四日目(9)
難解です、執筆過程が。本文はややこしくは有るモノの、元々の煩雑な入り組み方を考えれば、ギリギリ及第点――を自分で付けることにしました。よろしく願いします。
「――各種残留値は規定内、むしろ自然環境値を下回ってる」
無人ヘリからの映像の中、B棟に降りた着ぐるみが報告をしてくる。
「――オールクリアだ。解析班と処理班を寄越してくれ」
それなりの広さがある屋上を数秒で一周した着ぐるみが、映像に向かって手を上げた。
「――会田さん、二人は!?」
着ぐるみが僕の質問に首を振り、押し黙まる。
そして遺留品らしきモノを、持ち上げてみせた。
「ひゅ~~~~~~~~っ!」
息を吸うような微かな悲鳴が、ヘッドホン越しに聞こえてくる。
とうとう卒倒したらしい首席補佐を呼ぶ声が聞こえ、ソッチの接続はオフになった。
「え、どういうこと?」
ケリ乃が自分も見やすいように、タブレットをテーブルの上に立てかけた。
滑りやすいテーブルの上で、ケリ乃のシリコンタイプのスマホケースがストッパーになってくれている。
最初からそうしてもらえばよかった。
「――Nf6、Nf6、Nf6――」
ケリ乃の手が止まったせいで、平坦でロボロボした声が次の手をリピートしだした。
怪しい箱に手は付いてないので、宣言した手をケリ乃が押してやる手はずになっているのだ。
対局を中断された怪しい箱が抗議のつもりか、ガタガタと震え出す。
その振幅が目に見えて大きくなっていくのに恐怖を覚える。壁にめり込んでるのに、壁も箱も壊れないのが、もうホント怖い。
ケリ乃が、多分だけど「ちょっと待って。いま大変なことが起きてるから」みたいなことを英語で言い含めると、揺れ幅が小さくなった。
そして、『Nf6』という手を押してやると、揺れはピタリと収まった。
えっと、ルール的に時間切れとか有るんだっけ?
自分の手番さえ押してあげれば、待ってはくれるみたいだ――。
――ギッ?
収まった物理法則が、僕達二人に習って金属板の方を向く。
ブラウン管の正面で対象を捉えたところで、映像や音声を入力出来る構造にはなってない。けど、〝無限の試行回数と動力〟という、〝88個目の物理法則(※¹)〟には不可能は無いみたいだった。
――ピッ♪
女子高校生にそんな便利機能は付いてないから、彼女はポーチから取り出したヘッドセットを付ける。
スマホを操作し、無人ヘリが送ってくる映像を大写しにする。
その10×望遠した着ぐるみの手に乗ってるのは、六角形で大きめの記章みたいなの。煤で汚れてるけど、凹んだりはしていない。
「「あ、緋雨のだ」」……かな?」
小さい子達は事態をまだ掴めていないのか、のんびりしたモノだ。
それはそうだ。僕だって、ついさっきまで彼女ら二人と話をしたり、蹴られたりしたばかりだ。
それを、いきなり居なくなった事実を突きつけられた所で、そう簡単に理解できるモノでは無い。
「「だ――――」」
僕とケリ乃が、大丈夫だよ、大丈夫よね? なんて言おうとしたら、音声チャットに誰かが新規で入ってきた。
「ヴュザッザザゥ――――あれ? オープンチャンネルで、誰か会話してる……っていうか、この声ひょっとして――――佳喬様でぇすぅかぁーー?」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「甲月っ!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「甲月!」
「甲月さん!?」……さんか!?」
「「「ひさめの声だ!」」……ね!?」
美人添乗員にして天才科学者、そして監査部の特殊奇襲部隊も真っ青の対異世界主戦力お姉さんの無事を喜ぶ一同。
「うはーっ、よくぞ、ごー無ー事ーでぇー♪」
当の本人は涼しい声で、僕の心配なんかをしている。
「――――それは、コッチのセリフだ! 一体、どこに居るんですかっ!?」
