誕生日
自分の能力。
犯罪を予め予測し、阻止する為に備えられたもの。
予知能力
透視
心をよむ
光のすぐ外は闇の世界が広がり、犯罪が蔓延していて、警察はもとより、国も対策を迫られている。
国は能力を持つ者を必要とした。
優秀な研究者を集め、受精卵を操作し、特殊能力を備えさせる。
後は自分の体内へ戻し、普通に出産。
特殊能力を後から持った研究者の手により、
普通に育てられ、ある程度の年齢を迎えた年……。
全てを明かす。 そして環境を変え訓練をさせる。
自分の感情をコントロールする事から始めると言う。
ゆっくり、混乱させない様に。
オリジナル。
自分はオリジナル能力者。
研究者はオリジナルでない為、犯罪を予め予測する際、誤差が出てしまう。
しかし、能力を持つ研究者の遺伝子と、特別に備えられた能力遺伝子が合わされば、完璧になると言う。
危機的状況を打破する為に、国は必死で能力者を誕生させた。
人権侵害。 そんな言葉はない。
横行する犯罪。巧妙になる手口。
何人もの人が巻き込まれ、秩序さえ無くなりそうな世の中において、ロボットの様に忠実な能力者を求めた。
犯罪は許されない。
しかし、人権を無視してまで必要な研究なのか。
そんな疑問さえ、抱く事は許されない。
十六歳の誕生日。
大人と子供の境目……。
楽しいはずの宴が、朧気で儚い。
私は、私の運命さえも自分の手で掴めない。
逆らう者は闇の中……。
誕生日を迎えてしまった私は、この先を思うと不安になった。
誰を信じ、誰を頼る?
両親は実の親。 しかし、任務を忠実に遂行したに過ぎない。
心をよまれぬ様、悟られない様に偽り、装ってきた。
そんな人達を信じる訳ない。
私は私の行く道を、受け入れて従うしかないのか。
誕生日の数日後、私はある場所へ連れて行かれ、自分の出生の目的を明かされた。