうございます!訂正させて頂きました!これからもよろしくお願いします(*^^*)
「リディ様、これよりエフィがご説明させて頂きますね。」
「えーしゃん、おーねーしゅ。」
(エフィさん、お願いします。)
「まずは、リディ様、私のことはエフィとお呼び下さい。それと、私はリディ様にお仕えする者、私に丁寧な言葉は必要ありません。」
「あ、あ…」
「よろしいですね?」
「うっ…あいっ!」
エフィさん…じゃなくて、エフィの迫力に負けて返事をする私。美人の迫力はすごい。それから、エフィは、色々なことを説明してくれた。
天界には色々な神が住んでおり、神々はそれぞれの神殿に住んでいる。勝手に神殿内に入ってはいけないこと、天界内は神々の神殿以外は自由に出歩いて構わないが、迷ってしまうと別の空間へ移動してしまうこともあるので、初めての場所には必ず誰かと一緒に行くこと、天界では空腹を感じることがなく食事の必要はないが、地上に戻ると空腹を感じるようになるから心配いらないこと、言語も地上におりれば、自動脳内変換が行われること。ただし、アトラス様が言ったように発声をしておかないと声がでなくなってしまうので天界では声をだして話すようにした方がいいこと、などなど。
エフィは説明しながら、私が質問するたびに丁寧に答えてくれる。説明が一通り終わったようなので、私はふと疑問に思ったことを尋ねてみた。
「えー、じゅーしゅーの?」
(エフィはずっとここに住んでるの?)
「はい、彼ら5人とともに。」
エフィは、せっせっと周りで作業しているラオたちを見ながら微笑む。そして私に向き直り、どこか儚げな表情で微笑んだ。
「スノーラド様がお姿を消されてから、私どもは数千年の時をこの神殿でお待ちしておりました。あなた様にお会いできる日を…」
ようやく会えて嬉しいと言わんばかりのエフィに、私はいつかは去る日がくることを伝える。
「あー、じゅーにゃい。」
(だけど、私はずっとここにいないわ。)
私がうつ向いて、視線を下におとすと、エフィは膝をつき、私の手を優しく握って、私の顔を覗きこむ。
「リディ様が悲しむ必要はありません。私たちは嬉しいのです。リディ様が今ここにいてくださることが、そして、生きて地上で幸せに暮らしてくださることが。」
私はエフィと視線を合わせる。
「私たちは、それが何より嬉しく、幸せなのです。」
エフィの言葉に私の目から涙が溢れる。こんなに優しい彼女たちが、主人を失い、数千年という長い時間をどんなに寂しい気持ちで過ごしてきたのか、やっと巡り会えた私も、力を蓄えればまた去ってしまう。だけど、彼女たちは幸せだと笑ってくれる。私の胸は締め付けられるように苦しかった。
「リディ様、泣かないで下さい。リディ様が笑って下さることが、何より嬉しいのですから。」
エフィは私の涙を拭ってくれながら、優しく笑ってくれる。
「ん…」
(うん)
“ん?”
「うーわ?」
(ダウルは?)
「ダウルですか?ダウルは、リディ様がこちらにいらした時にやってきたのですよ。」
「?」
「私たちも驚いたのですけど、彼の心の中はリディ様への想いで溢れておりましたし、リディ様にお会いしたいようでしたので、アトラス様がここで一緒に待つようにと。」
ペロンッとダウルが私の頬を舐め、顔を寄せてくる。
「うー?」
(ダウル?)
“不思議な子ね。あなたはどこからきたの?なぜかしら、あなたを知ってる気がする。”
私はダウルをそっと抱きしめる。そんな私たちを微笑ましく眺めながら、エフィが話しだす。
「リディ様、明日からのご予定ですが、午前中は精霊の国にて、魔法のお勉強をされるのがよろしいかと思います。」
「まーう?」
(魔法?)
「はい。リディ様はつきない魔力をお持ちですので、力を目覚めさせるとともに、魔力コントロールの方法や、魔法の習得に時間をお使いになった方がよろしいかと。午後は、キースについてのことを学びましょう。ただ、地上にお戻りの際リディ様は、はるか南の無人の島、“ノトス”という島で育ったことになりますので、ノトスで生きていくうえで必要であったであろう知識を学んで頂きます。」
コクンと私は頷く。
「では、これから天界をご案内させて頂きますね。まずは、お召しかえを致しましょう。」
私はエフィに手を引かれて、大きな鏡の前にやってきた。エフィは着替えを持ってくると、手際よく私を着替えさせてくれる。
「え…あ…」
あっという間の出来事に恥ずかしがる暇もなく、着替えさせられた。歩きやすいように前が少し短くなっている白のドレープワンピースのような服だ。ポイントに赤とピンクの花が散らばっており可愛いらしく、サラリとした素材なので小さな私にはとても着心地がいい。
「かーい。」
(可愛い。)
「おきに召して頂けたようでよかったです。」
サイズもピッタリだ。いつ測ったのだろう?なんて思っていると、エフィが笑った。
「うふ。リディ様のことでしたら何でも分かりますよ。」
ゾクッ…
何だかアトラス様と同じものを感じとった私であった。




