表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10連休に遊びに行くなら、たとえばこんな異世界  作者: スサノワ
四日目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/81

四日目(13)

5400文字。一進一退なかなかスイスイとは進みません。……なんでだろ?

「ちょっと、受理ちゃん!? 半径500メートル以内に敵性生体マイクロ波発生源の痕跡を検出、物理検索急いでっ!」

「おい甲月(にじげん)、半径500メートル以内に敵性生体マイクロ波発生源の痕跡を検出したぞっ!? 照会いそげ!」

「っかしーな、却下さーん? 半径500メートル以内に敵性生体マイクロ波発生源の痕跡を検出ゥゥゥゥゥッ――――ズッバァァッァンッ!」

 ハモる(うぐいす)勘校(かんこう)勢。

 曲がった光線銃(じゅうこう)が狙う先、一斉に向けられる大人達の険しい視線。


「ぅひっ! 受理ちゃん、じょ、状況を――説明してっ!」

 たまらずテラス席の方へ逃げる僕をビタリと追従する、異世界電磁波受像器(こうせんじゅう)と異世界研究従事者×2と異世界研究従事アクリル板。

 なんだよ、その必死な顔!


「スゥ~、――――弊社社員に告げまぁす♪ 検出された敵性反応は〝社則1583条第11項〟に抵触する懸念が有りまぁ~~~~す!」

 その社則が何を意味するのかわからないけど、受理ちゃんが大きく息を吸ったのと、社員三名が大きく息を呑んだことが事の重大さを表している。


「〝偽籍測量(・・・・)〟ならびに〝特別罰則金〟の対象となりまぁすぅ~のぉでぇ、境界標(・・・)設置後は最優先で追跡、撃破することが望ましいと、オフライン監査APIも判断しておりまぁす~♪」

 受理ちゃんがなんか言ってくれて、大人達の視線が――――ギロリッ!

 更に険しくなった!


 大人二人と特大卓上カレンダーVS(バーサス)やや細めで非力な高校生(ぼく)一人。

 どうしたって分が悪い。せめてもの救いは最大戦力甲月緋雨(ダメージソース)実質戦力外(ヒッキー)なことくらい。

「こ、降参するから、痛いのとか怖いのは無しで……」

 僕が観念して小さく両手を挙げたら、みんなが寄ってきてくれた。


(よし)兄ぃ?」「どーしたのぉ?」「ケンカしちゃダメ……だよ?」

佳喬(よしたか)ちゃん、――何事?」

 小さい子達の、戸惑いつつも実は全然心配なんてしてない脳天気な顔をみたら、気持ちが落ち着いた。

 ケリ乃さんの険しい表情も、この状況だと凄く頼もしい。


 大人二人と特大卓上カレンダーVS(バーサス)高校生二人と小さい子達三人。

 戦力差は変わらない。頼みの綱はケリ乃が手渡してくれた〝エネルギー減衰サポーター〟二本きり。

 世界大会でも見たことが無い精悍な顔つきの会田(えだ)さんに注意しながら、左手に派手で分厚い包帯みたいなのを巻いていたら――。


 ――――ヴァパパヴァパヴァパヴァパ~~~~~~♪

 どこからともなく荘厳な調べが。これは、――カフェの放送じゃ無い。

 音源である二太郎(ゼツヤ)先輩の翼が大きく広がる(ブワッサー)

 そんなギミックついてたのか。それならパラシュート代わりに滑空くらい出来そうだけど、こんなにうるさくしてて良いのか。


 パイプオルガンの音圧(プレッシャー)が止まるなり、二太郎(おもしろ)に駆け寄ろうとした小さい子達を、僕とケリ乃が慌てて捕まえる。

 (ワラ)にも(すが)る思いで卓上カレンダー(こうづき)を見たら、――誰も映ってない。

 このややこしい時にどこ行ったんだ、トイレか!?

「――受理ちゃん!」

 僕は声を荒げた。けど返答が無い!

 そろそろこの状況、だれか何とかしてくれよ!


「復唱しろ後輩ィーー。PM12:56(ひとふたごーろく)、〝敵性反応〟が〝目利きの少年の生体反応〟と同期している事(・・・・・・・)目視(ヴィジュアルゥ)確認(チェェェックゥー)――――!」

「うす、先輩ーー。PM12(じゅうにじ)56(ごじゅうろっぷん)、〝敵性反応〟が紙式(かみしき)佳喬(よしたか)君の生体反応〟と同期している事(・・・・・・・)目視確認(ビジュアルチェック)――――」


 ゆらゆらと体を揺らし、にじり寄る鶯勘校男性社員二名(タッグ)

 僕はみんなを後ろに隠す。っていうか狙われてるのは僕なんだから、みんなから離れないと――――。

僕の胸元から着信音(プルルッ――ピッ)

「――――動かないでくださいませぇ~♪」

 受理ちゃんの口速(くちばや)なセリフに足を止める。


「――――貴っ様っらぁ! のわぁぬにをぉぅしぃとぉるぅかぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!!」

 僕がいま正に踏み出そうとしていた空間に、怒声が突き刺さった(・・・・・・・・・)

 ドッゴッガビキッンゴゴバッガァァァァァァァァーーーーンッ!!