僕だって本気で心配してたから、つい叱りつけた。
「あれ? 怒られた。でも、年下の男の子に叱られるってのも、なかなかオツなモノですねぇ~、尊い♪」
僕の質問に解答は無く、感想が返ってきた。まあ、元気そうで良かったけど。
「――いいから話をすすめんか、ヴァカ者め。あー、ソコに補佐は居るか!?」
続いて、舌っ足らずな声が聞こえてくる。
「ヴュザザッ――――えっ!? リィーサちゃん! 生きてたっ!? やったっ!」
舌っ足らずな声に、首席補佐が即座に反応した。
「あれ? いま私、先に会話しましたよね、私も、ご無事でしたよぉ? ……あれ? 補佐ちゃんのヘッドセット、調子悪いのかなぁ~?」
「ええい、邪魔だ貴様――――コッチは今、非情に困ったことになっていてだな……」
「補佐ちゃーん、私もご健勝ですぅよぉ~?」
「緋雨ちゃん、うっさい黙って! 首席のお声が聞き取れないでしょっ!」
オープンチャットなので、全員が口々に会話をするから、誰が何を言ってるかさっぱり聞き取れない。
「――結論から言う。唐突で悪いが、私と甲月の両名は――ガチッ」
「だから、甲月……さん! 今どこに――」
「――ガチガチ、ジャキッ♪ あっぶない! 首席、レバー解除されちゃうとこでしたよ!」
「「「ひさめー♪」」……おねえさん?」
「ヴァカと首席も無事だったことだし、俺そろそろ戻っても良いかな?」
「貴様がポヨポヨしたモノを押しつけるから、悪いのだろうが! このフタコブラクダめ!」
「どうか致しましたかっ!? ちょっと、緋雨ちゃ……じゃなくて、フタコブラクダさん、首席の邪魔したら承知しないからね!?」
「あれ? いま、なんで言い直したの? いくら補佐ちゃんとの仲でも、それってセクハラですよ?」
「だから貴様の体型に、誰も興味など無――――」
「どーでも良いけど、解析班だけはスグに寄越し――――」
「スゥゥッ――――――――ぅお前っ等に通達っ! 静粛にせんかーーーーーーーーっ!」
監査部本部長弐颪中年が、一喝する。
静まりかえる、ヘッドセット。
「ったく……首席研究員、いま何か言いかけただろう?」
先を促す、中年。何となくだけど、鶯勘校内部の力関係が垣間見えた気がする。
非常識の塊みたいな規格外の科学者達を束ねるには、こういう監査部みたいな内部組織は必要なのかもなあと思った。その割りには補佐の人一人に負けてたけど、まあ、ソレも含めてなんか、少しわかった。
「失礼した、弐颪本部長。コホン――――、えーでは発表するが、〝私と甲月の両名は鶯勘校を出奔することになった〟ぞ」
「「「しゅっぽん♪」」……ぽん?」
「ザザッ――――えっと、それは会社から家出するってことね」
子供達の楽しそうな疑問には、ケリ乃が解答する。
そうか、シュッポンって家出って意味か、トイレのアレかと思った。
ケリ乃は大丈夫そうだけど、僕には受理ちゃんが居てくれないと、鶯勘校勢との会話にすら支障が出るな。
「――――つきましては本日これより説明会を行いますので、ご足労をお願いしたく存じますぅ♪」
ポコス♪
ケリ乃が開いた甲月からのメールに添付されていたのは、『B棟の館内見取り図』からの抜粋らしき画像一枚。
今、僕とケリ乃が居るB棟最上階踊り場から見て二階下、10階にある〝多目的スペース〟の周辺地図。
赤く囲まれたその大部屋の真ん中に、小さい●と『出張所』という文字が書き込まれている。
◇
大きな室内を見渡せば、床に何かを引きずったような、まあるい磨り跡があった。
その線の行き着いた先では、片膝付いた自走式自動装填型工作機械が壁にめり込んでいる。
「たった今から、このオリジナル〝自走式自動装填型工作機械〟及びその内部空間を、鶯勘校研究所の前身である、『風致地区測量部』の『出張所』として復刻しまぁすぅ~~♪」
なんだ復刻って。良く分からんけど、組織再編とかか?
