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10連休に遊びに行くなら、たとえばこんな異世界  作者: スサノワ
三日目

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49/81

三日目(9)

暫定ですが。文字数7K程度。ブクマたのむ。

2020/03/22 23:47味気ない所に文字数1K盛りました。

2020/03/24 20:05文字数1M超えたので分割しました。

 ギュゥゥゥゥゥゥゥワッワッワッ、ギュギュウゥゥゥゥゥゥワワワッワッ、ギュギュギュギュウウウゥゥゥウゥウウゥ――――。

「何だこの音? ……動いてる?」

 今、僕達の耳に聞こえている音声は、全て各受理ちゃん達が個別に最適化したモノで、いわば再構成された作り物だ。

 だから、この地中を徘徊する〝ダブステップ動画〟みたいなギュワワワッっとした音が、元からこう言う音なのか臨場感を加味した効果音なのかは分からない。いや、聞けば良いんだけど、例の受理ちゃんの宿題(タスク)が倍になって返ってきそうで。


 ――――ウウンンッ!?

 少し耳障りというか、〝圧力(あつ)〟が有る音が止まった。

 甲月(こうづき)と僕とケリ乃と双子達、それと受理ちゃん達の視線が集まる。

「あ、止まったわ――」

 ケリ乃が指を指そうとし――――ドッゴォォォォォォォン!!

 7時方向、距離4メートル。仰角70°(ちょっとうえ)くらい?

 坑道(トンネル)を突き破って、自走式自動装填型工作機(ラボラトローダー)械を正確に(・・・)狙ってきたのは、―――不規則に(ねじ)(いびつ)(ゆが)んだ鉄杭。


 焼けた鉄杭には螺旋状の(みぞ)が有って――――――――ギャギギャギギャリリリリリリリィィィィィィィィィン!

 急回転する(ねじ)れた鉄杭。

 耳障りな金属音は強烈な火花を発し、次第に眩い光で覆われていく。

 イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛ィィィィィィィィィィィ――――――!

 光源と化した切っ先が、水面のように揺らめいている。

 その逆光は、新装備(ラボラトローダー)のシルエットを暗く浮かび上がらせた。

 イ゛イ゛ィィィ――。

 車内中央付近、双子達の座席でも再現された火花が炸裂している。

 模型を覆い隠す程の凄まじい火花。まぶしっ。

「(はくちゅっ!)――――ギャリイ゛イ゛イ゛イッン!

 ケリ乃のくしゃみが金切り音にかき消える。


 ゴゴンッ! 再び打ち付けられる鉄杭。

 ガキュギギャッ――――グラグラッ!

「「「「「ぅわっ、わわわわっ!?」」」」」

 座席を揺らす程の衝撃に、うろたえる僕達。

「っぎゃっ!?」

 うろたえる添乗員兵士甲月(こうづき)もケージにしがみ付いて耐えている。


 バッシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュゥーーーーーーーーッ!

 さっきと同じ白煙で後ろの隔壁(まど)と、バス模型の最後部が隠された。

 ――――ギュゴォォッ、ギィィィィィンッ!!!

 新装備(ラボラトローダー)からの凄まじい破壊音と更なる横殴りの衝撃(ゴゴゴガァァァァン)

 並列接続された幼殻類(ゾエア)を一瞬で粉砕した、規格外の〝冷気〟。

 また発電臨界状態を防御機構として運用してる……器用だな。


 ゴォゴゴゴゴゴゴゴォォォォオォォィオォ!

 白煙が火花を覆い隠す、―――ッガギュギギッ、ギィン!!!

 白煙から飛び出したのは、焼けた鉄杭の先端(・・)

 ―――ゴッ、ゴロゴロゴロロロロォォォォォォォッ!

 折れた鉄杭が、凄まじい勢いで坑道(トンネル)の壁面を螺旋を描くように転がっていき――――ズドガァァンッ!

 跳ね上がった勢いでずっと遠くの壁面に突き刺さった。

 フォワッ――――。

 白煙が晴れ――――。

 ギャリィ!? ギギギィィィッ――――――!!!