 コンクリやリノリウムに盛大な亀裂が入った。

 そしてイスやテーブルごと盛大に吹き飛ばされる会田(チャンプ)二太郎(ゼツヤ)

 さすがに天文台の職員たちにも気づかれ、人が集まってきた。


 騒然となるカフェ中央で、正拳突き(どっせい)

 クルリと振り向くカワイイ姿。

 援軍であるウサギ型の強化服試作3号機(きぐるみ)が、衝撃のセリフを吐いた。


佳喬(よしたか)様を、本日の異世界勢力斥候と見なし、接敵行動に移らせて頂きます!」


   ◇


佳喬(よしたか)君悪いけど、コレも仕事だから……おわびに今日の宿泊先に着いたら、50いや、100先でも付き合うからさ」

 100先てのは格ゲーで100本先取の格付けマッチのことだ。

 100先は良いな、今夜ぜひ開催しましょう。


会田(えだ)は、ちゃっちゃと手伝う! 先輩も抜けた羽根なんか拾ってないで、さっさと〝偽籍測量〟の準備を始めて下さい!」

 そう激を飛ばすウサ(ひさめ)ちゃんの手には、光線銃がしっかりと握られている。

 どこかから調達してきたホワイトボードに書き連ねられた図形や数式。

 そのなかの判りやすい所だけをつなぎ合わせてみたけど、僕が置かれた現状くらいしか見えてこない。


 怒られた二太郎(ゼツヤ)先輩が、――――どん、どん、がたん、がちゃん!

 ポージングもせずに、テーブルに多種多様な機材を並べだした。

 10人掛けのテーブル上を埋め尽くすほどの物体を懐に隠していたにもかかわらず、その体型(シルエット)に変化は無かった。あの黒衣、見た目だけじゃ無くて本当に能力(ちから)を隠していたらしい。