それにしても甲月は陰キャ気質なくせに、ハレの場って言うかイベント事にスッゲー向いてるよな。まあ、腐っても美人って事だな。
ただ、その秀麗な美しさも、今は単なる平面だ。
自慢のワガママボディーだって、真っ平らっていうか逆にえぐれてる。
そう、『風致地区測量部出張所』総員2名は、自走式自動装填型工作機械の胴体部分|表面に投影『・・・・・』されていた。
本来乗員一名の、ソレほど広くない空間に押し込められているのだから、リアルタイム表示される内部の様子も非常にせせこましいことになっている。
「「「リィーサちゃん、赤ちゃんみたい」」……もしくはコアラ?」
甲月に抱きつくリィーサが、小さい子達には強く反論できないのか、エアバッグに顔をうずめた。
「ちょっ――緋雨ちゃ――代わりなさいっ! なにその、お可愛い生き物っ!」
首席補佐がヒートアップ。
わかった。この人、リィーサのことが大好きなんだな、それも――尋常じゃ無いレベルで。
最初の印象から劇的に変化した甲月の、素敵な外見からのポンコツ、かーらーのー天才、そして最終的に〝モテない〟までの一連の変移。
ツアーもまだ四日目だけど、甲月以上の〝印象が劇的に変化した人物NO1〟が決定した。
首席補佐さんも歴とした鶯勘校研究所の一員なのだと思わざるを得ない。
「代われるものならスグにでも代わってあげたいですよ~――でも確かに役得でわぁ有りますねぇ~~、デュヘッ❤」
頭を優しげに撫でた直後、噛まれたのか――――くぁwせdrftgyふじこlp!」
多目的スペースに絶叫が響き渡る。
「じゃ私も出奔、もとい移籍します」
躊躇無く挙手し、願い出る首席補佐。
「却下だ」「どーしてですか!? 緋雨ちゃんはいーのに! ズルい!」
「ズルも何も、そもそもココは狭い。とてももう一人なんて入れん……むぎゅ」
◇
込み入った話を聞く前に、リィーサ達や自走式自動装填型工作機械の状態のチェックをザッと済ませる。
首席補佐と女性制服兵士達が甲斐甲斐しく内部の様子をうかがい、ガタイの良い男性征服兵士達が自走式自動装填型工作機械を拘束している物理的な施錠を一瞬で外した。
「やっと体を伸ばせますよ~~♪」
などと、自由になった自走式自動装填型工作機械を立ち上がらせる甲月。この多目的スペースは各種大がかりな催し物を行うために、天井が吹き抜けになっているのでぶつかることは無いが、巨体が立ち上がると圧迫感がある。
「――ところで佳喬君、莉乃ちゃんは?」
近くに居た首席補佐木宿さんが、話しかけてきた。
リィーサの状態を確認し当面の安全が確保できたからか、言動はおだやかで以前の印象のままだ。
「タイムビ……アイツが付いてくるに決まってるから、可哀想だけどさっきの踊り場に待機してもらってます」
「それは、本当に可哀想ね。ごめんなさい、コッチも余裕が無かったものだから――」
頬に手を当て目を伏せる、〝鬼のような美しさ〟。人となりが知れてメッキも剥がれてるんだけど、それでもこう言う仕草には、ちょっとドキドキする。ふぅ、ケリ乃が居なくてよかった。こう言うことに関しては、的確に心の中を読むからな~ケリ乃。
「――では、B棟最上階の要人御用達スウィートを……丁度空いてるみたいですし、確保しましょう――ポポンッ♪
なんか、確保出来たっぽい。僕は絢爛豪華なスウィートでチェスに勤しむ一人と一箱を羨ましく――――はないな、無い無い。怪しい箱と顔をつきあわせて、チェスばかりてのは頂けない。
せめて、格ゲーなら考えなくも無いけどさ。
「「佳喬様ー♪」――少年!」
なんか、ガチャコンガチャコン歩いてくるロボットに手を振られた。
う、やっぱり、この重量感には圧倒される。床もボロボロになるはずだ。
でも、その足下には魔方陣が浮き出ていて、着地の衝撃が緩和されているのがわかる。
本来なら、この魔方陣のお陰で巨体重量をキャンセルできるのだ。
施錠拘束された状態で動き回ったから、辺りは酷いことになっちゃってるけど。
そして、コレだけの大騒ぎをしてるのに大騒ぎになってないのは、監査部の人たちがあちこちに貼った金属製の黄色いお札みたいな奴のせい――おかげなんだろうな。
ソレをはられた壁にも時々、小さな魔方陣が浮き出てるし。
名刺を縦に三枚くっつけたくらいの細長いサイズのソレは、衝撃や騒音なんかを吸収だか相殺だかの作用をする事により無かったことにしてくれている。
〝エネルギー減衰サポーター〟と同じような働きをするけど、吸収したエネルギーがドコに行くのかが分からない。
詳しい事が分かるまでは、あまり近寄らないようにしたい。
◇
「――詳細省きますがぁ、私と首席が置かれた現状は、あまり芳しくありませぇ~ん♪」
――キュゥィーンッ。
何で楽しそうなんだよ。悲痛に訴えられても困るから、良いって言えば良いんだけど。
それと何なの、そのロボロボ・ボディーランゲージ、必要ないだろ?
