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スモークキャットは懐かない?  作者: 白い黒猫
フレンチ・ロースト
82/102

色んな意味で楽しくなってきた

 それにしても煙草さんは、本当に根っから素直な子のようだ。

 こうして抱いても煙草さんは煙草さんで可愛かった。 俺の仕掛けた行為に思わずニヤニヤしてしまう程可愛い反応をイチイチ示し楽しすぎて、若干やり過ぎた感はある。

 そして事が終わり煙草さんは俺に顔を押し付けたまま黙り込んでいる。

 怒っているとか泣いている訳ではなさそうだ。

「タバさん? どうかした?」

 身体を起こし二人で向き合う。

 子供にするようにその頭を撫でながらそう聞いてみる。

 煙草さんは近くにあるベッドから毛布を引き寄せ身体を隠す。

 そして顔を赤くしたまま俯いている。被った毛布の下から白い足が見えてなんとも、それが生めかしく見える。

「……ぃぇ……気持ち落ち着けているだけです、なんか恥ずかしくて……」

 やっと俺をチラリと俺を見てくれる。しかしまた俯いてしまう。

「何かが気に召さなかった?」

 顔を覗き込もうと屈むけど、煙草さんは手でその顔を隠してしまう。そのまま顔を横にふる。

「気になるよ、タバさんを傷つけたか、不快にさせたかと思うと」 

 俺としてはかなり楽しんだセックスだったのだが、煙草さんにとってはそうでなかったのかと思うと不安にもなる。

 でも煙草さんもかなり盛り上がっていたと思うんだが。

「そんなか事ありません!

 寧ろ逆です! スゴク良かったです」

 煙草さんは顔を手から離し俺にそう訴えてから、更に顔を真っ赤にして慌て出す。

 俺はその熱い頬を添え優しく見えるであろう笑みを向ける。

「ならばどうして、俺と顔を合わせるのを嫌がるの?」

 煙草さんの目が俺と他の場所の間を不自然に動く。

「なんか……恥ずかしくて……。

 私イッパイイッパイになり、すごいあられもない恥ずかしい姿を晒してしまった気がして」

 そう言ってから顔をまた手で隠してします。あられもない? そこまで言う程声を張り上げ乱れた訳でもないと思うのだが。

「可愛かったよ。煙草さんのその姿は、堪らなくて俺はドキドキしていた」

 そう言い頬にキスをする。

「そんな訳ないです! あんなに……私……。

 ァ……。

 清酒さんが、悪いのではないです。多分私のこういう経験の少なさによるもので……そういう意味でも大人な清酒さんの……何ていうか……あ、の……愛に!

 ……私だけ……あんなに……って呆れたのではないかと……」

 そこまで特殊なフェチな事とかした覚えはない。そして何を彼女は気にしているのか?

 何か俺がしたことで気にかかったのか?

 彼女の嫌がる行為を強要なんてしたくない。

 しどろもどろになりながらも必死に説明する煙草さんの話を、じっくり聞く事にする。そしてよくよく聞いてみて呆れてしまう。

 煙草さんではなく元彼達に対して。

 つまりは今まで煙草さんがやってきたのは、【ワーと盛り上ってババーと終わってしまう】というやつだったとか。

 そして俺はそんなに執拗に何か特別にした訳ではないし遅い訳でもない。

 というか元彼らが、話聞くだに早すぎだろうと思う。

 まあ高校時代の彼は年齢的にもそうなったとしても分からなくないとしても、大学時代の彼はそんなノーテクでよく二股かけられていたと思う。

 可愛い彼女を前に舞い上がる気持ちは分からなくはないが、男は興奮して発散出来たらそれで充分満足出来るものだけど、女性はそうじゃないだろうに。

 また煙草さんそんなセックスで今まで満足できていたのだろうか? とも思う。

「こういう事って二人で楽しみたいからする事だろ?

 タバさんが悦んでくれたなら俺は嬉しいし、幸せだよ。

 逆にそんな最中に女性に冷静でいられるのは男としてかなり寒い状況だよ」

 煙草さんはジーと俺を見つめ何やら考えているようだ。

「それはそうなのでしょうが……私も清酒さんに喜んでもらいたいし……ぁぃし……たぃ」

 なんかスゴく可愛い事を煙草さんは照れながら言っている。

 俺はそんな煙草さんの頬を指で撫でると敏感になっているためかその刺激にピクリと身体を震わせる。

 その初な反応に俺のスイッチ再びオンへと切り替わる。  俺は煙草さんに顔を近づける。

「俺は煙草さんが悦んでもらうことが何より嬉しい。だから煙草さんにはもっともっと感じて欲しいし、逆に嫌な事はしたくないし。

 煙草さんが嬉しい事はいくらでもして上げたい。

 俺に感じて煙草さんが熱くなってくれたらくれただけ、俺も燃える。

 そういうのだろ?

