私が転生っ?!
眩い光が消えると、目の前にはアトラス様がいた。
「悔いのないように話せたかい?」
そう言って、アトラス様は私の目からこぼれた涙を拭ってくれる。
「はい、ありがとうございました」
私は頭を下げる。
「あの子は…千紗はきっと大丈夫だと思います」
微笑む私に、アトラス様も微笑み返す。
「そうかい、キミが納得できたならよった」
「アトラス様」
「なんだい?」
「次はアトラス様の番ですね」
アトラス様はフッと笑った。
「ありがとう。では、早速だが本題に入らせてもらうよ」
アトラス様がパチンッと指を鳴らすと目の前に、小さな地球が現れた。
「これは、地球?」
「いや、地球とは違う。キースと言う星だよ」
「キース…この星がどうかしたんですか?」
「うん。これが僕の頼み事」
「えっ?」
「キミには、転生してキースで暮らしてもらいたいんだ」
「て、転生?!転生ってあの、主人公が異世界で魔法を使ったりするあの転生ですか??」
アトラス様はクスッと笑う。
「そう、その転生だよ」
「なぜ、その頼みを私に?」
「キミの魂がここに来たからかな」
「ここに来た?」
アトラス様が頷く。
「キミのその姿。人の形をしているだろう。通常は、死んだら魂だけの存在になって、もとの世界へと生まれかわるための準備に入るんだ」
「魂だけの存在?」
「そう。だから、キミのように、人の形をしたままとどまることは珍しいんだ。でも珍しいから転生してもらうんじゃない。キミの魂がとても綺麗だからキミが適任だと思ったんだよ」
「私の魂」
アトラス様はニコッと笑う。
「あとは…」
「あとは?」
「…」
「アトラス様?」
アトラス様は何かを考えるように黙ってしまった。すると背後から声が聞こえた。
「それは俺から話してやろう」
私は背後を振り向く。透き通るような銀色の長髪にピンッと尖った耳をした綺麗な容姿の男性が立っていた。
「あなたは?」
私が尋ねると、先ほど会った精霊の女の子が、私の横に飛んできて耳打ちする。
「精霊王様よ」
「精霊王様?!」
精霊王様はニヤッと笑う。
「エルフィートだ」
「エルフィート様?」
「エルでいい」
「エル様?」
満足そうに頷くと、エル様はテーブルにつき、目の前に現れた紅茶を当たり前のように一口飲むと話始めた──。