「現在、操縦席内部は『空間異常検出機構』で密封封印されているが、私と甲月の両名が大気暴露した場合、即座に揮発し霧散する可能性があると考えている――」
――キュキュイーン。
隣で話を聞いていた、鬼のような美しさでお馴染みになった首席補佐さんの、鬼の部分がジワリと顔を覗かせる。
周囲の大人達が一瞬停止するのが気配で分かる。
ソレを察知したみんなも、着ぐるみの後ろに隠れた。
「「「たい、きば、くろ?」」……きばく?」……なんかブツブツ言ってるけど、僕だって正確な意味が分かるわけじゃ無いから、放っておく。
「――ですが、ご安心下さい.コチラにおられる金糸雀號乗員の皆様方による、本日四日目の旅程達成の暁には、私たち二人の〝通常空間復帰〟が果たされるとの演算結果が首席より出ておりまぁす♪」
――キュゥィィーーーーン、ビシッ!
おい、ロボで指を差すな。
みんなはマネして指を差し返したりして遊んでるし、鬼の気配も和らいだけど――僕は、まだ少し怖い、ロボが。
眼を逸らしたついでに、壁一面に表示された巨大で遠大な数式を見た。
ソレを見た7割くらいの大人達が首を傾げ、残りがほっと胸をなで下ろしている。
僕には末尾のリィーサの署名くらいしか読めないけど、演算結果は信用して良いだろう。
ちなみに甲月達をこんな目に遭わせたロボロボAIは、おシャカになった。
現在は原因究明のため回収及び復旧中。もちろん開発は凍結、既に監査部からの正式な謝罪を甲月、リィーサの両名は受け入れている。
「――――では、『風致地区測量部』の再登記ならびに『出張所』開設には、お二人の実存、並びに生命健康維持以外の目的――――他意は一切御座いませんね?」
本題(?)に切り込む鬼の口調。
一瞬、弐颪本部長が話してるのかと思ったほど、ひどく真剣な声。
「うむ、私の全ての権限において確約しよう」
「はぁい、はぁい~、ございませぇんよぉう~♪」
おい、ふざけるな。ほどほどにして下さい。
また、鬼の気配が――――消えたっ!?
「では『風致地区測量部』の再登記ならびに『出張所』の件、確かに承りました。本日、弊社社則並びに憲章に則り、所定の登記手続きを――――なにか、疑問点がお有りですか?」
消えた鬼の気配に気を緩めて、つい小首を傾げてたら木宿さんに見咎められた。
大人達が又全員で振り返るし、緊張する。ケリ乃さんが隣にいてくれないと、この人数相手だとどうしたって怯む。
けど、ケリ乃だって、怪しい箱相手に頑張ってるんだから、僕だって――――。
「……甲月……さん達が、自走式自動装填型工作機械の中から出てこられないのはわかったんだけど、それと二人の勤務形態がなんで関係するのかなって」
「そうですね、佳喬君は、現在業務遂行中の〝空間異常領域内突貫測量作戦〟の統率者として登録されておりますので、もう少し補足説明させて頂きます」
そういや、統率者になってたっけ。
「あ、いえ、別に大したことじゃ……話の邪魔してすみません」
ていうか、なにその仰々しくて長ったらしいの、初めて聞いたぞ。
ウチの家族旅行に正式名称なんて、勝手に付けないで欲しいんだけど。
いや、――逆か。
作戦名が先にあって後からくっつけられたのが、うちの〝紙式家家族旅行〟なんじゃないか。
「いえいえ、鶯勘校研究所社則に、『業態の変更並びに一部修正に付いては、全ての業務遂行従事者の同意を得た場合、此れを許可する』とありますので、佳喬様の正確なご理解が前提条件になっております。」
あれ? 代案が無い、言い切った。
さっき数式が表示されてた壁に、漢字だらけの文章が滝のように流れていく。
「え、ちょ、まいったな。会社の登記なんて、僕に分かるわけ無いですよ」
そ、そんな難しい事言うけどさ、そしたら、そもそもこのツアー自体、碌な説明も無しに始まってるじゃんか。
「――今こそ受理ちゃん達の出番だってのにな……」
――――プルルルルルルッ♪
僕のスマホが鳴った。
全員の視線が集まる中、スマホを見るとみたことの無い番号。
――キュゥィィーーーーン、ビシッ!