 短くなった鉄杭の残りが、とまどいがちに引っ込んだ。



幼殻類(ゾエア)で動きを止め電磁波妨害(ジャミング)しつつ~、あの鉄串でグサリという作戦のよ~うですね~、小賢(こざか)しーい。受理ちゃ~ん、損害~報告~!」

「あぁ~りませぇぇ~~ん♪」

 首を振るケージ取り付き魔人と、その肩の使い魔の声が震えている。


「ボス戦用の〝取って置き〟は、局所熱力学平衡(LTE)まで起動出来(つかえ)ませんのでー、……いたぁーしかたありませんねー」

 いやあ、まったく不本意ですが、と前置きしつつ取り出されたのは「灰色のヒュペリオン2?」


「いいえ佳喬(よしたか)様。ヒュペリオンシリーズではありません。で・す・が、中々の業物ですよ……にへらっ❤」

 なにその弾ける笑顔。

 実際に手にしたら、ニヤニヤしたうすら笑いはなりを潜め、マシな顔つきになった。

 業物って言うくらいだから強力な武器なんだろう。確かにそんな物騒なモノを、ヘラヘラしたまま扱われたら超危ない。


 業物(ソレ)はヒュペリオン2みたいな小銃(ライフル)形をしてたけど、その構造は全然違ってた。

 錫杖(しゃくじょう)のような銃身の先端に銃口はなく(銃口(ソレ)はヒュペリオン2にも無かったけど)、甲月(こうづき)兵士の身長よりもある長さ(・・)が特徴的だった。

 色味(カラーリング)はやっぱりくすんだ色合いで、薄灰緑(アトモス・グリーン)一色。

 引き金(トリガー)とトリガーガード、そして銃床(バットストック)以外のほぼ全てが、長大な銃身で構成されている。


「我が鴬勘校装備開発局渾身の〝戦術級携帯防衛システムの廉価版〟です! これ、支給されてはいたものの、本当に機能するのか(・・・・・・・・・・)半信半疑で、使用に二の足を踏んでいたんですよねー。……ボス戦には力不足でとても使えませんしー♪」

 要するに、機会が無くて使ってなかったけど、その機能に興味はあったって所か。

 あの長いケージの中にはまだまだそんなのがゴロゴロしてるんだろうし、あのケージ自体見た目よか絶対中身が広くて、相当な数の長物が詰まってるよな。


「装備開発局って監査部付きの分室だろ? たしか、人員は1名でぶっちゃけ閑職(まどぎわ)だったはず」

 って会田(えだ)さんのアナウンスを聞いて、ケリ乃と顔を見合わせた。

 監査部って今の僕達は関わらない方が良い相手じゃなかったっけ?


「ええ、確かに装備開発局の総員は1名で、その人物像も怠惰かつとんでもない直情型だけど、……ですが全ての科学測量装備と機能に――罪は有りません」

 〝戦術級携帯防衛システムの廉価版〟を抱えた甲月(こうづき)兵士が、面白バス天井を睨み付ける。


 ギュゥゥゥゥゥゥゥワッワッワッ、ギュギュウゥゥゥゥゥゥワワワッワッ、ギュギュギュギュウウウゥゥゥウゥウウゥ――――。

 ふたたび周囲をうろつき始めた怪音。新装備(ラボラトローダー)から手痛い反撃を喰らったからか、今度は金糸雀(カナリア)號本体に狙いを定めたようだ。



「この『六角柱の銃身(ヘキサバレル)』は、必中必殺の『魔杖(まじょう)』です。有りと有らゆる障害物を無効化(パス)し、飛来する砲弾の発射地点(ポイント)、つまり大砲やミサイル発射サイロ(など)を無力化します」

 長大な銃身を水平に構える兵士甲月(こうづき)


「もう何言ってるかやっぱりさっぱり分かんないんだけどさ、あの〝チュロス〟みたいなヤツの大本を直接叩ける(・・・・・・・・)って事でいいのかしら?」

 そういや、夜中に「〝揚げた甘いお菓子〟たべたい」って、チョコケーキを頬張りながら言ってたな。

「はい、そうです。必ずや鉄串、もとい〝チュロス製造元〟を木っ端微塵にしてご覧に入れましょう。……ただちょっとしたコツが必要でしてー、受理ちゃんサポートお願いしまーす」

 なんて言いながら壁のパネルを操作し、中折れ式の魔杖(ヘキサバレル)とやらとを開く。

 銃身(バレル)先端が床に当たらないように、ローキックの姿勢で靴先を使って支えている。

 少しふらついてるから、ソコソコの重さがあるっぽいな。


「はあい❤ 受理ちゃん壱(アクセプタン・ワン)射撃諸元算定(データコンピュータ)に専従しまぁす♪」

 甲月狙撃手(スナイパー)は敬礼する使い魔(ワン)を魔銃の薬室(チェンバー)に、パコンと詰め込んだ!