 二人で楽しむから楽しい。だからこれからもっと二人で楽しもう。

 煙草さんは素直に思うまま感じてくれたら良いから」

 耳朶に唇が触れるくらいの距離で少し息を吹きかけるようにそう囁くと、フルフル震え目も潤んでくる。

 耳も弱いようで、身体を震わせながら下を向く。

 俺は顎に手を添え、上を向かせ、初めは触れ合わせるような軽い感じのキスをして徐々に深めていく。

「ンッ……ッ」

 そんな、声が漏れてきたのでキスを止め煙草さんを観察する。

 濡れた唇を半開きにしたままトロンとした目で俺を見つめている。なんか最高にクル表情。

 煙草さんの幼い感じの顔立ちが、このように欲情の色を帯びるとそのギャップで凄まじく色っぽく感じる。

「こうされるのは嫌?」

 煙草さんは顔を横に振り否定する。

「……嫌じゃないです……」

 素直に言葉でも答える煙草さん。火照った顔で俺を求めるように見つめている様子が可愛い。俺を喜ばせたいといっているけど、こんな言葉や表情や態度で十分悦ばせてくれている。それなのに何を気にしているのか? とも思う。

「嫌じゃないか……。

 という事は嫌じゃないけど、嬉しくもないという事?」

 少し悲しんだ表情を作ってそう聞いてみる。

「そ、そうじゃないです! 嬉しいです! ……と、とても!」

 俺はその言葉に満足してニッコリ笑う。

「良かった、俺もコレは嬉しいし愉しい。ならばこうされるのは?」

 煙草さんの頬そして耳にキスをして耳朶を舐め甘噛みをしてと悪戯しその感触を楽しんでから、また同じ質問をする。

「ゥ……嬉しいで……す」

 そんなやり取りをしながら俺は第二戦目に突入する事にする。

「……れしぃ……けど、恥ずか……しぃです。なんか……おかしく……」

 俺に愛されどう感じているのか言葉で表現させながら致す。 よりその行為がよりエロく愉しめることに気が付いた。

 俺は怪しいアソビを覚えてしまったようだ。

「それで、いいんだよ。オレを感じて、もっと強く深く」

 俺は更なる感想を聞くために行為をより大胆に進めていった。


 次の日の朝。二人で前夜の夕食を一緒に食べていた。勿論ワインの入ったソースは抜きで。

 煙草さんはハァと物憂げな溜息をつき、俺をみて恥ずかしそうに目を逸らす。

 楽しい夜を過ごせたのはいいが、異様にモジモジされてしまっている。

 煙草さん曰く『大人の階段を五段飛ばしで翔け登ってしまったような状況』にちょっと戸惑っているという。

 煙草さんが朝食の後片付けしている横で、俺が珈琲を淹れる。

 そんな俺の様子を見て、ニコっと嬉しそうな顔をしてくるところをみると、怒っているわけではなく幸せそではある。

 二人で珈琲を飲んでいると、煙草さんも落ち着いてくる。

 朝の日差しの中で、ホッコリとした表情でマグカップを抱えるように両手で持っている様子は、なんとも平和で幸せそうだ。


 飲み終わり満足げに深呼吸して俺に向かってニッコリ笑ってくる。

 マグカップをテーブルに置き姿勢を正し俺を真っすぐ見つめてくる。

「まだ、ふつつかものの私ですが、清酒さんに相応しい大人の女になるように頑張りますね!」

 そう言い頭下げてくる煙草さんに、俺はコレに応えるべき? 

「いや、煙草さんは十分大人だよ。

 だから共に成長していける関係になればいいなと思っているけど……」

 とりあえずそう言う言葉を返しておく。

 俺の言葉に煙草さんは何故か考え込む仕草をする。そして再び顔を上げ俺を真っすぐ見上げてくる。

「はい! 一緒に頑張りましょう!

 ……まずは私は清酒さんの愛にシッカリ応え返せるようになりますね!」

 なんとなく、煙草さんが気にしている事が見えてきて笑ってしまう。

 この子は妙に負けず嫌いというか、律儀というか、やられたことはやり返してくる(たち)

 何かされたら感謝をキッチリ形で返さないと気が済まないという所かある。

 昨晩は俺もかなり楽しんだというのに、昨晩の二戦目のやり方があんなのだったか、余計に俺がしてあげて自分は何もしてあげれてなきというように感じたのだろう。

 まあセックスにおいて女性からも積極的に仕掛けてくるのは嫌いじゃないからニヤリと笑い『わかった』とだけ答えておいた。

 それにしても煙草さんが、どう【頑張る】のか愉しみだ。何でも一生懸命頑張る子だけに。

 色々イケナイ妄想してしまう前に、珈琲飲んて落ち着く事にした。

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