おい、だからロボでコッチを差すな。
いやまて。甲月の野郎が、ロボと同じ仕草で手のひらを差し出してる。
――――ピッ♪
通話ボタンを押したら,驚きが通話に出た。
「佳喬さま~~~~っ♪」
「その声っ!? 受理ちゃん!?」
リィーサの舌っ足らずな声をさらに蜂蜜とシロップで甘くした感じのアニメ声。
この声が聞けなかったのは、ほんの一時間程度なのに、ものすごく久しぶりな気がする。
金糸雀號専属AIの声を聞いて、ちょっと安心した。
いま僕は、彼女の過不足の無い的確な説明を必要としている。
僕の受理ちゃん参の解説は、総量としては供給過多だけど、理解のための適切なタイミングなんかが僕に最適化されている。
でもまて、怪しい箱は直上に居る。
「いま受理ちゃん達は、強制割り込みさせられてマトモに動かないはずじゃ!?」
「ソレわぁでぇすぅねぇ~~♪ コワァンッ♪ ――――私と壱と肆の三名は光ファイバ網を送信中だったので難を逃れましたぁ~♪」
スマホの音声と同じのが、館内スピーカーから流れ出した。
まさにスピーカーホンだ。
「その時丁度、我々がココから館内の通信網をハッキングしていましたので――――」
甲月が補足する。
ロボを見たら、甲月達の内部映像の隅にゆっくりとブリンクする美少女アイコンが出現してた。
「――出口を探してたらぁ、自走式自動装填型工作機械に行き着いたというわけですぅ~♪」
「強化服の簡易的な〝空間異常検出機構〟だと、強制割り込みを喰らうけどな。受理ちゃん弐はいきなり爆発したし」
「その点、自走式自動装填型工作機械の〝空間異常検出機構〟はフルスペックだ。この中に居る限りは、アクセプタンシリーズも強制終了させられることは無いぞ」
なるほど? 強制終了を免れた自走式自動装填型工作機械の中から、通常の外線を通じて、僕に通話してきたってわけか。
なんとなく、時系列に沿った一連の状況だけは、ほんの少しだけど見えてきた……気がしないでも無い。
「ほかの受理ちゃん達は?」
「残念ながらロストしましたぁ。ですがぁ、強制割り込みによる弊害が解消されればぁ、スグに復旧しますのでぇ、ご安心くださぁいまぁせぇ~~♪」
「「「受理ちゃん居るの!?」」……ですか?」
子供達が寄ってきた。
「あれ? ……電話かな? はいもしもし? ……受理ちゃんですか?」
「「え、いいないいな! 話したい話したい!」」
子供達にも壱か肆が通話をしてくれたみたいだ。
ロボ操縦席表面に表示されてる美少女アイコンが三つに増えてる。
肆ちゃんはケリ乃に掛けてるだろうから、次葉に掛けてくれたのは受理ちゃん壱だな多分。
さて、本題って言うか、それ以前の話だけど、僕は受理ちゃんに教えを請う。
「受理ちゃん、早速で悪いんだけど、甲月……さん達が自走式自動装填型工作機械から出てこられない事と、勤務形態がなんの関係があるのか簡単に説明できる?」
ーーー
※¹:ウィキペディア調べ2019/12/08 17:50現在
次回で、監査部による一連の事件の顛末の一応の状況説明が終わる手はずですが、それでも相当はしょっているので、分かりづらい所も出てくるかと思います。基本的に全部書くことで、別の文体を描き出すという愚行(技巧)に富んだことをやろうとしていたので(過去形)、いや、まだ諦めない。
⑩連世界の④割近くは書けているので、残り⑥割を書ききる間になんとか完成形をお届けできたら。
余談ですが、作者のKDP作品『狐面とハロウィン』に本作と連なる世界設定や人物がほんの少しだけ登場しております。ご興味をもたれた方は是非一度読んでみて下さい。よろしくお願いします。
※宣伝目的では無いのですが問題ありましたら連絡下さい、余談部分消します。