 背中に羽根とか付いてなかったら、引っ越しとか旅行に重宝しそう。


 ――キュ、キュイッ。

 ダウジングロッド代わりの『測位衛星用地球局(リフレクター)』は、紙式佳喬(ぼく)を熱心に指し示し続けている。

 そういえば、体を揺らされる感覚がずっと収まってる。

 光線銃が効いてるのかも知れない。


   ◇


 ガヤガヤガヤ。押すな押すな。

 周囲には人だかりができて、その中心にはイスに縛り付けられた少年(ぼく)が居る。


「ひそひそひそ……異世界? なんですかそれ?」

「ひそひそひそ……例のエイリアンテクノロジーの?」

「ひそひそひそ……コペンハーゲンでみたぞ、なんか物凄い美少女と鬼みたいに綺麗な助手の人」

「ひそひそひそ……よし、通達きたぞ。なになに……」

「ひそひそひそ……ここの損害の全てを彼らの母体企業が肩代わりしてくれるっ!?」

「ひそひそひそ……え、じゃあさっき割っちゃった大皿、ツケとこうかしら?」

「ひそひそひそ……俺も、この間、転がした応力測定器持ってくる!」

「ひそひそひそ……今度はトップダウンで正式な指令来たぞ……」


「ひそひそひそ…………〝関わるな自衛せよ〟だそうだ」

 なんか、さんざんな事も言われてたけど、この場をとりまとめていた上役の職員さんが「解散解散」と蜘蛛の子を散らしてくれた。

 上の方で話が済んでいるから人払いもスムーズに運ぶんだろうなー。

 いざ異世界関連現象や技術水準が白日の下にさらされてしまった場合には、こう言う対応がされてきた証拠として〝異世界関連事案全ての黙殺〟があるって事だ。


 とにかく、ひと安心と思ったら職員さんが、広げた両手を勢いよくクロスさせた。

 意味は分かる。試合続行のレフェリーアクションだ。

 いや別に、これケンカでも試合でもありませんから。


 僕を〝測量(・・)〟して、――――その結果、地球丸ごと全人類を救うだけの簡単なお仕事ですから。


   ◇


「こっちも、ディジー・チェーンでイイっすか?」

「おう、気が利くなオマエ、コネクタはコレ使ってくれ――――ズババババッ!」

 計測機器と小型ベアボーンPCと基板剥き出しの謎の機械の山を、阿吽の呼吸で繋いでいく鶯勘校男性社員達。

「えっと、会田(えだ)です、初めまして。俺も先輩とお呼びすればいいすか? 入社順で言うならたしかに先輩社員だし」

 なんかとまどってる会田(えだ)さん。

 それでも機器から伸びるケーブルとケーブルを、コネクタで数珠つなぎにする手は止まらない。


「いや、先輩って言うのは私の官学時代のゼミの先輩って意味なので、会田(えだ)人力二太郎(ジンリキニタロウ)と正式名称で、呼称して差し上げろ」

 甲月(オマエ)こそ、いいかげんにして差し上げろ。

 二太郎(ゼツヤ)先輩が、闇の波動に耐えかねてテーブルに突っ伏しちゃってるだろ。

 『受理ちゃん完全対応』のたすきに嘘偽りはなく、ポコンと飛び出た受理ちゃんの(^∀^(かお))が意地の悪い笑みを浮かべている。

 そもそも完全対応型(フルスペック)じゃなかったら、中身(こうづき)は揮発してココに存在することは適わないはずだ。


「コォラ、緋雨(ひさめ)~、いいかげんにしねぇと、俺の受像器が火を噴くぜ? ――――ズバズィーーン!」

 黒衣から取り出されたのは小さなガスライターみたいな機械。

 拳銃型の先端に平たい平行板が取り付けられている。

 パラボラじゃ無いけど、受像器って言ってたから、〝地球局(こうせんじゅう)〟と同じような物だろう。


 その小さな銃身(?)を見て大口をひらくウサギ型後輩。

「ハハハハッ♪ どっおーぞぉー、ごっ自由にー。そんなのたとえ命中したって試金石(タッチストーン)でもなけりゃ、痛くもかゆくも有~り~ま~せ~ん~か~らぁ~♪」

 まあ確かに、受理ちゃんも光線銃からは、何も飛び出ないって言ってたし……、悪魔的な科学技術の粋を集めた〝強化服〟の中に居れば安全だろう。


 けど標的(・・)試金石(タッチストーン)だった場合、実害がありそうだってのは、ちょっと気になった。

 それは、ヒュペリオン2みたいなバカ火力の飛び道具を持ち出さなくても良かったんじゃ無いのかという疑問と、いま僕は異世界斥候(タッチストーン)の影響下にあるという事実に由来している。


   ◇


「あ、っそーぉだ先輩! いま〝却下さん〟は起動出来ませんよ?」

 ウサギ型添乗員が馬鹿にした口調で、下駄履き(兵器開発)先輩へ進言する。


「は? 後輩は何を言ってるんだぁ? なあ、却下さん……………………む? 応答されたし、リジェクタンシリース(ワン)!」

 誰かからの返答が無い(・・・・・・・・・・)事に首を傾げるイケメン。

 小っさい〝地球局モドキ(アンテナピストル)〟を黒衣(はくい)のポケットにしまい、襟元に付いた星形のバッジみたいなのを叩く。


 その構造や名称から、ソレが〝受理ちゃん達〟と同じようなモノ(・・・・・・・)だというのはわかる。

 そして、受理ちゃん達と同じ構造をしているなら、甲月(こうづき)のセリフは当然といえた。


 今この地上にはヤツが居る(・・・・・)のだ。

 ……そろそろワンコインクリアを達成した頃かな。

 もう、金糸雀(カナリア)號が旅館(あっち)に戻ることは無いだろうけど、出来たらアイツと対戦してみたい。

 そういや面白バス(カナリアごう)には古今東西の有りと有らゆるゲーム機がライブラリされてるはずだし、最新格ゲーの『コンボジェットイグジット4』だって、アケコン繋げば遊べそうなわけで。

 ネットワークの扱いだって甲月(こうづき)達には朝飯前だろうから、ネット対戦ぜんぜんいけそうじゃん。

 なんて考えて、状況も忘れて楽しくなってたら――。


「何だぁぁぁぁ、この無反応……おいおい、まてまてまってくれよ、12桁の全ノードが停止することなんて有り得ないだろぉう!? 現にアクセプタンシリーズは起動してるじゃぁないくわぁ――――ズッバンバーン!」

 襟元から外した星形を念入りに調べていた指先が止まり、シュッとした顔が蒼白になっていく。

「――――コレじゃまるで、〝tPGUI-8改(タイムビューア)――――――――!!!」

 各種の機材を繋いでいた会田(えだ)さんの手が止まる。

 ウサギ頭も二太郎(ゼツヤ)を見つめた。


「い、いいいいいいいいいいい、居る、居るるる、るるるるるるるるるるっ――――のかっ!? そ、そんなバカカヴァカババカなっ! まさかヤツがココココココココに居るわけが――――――」

 二太郎(ゼツヤ)先輩が仰け反るのも忘れ、頭を抱えて崩れ落ちた。

科学技術的な裏付けを5000文字くらい取ってしまったので、その分の揺りかえしがあるかも知れません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