「「えっ!? ちょっと、甲月(こうづき)さん?」」

 余りに砲身が長いから狙撃銃みたいに構えると、天井にぶつかってしまう。

 甲月(こうづき)兵士は腰を落とした構えで、魔杖(ヘキサバレル)を天井の怪音に向けている。

 ショットガンを構えるゾンビ映画の主人公みたいなへっぴり腰なのに、(サマ)になってるのはそれが正しい構えだからなのだろう。


「受理ちゃんの事、発射したりしないでしょうね!?」

 怪音を追って後部座席に流れてきた甲月(こうづき)にケリ乃が手を延ばす。

 (フォー)ちゃんがケリ乃に説明してくれる。

莉乃(りの)様。(ワン)を実際に発射したりは致しませんのぉでぇー、大丈夫でぇーすぅーよぉー。ただちょっともの凄く込み入ったベクトル演算が必要になりますぅーのぉーでぇー、強化学習と似た専従(シングルタスク)状態になりまぁすー♪」

 へ? うん、まあ、発射したりしないなら良かったわ。と納得したケリ乃が伸ばしてた手を引っ込めた。


「受理ちゃん(ファイブ)、現在の〝試錐(しすい)用炸薬式レーザービット〟の(マガ)……弾倉(カートリッジ)数は?」

 という甲月(こうづき)の声に反応する受理ちゃん(ファイブ)

 ちなみに次葉(つぐは)は脇目も振らずに座席モニタ×2の中の数字と闘っている。

 なんかパズルゲーム的な楽しさが有るっぽい。

 その集中力のお陰で金糸雀(カナリア)號はとても固い岩盤を、時速7キロもの速度で掘削潜行出来ている。

 土熊(ケフラ)の掘削能力を生体ハードディスク(ベトレイヤー1)から引き出す事が出来るのは、次葉(つぐは)だけだ。

 人類史上最大限に効率の良い有人掘削作業を中学生のお嬢様が一人で(会田(えだ)さんと受理ちゃん(ファイブ)もサポートしてくれては居るけど)黙黙と行ってるのはちょっとシュールで面白い。



 ピピッ、カシッ♪

 丁度良いタイミングで排出される生体ハードディスク(ベトレイヤー1):個体識別名〝土熊(ケフラ)〟。

 連続使用後は、自動排出された生体HDD(ベトレイヤー1)のインターバルがてら小さな休憩を取っている。

 次葉(つぐは)が座席をこっちに向けて、――――ウゥゥゥン、近づいてきた。

 もう皆、据わったまま座席を動かして移動することに馴れてしまっている。


「はぁい。現在の弾倉(マガジン)数は41でぇーすのぉーでぇ~。約4分の連続射撃が可能ですぅー♪」

 もう面倒になったのか、受理ちゃんとか会田(えだ)さんは『弾倉(マガジン)』って言っちゃってるよな。

 僕達への配慮か、物騒な兵器をイメージさせる名称を使うのは、極力避けてたっぽいけど。

「ソレだけ有れば、ミステリースポット③目標地点まで一気に突き抜けられるかしら?」

「はぁい。概算ですが可能と思われまぁーすぅー。次葉(つぐは)様の適性にも全く問題ありませんしぃー」

 次葉(つぐは)が鼻息荒く頷いている。実際に連続射撃による掘削作業をするのは次葉(つぐは)だ。

 本人がやる気になってるのは、非常に喜ばしい。


「ただ、弾倉(マガジン)交換3回ごとに、1回の〝ベトレイヤー1〟の強制(フォース)再装填(リロード)が必要になりまぁーすぅー♪」

 ――キュピィーン!

 次葉(つぐは)の両眼に光が宿る。

 〝生体HDD(ケフラ)〟を取り出して甲月(こうづき)の尻に狙いを定めた。

 甲月(こうづき)が腰を引いて、双子達の大がかりな座席の影に隠れる。


「で、では、次葉(つぐは)様の士気もお高いことですし……。総員に告げます! コレより金糸雀號(とうき)は襲来する〝謎の鉄串〟を迎撃しつつ、本日の目標地点③への潜行を強行します!」

 ――――――ウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンンッ!?

 コッチが強行策を決定した直後、耳障りな〝圧力(おと)〟がピタリと止まる。

 まるでコチラの動向に反応してるようで、少し薄気味悪い。

次(11)も同じくらいの分量出来てるので、近いうちに。魔杖と捻れパンとアレとソレとコレが――――。


自動処理:コード妨害×4

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