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第4話 魔法袋

 ギルドマスターのサイラスさんの部屋で待っていると、リルカさんが、重そうな袋を4個持った男性職員と戻ってきた。俺たちの前のテーブルの上に4個の袋を置いて、男性職員だけ出て行った。リルカさんが、

 「こちらがゴンズイ様のAランクギルドカードです。」と親父に金色のカードを手渡し、

 「これが、タクマ様のBランクカードです。」と俺に銀色のカードを差し出した。そしてテーブルの4個の袋を指さして、

 「それから、これがポーションの代金、金貨2000枚です。500枚ずつ入ってますので、ご確認下さい。」と言う。

 一つ手で持ち上げてみる。重い、一袋15キロ以上あるよ。親父の方を見ると、

 「信用してるよ。数える必要はない。」と言うので、同意する。

 「ありがとうございます。それから、今後のことについて、ちょっと確認したいのですが、各200本の最高級ポーションですが、3か月以内には完売してしまうと思いますので、今回の2倍の量を、2か月以内に納品していただきたいのですが、可能でしょうか?」リルカさん、ちょっとお金儲けに走り過ぎじゃないのと思ったが、原料の薬草はこの辺にも有ったので、宿でも作れるからいいと思い、

 「解りました。でも余り大々的に売らないでくださいね。」と注文する。

 「それは、難しいかも、金貨10枚もするポーションを買うのは、全て高ランクの冒険者ですから、お金の余裕もあり、効果を実感したら欲しくなりますから、恒久的に、クルム冒険者ギルドの利用が増えてまいります。そうなれば、依頼の達成率も上がり、美味しい依頼も入る。優秀な冒険者も集まる。そしたらまた、ポーションが売れる。どんどん売って、どんどん実績が上がり、どんどん・・」

 「ちょっと待て、リルカ、話が飛んでいってるぞ。いや、すまん、なるべく吹聴しないように指示しておく。」慌ててサイラスさんがリルカさんを止める。

 目が点になった俺と親父は、金貨2000枚をそれぞれのリュックに収め、新しいギルドカードを貰ってギルドマスターの部屋をでた。少し恥ずかしそうに付いてくるリルカさんに、

 「クルムで一番大きな魔道具の店はどこですか?」と俺が聞くと、

 「何をお求めになるんですか?」と反対に聞かれ、

 「魔法袋が欲しいんです。それが有れば、荷馬車を借りる必要もないし、ポーションの持ち運びも気を使わなくて済みますから。」と言うと、

 「じゃあ、コムニ魔道具商会がよろしいと思います。魔法袋は魔道具開発ギルドの専売品で、直接魔道具開発ギルドに出資しているコムニ商会が間違いないと思います。でも、結構お高いと思いますよ。」と教えてくれた。

 「ありがとうございます。それで、いくらくらいするものですか?」とおおよその値段を聞いておこうとすると、横から親父が、

 「金貨1800枚の筈だ。今の俺たちには1個しか買えないぞ。」と言い出した。

 リルカさんも頷いているので、魔道具開発ギルドの言い値のようである。ひとつ買ったら、使ってみて自分で作れば良いだけなので問題ない。店の場所を聞いて、すぐにコムニ商会を目指す。冒険者ギルドから、借りていた荷馬車を返しに行き、その延長上にコムニ商会は有った。なかなか大きな店である。玄関を入り店員を探していると、恰幅のいい老人が寄ってきた。

 「何をお探しでしょうか? 私、このコムニ商会の店主のギョームです。今日は店員が、急用で休んでおりまして、ご迷惑をおかけしますが、私で解ることならお伺いしますので、」と丁寧に言ってくれるので、

 「魔法袋を探してます。在庫はありますか?」と聞けば、

 「はい、高価なものですので、登録前のものは金庫に仕舞っております。そちらのカウンター席に座ってお待ちいただけますか?」というので、頷いてカウンター席に向かう。親父と二人、座って待っていると、ギョームさんが魔法袋を持って現れた。一応、価格は聞いていたが、確認のため、

 「いくらでしょうか?」というと、やはり「金貨1800枚です。」と答えたので、カウンターの上に、金貨500枚入りの袋を4個出し、一個から200枚の金貨を抜いてから、

 「確認して下さい。」とギョームさんの方に押し出す。

 ギョームさんは、四個の袋の金貨を大きな枡のような物の中に空けると、その魔道具が、枚数を数え見る間に1800の数値表示が出る。流石、魔道具販売業者である。

 「確かに、金貨1800枚領収しました。それでは、使用者登録を行います。」と言って、カウンターの上に魔法袋を置き、

 「第一登録はどちらですか?」と聞くので、親父を指さすと、

 「魔法袋の上に手を置いて下さい。」と言われ、親父が手を置く。ギョームさんの魔力が契約魔術の術式を形作り使用者特定された。

 「次に第二登録です。どうぞ、」と言われので、俺も手を魔法袋の上に置き、同様の契約がなされた。

 「はい登録完了しましたので、すぐに使用できます。ありがとうございました。」

 二人はすぐにギョームさんに見送られ、コムニ商会を出てきた。既に昼を過ぎていたので、そのまま宿に向かうことにした。その途中、公園が有ったので立ち寄り魔法袋のテストをしようということになった。

 親父の腰に取り付けて、まず、二人のリュックを収納してもらう。親父が魔法袋を開けリュックを持つと、消えた。収納できたようだ。袋自体は膨らみも無いが、俺のリュックも同様に収納できた。材質を見ると、闇属性の魔物の皮が使用されており、次元空間魔法の術式である。どうやら闇属性の次元空間魔法は闇属性の魔物の皮と相性が良いので選ばれているようだ。只、もっと術式を簡略化して、余計な文言を削除すれば、闇属性の魔物の皮を使用する必要もなく、もっと使用者の魔力に合わせて大容量の異空間収納が確保できるのにと思ってしまった。魔法袋の使用で、次元空間魔法の異空間接続方法が理解できたので、親父に俺のリュックを出してもらい、魔法袋を使わない異空間収納を実行してみた。頭の中にリュック収納の表示が出て、手のリュックが収納された。この異空間収納は、魔法袋の荷馬車1台分ぐらいの容量とは異なり、俺の魔力量に影響を受け、現状無限大に近いものになってしまった。親父は何が起きたのか解らず、魔法袋の中から自分のリュックを取り出し中を確認している。俺が魔法袋が無くても異空間収納が出来るようになったことを説明すると、

 「ほんとに、お前は呆れ果てた奴だな。魔法袋1個の金で異空間収納魔法を使えるようになるんだから、魔道具屋殺しだな。ポーションでは錬金術師殺しみたいなもんを作ってしまうし、しょうがねえな。まあいいか、俺が昔から使っていた宿に行って、風呂に入って飯にしよう。まだ、金貨は700枚有るから何でも食っていいぞ。」と笑い出した。実際は、親父が500枚、俺が200枚の金貨を持っているのだが、どうでもいいか。

 

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